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『帝国までの道中1』

モッセマンさんて有能なんだけね。変人なだけなんだよ。

「いやー、ほんとこの馬車型ゴーレムって快適ですねー」

「モッセマンさん、いい加減黙ってくれ・・・」

「もう2時間はこの調子ですからね・・・」


 帝国に停戦交渉をしに行くため、俺たちは交渉人としてのモッセマンさんを加えて、カトレアの馬車型ゴーレムで帝国に向かっていた。


というか、モッセマンさんほんとうるさい。王都を出てからもう2時間は経っているのにまだ言っているよこの人。


「だって、普通の馬車よりもスピードが出ているのに揺れが少ないし快適なんだぞ!」

「ゴーレムですもんね」


 ちなみに、この馬車は前に使用した時よりも改良されている。カトレア一人だけだと技術的にも限界があるが、みんなで協力して性能を上げることに成功したのだ。


「これを売り出せば相応な人気が出ると思うんだが」

「売りませんよ・・・」


 既存の業者たちが失業しかねないからな。そのぐらいの性能なのが怖い。


「というか、モッセマンさん。スライムクラブの編集作業なんかはいいんですか?」

「ああ、2か月先ぐらいまでなら終わっているから大丈夫だよ」


仕事は一応できるという人なんだよなこの人・・・。変人だけど。





 しばらく馬車を進め、暗くなってきたのでここでいったん野宿をすることにした。


「そういえばゼロ君って野宿の際には従魔たちは従魔用空間に入れるのかい?」

「以前までは入れていましたが、ある時ちょっと困ったときがありましてね。それ以来できるだけ出したままですよ。宿なんかに泊まるときには入れますけどね」


 こう広い場所ならいいのだが、狭い部屋だとこいつらの寝相的に命がなくなりかねないからな。


「ま、一応こういう外での野宿は危険なのでね。ハクロ、カトレア頼む」

「わかりました!」

「いつもの通り・・」


 まず、カトレア円状に木々を生やしてもらう。その木々の間にアルテミスが蜘蛛の糸で幾重にも巣を作る。そして、その円形の木々の中心に寝床を作る。これで周りがアラクネの蜘蛛の糸で囲まれた寝床の感性である。


 もう慣れたもので手際よくできた。


「こ、これはすごい・・・」


 モッセマンさんはそのすごさを理解したようだ。


 忘れられがちだが、アラクネとは普通人を襲うモンスターである。罠を張って待つことがあるのでそのアラクネの巣を見つけたらできるだけ近寄らないようにするのだ。


 そこを逆手にとって俺たちは安全な寝床を作ったのである。これなら盗賊など夜中に襲ってくるような者たちから身を守れるのである。


「確かにこれなら警戒してこの中にはいろうとするやつらはいないだろうな。ハクロのアラクネとしてのモンスターの特徴をうまいこと利用しているね」

「そうでしょ。カトレアがいることもあってこういう何も木々がない場所でもできるんだよね」


 いままで何もなかった場所にこうして木々が生えて、しかもアラクネの巣があるようなところには確実に誰も寄ってこないだろうしな。



 とりあえず、その日はその中で寝たのであった。


ちなみに、朝起きたらきちんと元通りにしておきます。

このときに切り倒した木はカトレアのゴーレムの材料に、巣の糸は王都に戻った際に服屋に売り払うのである。

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