『帝国到着』
帝国に到着したぜ
エルフの村を出て、それから三週間かけて俺たちは帝国の城壁が見えるところまでやっと着いた。山までは1週間だったが、直接山越えをせずに道に沿って進んだらそれだけの時間がかかった。
「あれが帝国の城壁か・・・」
「なかなか立派じゃのう。王都のものよりも頑丈そうじゃな」
近くまで行ってみると、王都にあるものは石レンガ造りに対し、こちらはほぼ鉄の壁のような感じになっていた。
帝国に入るにはどうやら入国審査門があるようだった。王都の検問みたいな感じか。
「そこの馬車止まれ!!身分証か、入国料金を出せ!!」
門に近づくと、門番の獣人の男性が停止命令をかけてきた。首に首輪があり、奴隷兵だということが分かった。犬の獣人だったから違和感があまりないな・・・。
「はい、身分証明書です」
「どれどれ・・・月間『スライムクラブ』編集長モッセマン、Bランク冒険者魔物使いのゼロか。よし、身分証明書が正規のものだったから通っていいぞ」
あれ?怪物殺しとか言われなかったな。
「おそらくだけど、奴隷のようだからそういった情報は聞いていないんだろうね」
そういうもんか。
とりあえず、交渉するためにこの帝国の王城に馬車を進めた。ついでに言うならば、馬車型ゴーレムは一応馬のゴーレムを作って取り付け、できるだけ普通の馬に見えるようにしている。これで一応ただの馬車のように見えるだろう。
王城まで向かっていると、途中の道には首輪をつけた人たちがちらほら見かけられた。
「あれがこの国にいる奴隷たちか・・・」
「獣人、エルフ、ドワーフ、人間、その他亜人にもついていますね」
「どの種族にも平等についているのぉ」
「だが、あの中にはエルフたちの村の者もいるかも・・・」
「ミンナアカルクナイヨ・・・」
奴隷であろう人たちにはどれも目に生気がないように見えた。
「奴隷制というのは王国では廃止及び禁止だからね。王都では外からの商人がたまに連れているぐらいしか見ないが、この国だと常にみられるんだよね」
建物を見ると、奴隷市場などと書いてあるものもあった。
「こういったことは国ごとによって違うし、仮に王国がこの国に対していったとしても意味はないんだよね」
モッセマンさんやけに詳しいな。
「こういった奴隷の中には、ハクロやアルテミスのような美しい人型のモンスターが成らされることもあるからね。この国にいる間は従魔たちにも気負着けるようにしておいた方がいい」
「わかりました。肝に銘じておきます」
ハクロたちを奴隷なんかには絶対させてたまるか!!
王城前の門につき、そこで馬車を止め、門に近づいた。すると、門番が血相を変えて近づいてきた。
「おいお前たち!!この王城に何の用だ!!」
「失礼、わたくしたちはこういったものでございます」
モッセマンさんが懐から出したのは、国際的にも認められている交渉人を示すバッジだった。
「な、交渉人だと?まさか王国のものか!!」
「そうですが?わたくしたち本日交渉に参りましたのです。ここを通して皇帝に合わせなさい」
「ち、ちょっと待て!!」
モッセマンさんがそういったとたん、門番の男は慌てて城の中に連絡しに行った。
数分後、男は戻ってきた。
「皇帝陛下に交渉を申し込む手続きは済んだ!!さっさと中にはいれ!!」
そして、俺たちは王城の中にひりこんだのであった・・・。
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「おー、もう帝国に来ていたんだね。さてさて、どうなることやら・・・」
「おい新入り!!さっさとそこを掃除しろ!」
「ヘイただいま!!」
王城の新入りメイドとして潜入しているあの三人組の一人が、王城の窓からゼロたちが王城に入ってきたのを見ていた・・・。
新入りメイドとして働いているのはあの例の三人組の唯一の女性である人ですよ。




