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閑話 アルテミスの一日

だいたいゼロが12~14歳ごろの間かな。ハクロに続いてやってみました。

 我はアルテミス。エンシェントドラゴンである。ゼロという名の主殿にお仕えしている従魔でもある。


 今日は、冒険者業はお休みの日だといって皆に自由に休みを与えてくれた。


 魔物使いの中にはそのような休みを従魔に与えない者がいるというが、我が主はちゃんと皆に休みを与えてくれるのである。


 我らは従魔ゆえ、常に主殿と行動しなければならないと思われがちだが、実際には従魔でも主から離れて活動できるのである。

ただ、何か問題を起こした時はその従魔の主の責任となるそうで、その辺は注意しなければならない。



 「とりあえず、どうしようかのぉ」



 主殿に休みをもらった我は、暇だから王都のスラム街ある孤児院に顔を見せに行くことにした。

 この孤児院は、親が冒険者で依頼などで命を落としていなくなった者や、捨てられた子供たちが集められているという。


 冒険者と聞くとかっこよく聞こえるだろうが、実際は毎日が危険である。モンスター退治の依頼、盗賊退治の依頼などと、常に生死の中にあるのである。


 ま、主殿はその我らの強さと、主殿自身の強さもあって危険は少ないがな。それはそれでどことなく面白くはないが。いつか主殿がピンチになったときにさっそうと助けてみたいのぉ・・・。

 


 孤児院につくと、相変わらずぞの孤児院はあちこちがボロボロじゃった



「あ、ドラゴンのお姉さんだー!!」

「久しぶりー!」


 我が孤児院に来た事に気が付いた子供たちが駆け寄ってきた。

 


「あ、お久しぶりですアルテミスさん」

「お、お主も元気だったのか」


 ここの孤児院の経営しておる園長、エルフのキャイさんも気が付いたようである。


「相変わらず個々の孤児院はぼろいのぉ」

「あはは、修理費用がないもんで・・・」


 この孤児院はもともとキャイさんが始めたことから始まっておるようじゃ。なんでも愛する冒険者がいて結婚まで誓い合ったらしいが、ある時その冒険者がここから遠く離れたダンジョンで起きた「モンスター・パニック」の対処に行った際に死んでしまったらしい。その時に絶望して死のうと思ったらしいが、その時にこのスラム街に捨てられていた赤ん坊を見つけて、せめて死ぬ前にこの子は育ててあげようとしたのが始まりらしい。


 その子はとっくの前に成人したそうじゃが、すっかり死ぬ気をなくしてしまってこうして孤児院を立ち上げたらしい。エルフは長命な種族ゆえ、こうして長い間子供たちを育て上げたという。


 で、ある時主殿が卒業試験にて咲かせた魔桜をふとその様子を見ようと思ってきた我は、この孤児院のことをたまたま知ったというわけじゃ。

 

 それ以来この孤児院に休たまにこうして来ておる。子供の純粋さは気持ちがいいものがあるからの。


 主殿には内緒にしておるがな。絶対ここの手伝いをするとかいいかねん。主殿は優しいが、子供の扱いには慣れておらぬであろうからな。


 だが、この孤児院に子供を託す人が多いらしく、今でも孤児院のエンゲル係数とやらが高くなっていて、経営的に結構厳しいらしい。国に孤児院の補助をお願いはしているが、それでも足りないという。


 それでも何とか借金せずに済んでおるのは子供たちが自分たちだけでもできるような王都の清掃などの小さな依頼を受けて、それで金を稼いでくれているらしい。

 冒険者登録をしていないのにそのような依頼を子供だけで受けると、まだランクが低い冒険者にとっては自分の手に入れられそうな収入が減るからと文句を言ってくるが、この王都にいる冒険者たちの大半はこの孤児院の事情を知っておるためそう言ってくる奴らを説得(物理)で黙らせてくれるという。


 ま、その冒険者たちの何人かはこのキャイさんに対しての恋愛感情があるのであろうが・・・。



「ねーちゃん、なんか考えていないで遊んでくれよー」

「この本読んで―」

「なんか面白い話いしてー」

「わかったから順番に待つんじゃぞ」

「「「はーい」」」


 とりあえず、我は子供たちの相手をすることにした。


「姉御!手伝いやしょうか!」

「我々も協力して子供たちの相手をしやすぜ!」

「おおそうか、ならば頼む」

「「よっしゃガキどもかくれんぼしてあそぼーぜ―!!」


 なんか我のことを姉御とかいうやつらもたまにこうしてここの孤児院の手伝いに来ておる。前にこの孤児院のキャイさんを襲おうとしたのを、たまたまいた我がぼっこぼっこにしていたいどういうわけか慕ってくれておる。何人かは冒険者でもあるようで、子供たちにいろいろ話してくれているようじゃがな。



 

 子供たちの相手をし、日が暮れてきた。


「じゃ、そろそろ我は主殿のもとに帰るぞ。その前に、くれぐれも我がここで子供の相手をしていることを絶対に主殿には言うなよ!!」

「はいはいわかっていますって。恥ずかしいんでしょ?」

「恥ずかしくはないわい!」

「だって普段は強気の姉御がここでは子供たちのお母さんのようにやさしくしているその様子がとてつもなくはずかし「だからそういう事は言うな!!」ぐっほっ!?」


 黙らせた後、我は孤児院に別れを告げて主のもとに帰宅した。


「お、アルテミス、今日は何してたんだ?」

「何、散歩していたまでよ」


 主殿が訪ねてきたが、我は孤児院のことをごまかし、風呂に入った後、そのまま従魔用空間へと入って寝たのであった・・・。




実はすでに王都中には噂になっているのだが、それはまた別のお話で・・・。

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