『ガロン領へ2』
今回の章は結構長くなりそう・・・
王都を出発してから数日、俺たちはガロン領にやっと入った。
領地に入ったとわかるのは、そこから道が石畳に整備されていたからである。それまでの道は土がむき出しになっていたが、貴族領は商人による行商が行き来することもあり、そのためにある程度は道が整備されているのであった。
「だいたいあと30分ほどでフォントス村につくぜ」
「じゃあ、そこでおろしてください。だいたい2週間ほどかけて調査するつもりなので、2週間後にこの村にまた迎えに来てください」
「わかっているよ坊主。一応そういう予約をしているもんな。料金はしっかりもらっているからちゃんと2週間後に迎えに来るぜ!」
少し経ち、やっとフォントス村に俺たちは着き、そこでアンネルさんと別れてまずはこれから泊まる予定の宿を探すことにした。
村は重税をかけられているせいか、どことなく道行く人たちの活気がないようだった。来ているものはすでにボロボロで、穴だらけで、家なんかもかなり傷んでいるようだった。
「結構ひどいありさまじゃのう。もうなんか貧しい農村なんかといった方があっているのではないか?」
「久しぶりにこの領地に戻ってきたけどやっぱ結構ひどいな」
「なんかもう希望がないなんて感じがしていますもんね」
ちなみに、今スラ太郎とカトレアは従魔用空間にてぐったりしていた。なんか馬車酔いしたらしい。というか、アンネルさんの臭さが原因なのではないだろうか・・・。
ハクロたちは結構そういう事には耐性があるようだった。一応状態異常には強い種族らしいからね。て、それってアンネルさんの臭いが状態異常にさせているのと同じだといっているような・・・。
「おい、あの男なかなかの美人を連れていないか?」
「ああ、かなりの上玉だな。しかし、あれってアラクネじゃないか?」
「美しいアラクネを連れている・・・・あ、怪物殺しか」
「なんだそれ?」
「あいつについている異名だよ。確か冒険者魔物使いのゼロだっけな?」
「ゼロっていえばここのひでぇ領主のとこの三男坊じゃなかったけ」
「確か家がいやになって出て行ったとかいう話だったが・・・」
「ま、ここにひどい税金をかけるやつらさ。そんなやつらのとこにいたらいくら身内でも嫌にはなるだろう」
「あいつがここの領主になってくれればいいのにな。聞いた話じゃ次期当主候補の二人は読み書きができないそうだからな。よけいここがひどくなる未来しか見えないぜ」
「でも、三男らしいからな。継げないだろうな。本人もこういう事には興味がないらしいしな」
「はあ・・・・・」
結構ひどい状態になっているようである。というか、兄貴たちはまだ読み書きができなかったのか。
「結構主殿の兄弟もひどいようじゃの。もうこの領地はおしまいじゃな」
「ゼロ様が代わりに領地を継げばいいのに」
「いや、もらう気はないよ。この領地の未来がなさそうなのは目に見えているからね。そう遠くない間に反乱がおきてつぶれるだろうな」
このときの言葉がまさかフラグになっていたとはこのときの俺は予想もしていなかった・・・。
とりあえず、泊まるところを探したはいいが、どこもかしこもひどいありさまで泊まれたようなもんじゃなかった。
「どこもひどいな。まだきれいにできていれば客も来そうなもんだが」
「さすがに税金で絞られ過ぎて余裕がないのじゃろ」
仕方がないので、野宿しようかと思っていた時であった。
「へーい!そこの美しい従魔たちを連れたお兄さん!うちに泊まっていかないかーい!」
なんかテンションがおかしな人が来た。
「えっと、どなたですか?」
見た目が中途半端に破れた服と、でかすぎるサングラス、赤いニット帽のようなものをつけていて、怪しさ満点の男性だった。年齢的に20代ぐらいか?
「俺っちはYO!気ままに踊るっ!移動宿屋のジョン・デーだYO!」
なんかあれだ。ハイテンション過ぎておかしな人だ。
「移動宿屋ですか?」
「そうだYOチェケラッツ!俺っちたちは各地を回りHI!冒険者たちにYO!泊まるところを提供してるんだYO!」
いちいちリズムに乗りながら話すなよ。なんか呆れすぎてきたんだが。
その宿を見せてもらうと、大型の馬車のようだが、その荷台にはしっかりとした居住スペースが作られていた。ああ、キャンピングカーみたいなものか。聞くと、まいにち三食は付くようである。
「1泊で大体HEI!3500ゼンだYO!たくさん泊まるほどYO!安くするYO!従魔がいても大丈夫だYO!」
「そうか・・・2週間ほど泊まりたいんだが」
「え?主殿、この怪しすぎるところに泊まられるのですか?」
「なんかこう怪しすぎるんですけど」
「ま、安いしな。ほかにないし」
「2週間ほどならっNA!3万ゼンでいいYO!!」
「じゃあお願いいたします」
怪しすぎるものの、とりあえず泊まるところが決まったのであった。
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その夜
「なぁ、昼間怪しまれないようにしていたがどう思った?」
「いいんじゃないかな。これであまり怪しむ人いはいないと思うよ」
「私としては結構怪しまれていると思うんですけどね・・・」
ゼロから金を一応とるために宿屋に化けたはいいが、どこか方向性を見失っていた3人がいたという。
ふざけた感じのところはラップを鳴らしているイメージで作りました。
この役を演じていた人の黒歴史になりそう・・・




