『王都防衛5』
今回は従魔たちの活躍で主人公出番なし。
王都南側~「担当:スラ太郎」
王都に攻めようとしていた帝国軍南側担当指揮官ドナル将軍は戸惑っていた。
王都には今、あの「怪物殺し」がいるらしく王都側の見方をしているようだという情報があった。それゆえ、その怪物殺しとは言えども周りから攻められれば対処できないであろうから、こうして東西南北に郡を分けて同時に攻めようとした。運が悪ければ怪物殺しとその従魔たちに、よければまだ楽な王国軍の兵士か、他の冒険者たち。
だが、南側から攻めようとしたとき、王都から何かが迫ってきていた。
「な、なんだあの大量のスライムの群れは・・・・」
赤や黄色や紫などと様々な毒々しい色をしたスライムの群れが彼の部隊に迫ってきていた。
「しょ、将軍!!あのスライムたちは先月のと、半月前の月間「スライムクラブ」に載っていました!!」
「いったいなんてスライムだ!!」
「はっ、それが『ワインスライム』『パラライズスライム』『ポイズンスライム(弱)』のようです!」
「簡単に言うとアルコールと痺れと毒をもたらすスライムどもという事か!!」
「その通りであります!!」
「くっ、一時撤退だ!!捕まったら身動きが取れなくなるぞ!!」
ドナルは急いで部隊を下がらせることにした。あのスライムたちはおそらくただのスライムの群れではない。おそらくだが、怪物殺しに関係がある群れであろう。そうでなければこんな急に群れが現れるはずがないのだ。
「将軍!!後方にも何やら巨大なスライムが!!」
「な、なんだと!!」
見ると、後方にとてつもなく巨大なスライムの群れがいた。
「え、『エンペラースライム』だと!?こんなに大量にか!?」
月間「スライムクラブ」の隠れ愛読者である将軍がそのスライムの正体に気が付いたときには、部隊はスライムたちに飲み込まれて全滅したのであった・・・。
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王都北側~「担当:カトレア」
「な、なんだあのきれいな女性は・・・」
「ダークエルフか?いや、違うな」
「ドリアードか?」
帝国軍北側の部隊は戸惑っていた。今まさに王都に攻め入ろうとした途端に、彼らの進行方向に妖艶な美女が出現したのだ。
「いったい誰でありんすか!あの妖艶な美女は!!」
帝国軍北側担当指揮官ゴワス将軍は、その妖艶な姿に見とれてしまった。彼は無類の女好きであり、これまでに多くの女たちを見てきたが、あのような妖艶な美女は見たことがなかった。
「はっ、おそらく『怪物殺し』の従魔ではないかと」
「あんな妖艶な美女を従魔にするだけなんてもったいない!!いくらモンスターでもあそこまで人に近い姿をしているとなれば手に入れたい!!お前らあのモンスターの美女をなんとしても生け捕りにしろー!!」
ゴワスは完全に王都侵攻よりも目先の美女にしか目がいかなくなっていた。だが、ほあの兵士たちも同じである。ここまで来るまでに女性の色気もなく、そういったものに飢えてしまていたのだ。そのため、彼らは野獣となって今まさにカトレアに襲い掛からんとしていた時だった。
「あなたたちのようなものに触れられたくないです」
カトレアがそうつぶやくと、収納していたゴーレムたちを出した。その数は100体にも満たしていなかったようだが、その起き差は人間の兵士以上。さらに、他の従魔たちからもらったアイディアによってさらに重武装までされていた。
そのあとに起こったことを想像するのは容易いことだろう。
数分後、その場に無事に立っていた兵士は一人もいなかった。皆、体中の骨がおられていたが、一応命はあった。
「私に触れていいのは他の従魔たちと、ご主人だけですから・・・」
頬を赤らめてつぶやくカトレア。しかし、その顔を見た者はその場にだれ一人残っていなかった・・・。
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王都西側~「担当:アルテミス」
王都の西側、そこではいま圧倒的な蹂躙が行われていた。
「ぎゃあああああああああああああああああ!!」
「助けてくれ――――――――――――――!!」
「こんなやつに勝てるわけがね――――――――――――!!」
そこには、ドラゴンの姿になって兵士たちをつかんでは投げ、つかんでは投げているアルテミスの姿があった。
「手ごたえなさすぎるのぉ」
アルテミスはそうつぶやいたが、かたやその被害にあっている兵士たちにとってはたまったものではなかった。
最初、ここにアルテミスは人化した状態でいた。
帝国軍の兵士たちはたかが身長がでかいだけの女だと罵った。
だが、アルテミスがその人を見下すような兵士たちの顔にむかつき、人化を解いて一気にに襲い掛かった。
兵士たちも最初はビビりながらもなんとか反撃しようと剣で切り付けてきた。
しかし、そこはこの地上では最強生物ともいわれるドラゴン。全く効かず、むしろ剣が刃こぼれした。
そして今起きている蹂躙である。
一応手加減もある程度はして、気絶した兵士を踏まないように歩き、わずか数分足らずで全滅させたのであった。
「さて、他の皆はどうなっておるかのぉ。特に主殿が。ハクロめ、主殿の足を引っぱってはおらぬだろうな・・・」
次回は王都東側~「担当:ゼロ・ハクロ」でお送りいたします。




