『さて、調査再開だ』
一応、調査を忘れません。
朝の危機を乗り越え、朝食をとり、俺たちは昨夜きた洞窟入り口の跡に来ていた。
「明るくなって改めて見ると結構辺りが荒れたなぁ」
「なんせあの熱量じゃ。周りに影響はでるじゃろう」
昨夜戦ったデンジャラスボックスを倒す時に、俺とアルテミスは強力な炎で倒した。だが、あまりにもその熱量が凄まじすぎてあたりが焼け野原にまでなっていた。
「これ自分たちがやったこととはいえ、結構すさまじいな・・・」
「なんせあの一回きりのチャンスでの攻撃じゃったからのぉ。全力をぶつけ過ぎたわ」
とりあえず、崩れた洞窟の入り口はあのモンスターが出てくる際に開通していたため、崩れないように慎重に俺たちは洞窟の中に入った。
「昨日よりもなんか洞窟の雰囲気が変わっていませんか?」
「そういえばそうだな」
昨日は言った時に比べ、洞窟の空気が変わっていた。どちらかというと自然な感じになったというべきだろうか?
「おそらくじゃが、あの黒魔石の影響が洞窟にもあったのかもしれん。あのモンスターは元はただの箱じゃったようだしな。この洞窟自体がモンスター・・・そうじゃのダンジョンみたいなものになりかけていたのかもしれん」
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「ダンジョン」
それそのものが巨大なモンスターではないかと言われるもの。ある時突然現れる。内部ではモンスターが生まれ、さらにどういうわけか様々な鉱石などが生み出される不思議なところ。10階数ごとにボスモンスターと呼ばれるモンスターの上位種や希少種が出現する。その危険性は高いが、うまいこと行けば貴重な資源の宝庫ともなる。そのダンジョンを生かして発展した都市や国も多い。ただ、どのダンジョンでも決まって20年に一度、ある満月の夜か、新月の夜のどちらかに「モンスター・パニック」と呼ばれるモンスターの大量発生と地上への進軍が起きる。そのため、その時期が迫ると多くの冒険者たちが協力して被害を食い止めようとしている。
ただ、それは毎回ひどい被害が出るらしい。モンスターランクはダンジョンにはない。また。一応モンスターみたいなものであるためか、最深部にはそのダンジョンの核があり、その核をその場から動かされるか壊されるかすると、断末魔が響き渡り、緩やかにダンジョンが崩壊してきて3日ほどで完全に消える。
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「それは少しもったいないことだったかな?それともモンスターの心配がなくなるからよかったのかな?」
「それはわからん。ただ、昨日のあのモンスターがいなくなったことでその影響が途切れ、ただの洞窟に戻ったようじゃの」
一応、ダンジョン化していたのならばモンスターが沸いている可能性があったので、俺たちは注意して昨日たどり着いたところまで進んだ。
「どうやらあの鉄の扉もぶっ壊れたようだな」
「開ける手間が省けたのぉ」
さらに奥まで進み、行き止まりにぶち当たった。
「結局ここまで何もなかったな」
「足跡もないようじゃし、昨日のモンスターが出たことによりどさくさに紛れて逃げたのかもしれん」
あの空飛ぶ影はいったい何だったのだろうか?この洞窟を住処にしているようだったし、あの黒魔石との関係性も気になった。
「まてよ、黒魔石か・・・」
「どうしたんですか?」
「いや、これまで黒魔石が原因の事件は何があった?」
少し気になることがあった。
「えっと、まずあのバカ坊っちゃんの時ですよね」
「そのあとはたしかあのハグエェの時じゃの」
「あとはたしか何とかとか言った公爵でしたね」
「そのどれもに共通していることはなんだ?」
「どれもが確かそれななりにお金もあって」
「地位が高い人物ばかりじゃのぉ」
そう、そして今回はこの領地でのものだ。モンスターだったが、それはあくまで黒魔石を保管していたただの箱。
「この地であの箱は黒魔石を保管していた。だが、その黒魔石自体は見られなかった。なぜだ?」
「そりゃ誰か金のあるところが・・・・あ!」
「そう、うちのくそ親父たちが買った可能性があるんだ。だから黒魔石自体は見つからなかった」
「でも、それと今回の調査対象であるものと何か関係があるのですかね?」
「そこはわからない。だけど、この事件、うちのくそ親父たちがかかわっている可能性が高いんだ」
怪人調査だったが、思わぬところで実家になにか黒い陰がある可能性がでてきたのであった。
ダンジョンのことだしたけど、この章が済んだら次はダンジョンに行かせたいな。




