『王都防衛1』
防衛?
「結局こうなるのか・・・」
俺は目の前に迫り来る帝国軍を前にして呟いた。
時は数十分前に巻き戻る。
俺たちは王宮に来ていた。ギルドマスターであるメタドンさんが、国王様に直接帝国軍の知らせを届けるために走って行ったのを見て、あとで呼ばれる可能性があったのであらかじめきたのであった。
そして、王宮前にてうろついていたら案の定国王様に呼び出されたのであった。
応接間に入ると、そこにはメタドンさんと、知らせてきた男と国王様がいた。
「おお、割とすぐに来たぞいね」
「呼び出される可能性が有りましたからね。早めに来ておいたんですよ」
「ゼロはギルドにいたから聞いていただろうが、帝国軍が王都のすぐ近くまで来ている。それを全員捕まえてくれないか」
「え?捕まえる?」
捕虜にしろということか?
「一応ゼロ殿のことを考えてなんだぞい」
つまり、圧倒的力の持つ俺たちが帝国軍を全て倒すことができるのはわかっているから、その帝国軍を殺さずに生け捕りにできるという事実も見せつけたいということだった。
「戦場において難しいのは、人を殺すことでも傷つけることでもなく、ただ捕まえるということだからな。それができる実力を見せ付けて帝国側の戦意を削ぐという考えだぞい」
なるほどね。つまりその気になればいつでも簡単に殺せると示すわけか。
「でも変ですね。俺が今王都にいるというのに攻めてきているなんて」
前にあったルーナスも俺のことを知っていた。つまり、帝国側にその情報がしられているわけである。
「おそらくだが、甘く見ているんだろうな。しょせん魔物使いだの、エンシェントドラゴンはうそだのと考えているんだろ」
「ま、やってくれないかぞい?」
「わかりました」
別に殺さず捕まえればいいのだろう?
そして現在。俺たちは目の前から王都に迫り来る軍勢を見ていた。
「だいたい2000人、てとこでしょうか」
「たしか、帝国の兵力は万単位だったな。数が少なすぎるような?」
「まずは先行部隊で敵の兵力を調べようとしているのでしょう」
「そうやって、ある程度確認して、つかれさせてから本隊で攻めてくるというわけじゃな」
とりあえず俺たちの役目はいま迫り来る軍勢を捉えることにある。
「いいか、今回の目標はな、全員生きて捕らえるぞ」
「「「「了解‼︎」」」」
とりあえず、捕獲作戦を開始した。
そういえば王国の兵はというと、一旦俺たちが作戦を実行して、失敗したら攻めるようにと後ろに下がっていた。




