『依頼の達成報告しに行く途中2』
今回は少し短め
とりあえず、盗賊たちをハクロの糸で作った縄で縛り、カトレアが木を生やして馬車型のゴーレムを作ってその中に閉じ込めた。
「これでいいはず。中は一応木の実が生えるからたべものには困らない。排泄物なんかはこのゴーレム内に作ったトイレにすれば、このゴーレムの栄養にされるから問題ない」
「おー、なかなかすごいのが出来たねカトレア」
「うん。しかも、中から逃亡できないように硬い木を使った」
「坊主の新しい従魔はすごいな。ゴーレムを作っちまうなんてなんてモンスターだよ」
「名付けて『木馬車1号』」
「ネーミングセンス以外はな」
盗賊たちをゴーレムの中に入れた後、さっきまで盗賊に追われていた馬車が近づいてきた。
馬車の周りにいた護衛らしき騎士がこっちに話しかけてきた。
「すいません、助かりました」
「いえいえ、当然のことをしたまでですよ」
「いやぁ、我々騎士団が付いていながらも盗賊にかなわないとは情けない限りです」
「あの盗賊たち仲間意識だけは強そうでしたからね。上手いこと混乱してくれて倒しやすかったですよ」
「そういえば、その馬車にのっているのはだれなんだ?見た限り貴族の者みたいだが」
アンネルさんが疑問を尋ねると、その騎士は少し困った顔をして、馬車の中にいる人と少し話したかと思うと、こっちに話してきた。
「えっとですね、こちらの馬車に乗っておられるお方は少し事情がありまして、その身分はお話しできません。ですが、その先ほどの盗賊たちを倒したモンスターの主と、馬車の中で少し話したいと言っておられますがどうでしょうか?」
ふむ、そうきたか。どうしようかな?身分を明かせないということは何か事情があるのだろうがなんとなく怪しいし。ま、いっか。
「いいですよ。でも、5分だけにしてください。こちらも先を急いでいますし」
「ええ、構わないそうです。どうぞこちらへ」
念のため、ハクロたちは馬車の外に待機させて中に入ると、そこは広い空間になっていた。
「どう考えても馬車のサイズとこの空間のサイズがあっていないんだが・・・」
「ふふふ、驚いたでしょう。この馬車には空間拡張魔法がかけられているのよ」
ふと、気が付くと、馬車の中なのにそこには大きめのソファーと机があり、そのソファーに女性が座っていた。高級そうな感じの紫色のドレスを身に着け、髪は金髪、瞳は青の20代前半ほどの人だった。
「えっと、この馬車の人でいいんですよね」
「ええ、一応そんなに気を使わなくてもいいわよ」
そして一応向かい側に俺は座った。
なんとなくだが、にじみ出ている雰囲気がどこか王族のような感じがしており、それでありながらあの国王様とも違うタイプでの厄介そうな人だなという印象を覚えた。
「そうね、一応身分は隠しているけど呼ぶ名前がないと会話に不便よね。私のことはルーナスとでも呼んでちょうだい?ゼロさん」
「なんで俺のなまえを!?」
まだ名乗っていないんだけど!?
「だって、美しいアラクネを連れた魔物使いってあなたしかいないでしょ?」
あ、ハクロがいる時点でわかったのか。そういえば港町でもそれで名前を知られていたんだっけな。
「そうなんですか、それで俺の名前を知っていたんですか」
「そうよ。あなたは自覚ないかもしれないけど、国外に住んでいる私でもそれなりに名前は知っているのよ」
なんか嫌だな。適当に平和に冒険者として暮らしたいんだけど、他の国に知られているようなら何かちょっかい受ける可能性が出てくるもんな。なんかもう遅い気がするけど・・・あれ?いまなんと?
「って、国外でもということはあなた「ルーナスよ」・・・ルーナスさんはこの国の貴族とかではないんですか?」
「そうよ・・・ってあ、私身分明かさないのに情報与えちゃった」
なんだろう、この人なんかハクロと同じドジな感じがするんだけど・・・。国外ってことはもしかして帝国?いや、戦争を仕掛ける相手の国に、わざわざこんな身分が高そうな人をこんなところに行かせるか?帝国以外の人に違いない。
「ルーナスさんはなんでこんな国に来たんですか?」
「えっとね、観光よ。帝国だとこういうところにあるアクセサリーとかないから新しいのがほしくて・・・あ、また言っちゃった・・・」
この人どんだけあほなの!?帝国の人だって今暴露しちゃったも同然だよ!!
でも、なんか悪い人ではなさそうだな・・・あほっぽいけど。なんか落ち込んだし。
「もうめんどくさいわ!もうこの際だから私の身分を明かすわね。私はウィーキッドネス帝国第1王女のゼル・ウィーキッドネス・ルーナスよ」
もう開き直って暴露しちゃったよこの人!!なんだったんだよ!さっきまで身分隠そうとしていたのにもうあっさりあきらめてばらしちゃったよ!?
次回に続く。
なんかこの人あほかな?意味深げに出していたことあるのになんかあほっぽくなってきちゃったんだけど。




