『王都防衛結果』
どの世界でも戦争はめんどくさいものである。
俺たちはそれぞれ戻り、王都にて捕虜にした兵士の内訳を報告しに行ったのであった。
王宮につくと、国王とメタドンさんが先に座って待っていた。
「で、どうなったぞいか」
「えっと、ですね。そのなんというかこちらを見てください」
結果を書いた報告書を手渡した。
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最終報告結果
帝国被害:
・帝国軍捕虜人数合計22万3567人
・軽傷者、35人
・重傷者、22万3512人
けがの種類:トラウマ、裂傷、骨折、全身骨折、急性アルコール中毒、マヒ状態、etc・・・・
王国被害:
・アルテミスの姿にビビッて気絶した者12人
・モッセマンさんがスライムの大群に興奮し、鼻血による大量出血で緊急搬送
・カトレアの色気にやられてモッセマンさんと同じようになった者24人
・どさくさに紛れてアルテミスやカトレア、ハクロの胸に触ろうとした王国側冒険者たちが返り討ちに合い重傷者24人
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「なんか変な集計結果になっていないかぞい?」
「嘆かわしい奴らがいたな・・・。本来ならそんなあほなことしたらランク下げるが、返り討ちに合っているようだしな・・・」
「それになぜかモッセマンさんまで入っているんですよね。あのひと参戦していましたっけ?」
「一応、万が一のために魔法が使える部隊で後援をするつもりだったのだぞい。それでモッセマンは転送魔法陣が使えるから送り込むために参戦していたのだぞい」
帝国軍の捕虜の人数よりも、王国側のけが人の理由に心配になったのであった。
「とりあえず、だいたい全軍捕まえたようだし、これで帝国側に停戦交渉ができるぞい」
「停戦交渉ですか?攻められたのを返り討ちにできたのだからこちらが戦勝国みたいなものでは?」
「いや、そうじゃないんだぞい。戦争に勝ったといえるのはどちらかが降参しなければいけないんだぞい」
「だったらこちら側が攻めてもいいんじゃ?」
「帝国側には奴隷兵がいるのだぞい」
あ、そっか。あのエルフの村からさらわれて奴隷になった者もいるんだった。
「帝国側にもしわしらが攻め込もうとすると、その奴隷たちが出される可能性があるんだぞい。無駄な犠牲が出るのは目に見えているんだぞい」
やっぱ結構この国王様は考えているよな。
「しかし、停戦交渉ですか・・・。いかがいたしましょうか?」
「むう、こちらから行くには時間がかかるぞいしな」
王国側にも転送魔法陣が使える人はいるが、今回の帝国軍が移動してきた距離を転送できる人物はいないのだ。モッセマンさんでもあの帝国との間にあるクラィング山までが限界だという。それでも十分すごいが。
「何度も使用してできないんですか?」
誰かが転送し、そのあとさらに転送しといった具合にできそうなものなんだが。
「主殿、実はそううまくいかないのじゃ」
アルテミスが説明してくれた。
転送魔法陣というのは空間跳躍をさせる魔法陣。それは世界の空間の状態を不安定にさせ、まともな転送ができない可能性が出てくるのだ。
「ほれ、前に我と出会った時も似たようなことがあったじゃろ。あれみたいなもんなのじゃ」
「なるほど、結局直接向かった方がいいのか」
「だが、往復で2年かかるぞ・・・て、そういえばゼロ殿は、確か中間にあるクラィング山から帰ってくるのにそんなに時間がかからなかったぞいな」
「あ、そういえばそうでしたっけ」
アルテミス使ったもんな。
「確かに我ならそこまで早く飛べるが・・・」
「くっそ寒かったんだよな・・・」
あの寒さは味わいたくはない。そもそも人に目立たないように高く飛ぶとそうなるもんな。
「待てよ、カトレアはそのふもとの森から追いかけて港まで来ていたよな。どうやって移動したんだ?」
「ゴーレムに乗って移動していた。でも、体に負担がかかるから常人だとまず無理」
「普通に早いのがなかったけ?」
「ある。けど、できればご主人以外乗せたくない」
「そこは我も同意見じゃな。認めた者以外は嫌じゃ」
「アルテミスもおなじだったの?」
「うむ、カトレアお主もじゃな」
互いになんか熱く手を握り合って、なんか友情が生まれたな。
「それならば話が早いぞい。この際ゼロ殿が交渉人となって帝国に向かうといいぞい」
「えーーーー」
「なんぞい珍しくものすごくいやそうな顔をして」
あの謎の仮面男は確か、次に黒魔石が騒動を起こすのが帝国だって言っている感じだったしな。帝国に向かったら絶対その騒動に巻き込まれる気がするんだよな・・・。
「仕方がないか、引き受けますよ。ですが、俺には交渉の仕方はわかりませんよ?」
「心配ないぞい。モッセマンを連れて行けばよいぞい。あの男はこういう事にも精通しておるし、何よりも気が知れているぞいね」
「でもさっきの報告書にも書いた通り、モッセマンさんは今緊急搬送され「呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃのジャーン!!モッセマンここに参上!!」・・・・え?」
なんかいきなりモッセマンさんが天井から落ちてきて現れたんだけど!?
「なんかそういう予感がしていてもたってもいられずに現れてしまいました」
「げっ、モッセマンお前またそんな登場を・・・」
メタドンさんが明らかに嫌そうな顔をしているんだが。気持ちはなんかわかるが。
「丁度良いな、モッセマンよ、先ほどまで儂らが話していたことわかるな?」
「ええ、わたくしの耳ですべて聞いていましたからね。交渉人役を引き受けましょう!!」
もう十分わかっていたけどさ、モッセマンさんてやっぱかなりの変人だよ!!
モッセマンさん・・・ここまで変人じゃなかったはずなんだけどな・・・。
物語の中での月日のうちになんかに目覚めちゃっているんだけど・・・・。
次回から新章です。




