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『休暇かな?』

今回は宿探し

 ギルドに報告し、いったん経過観察をするために俺たちは宿を探すことにしたのだった。


「港町なだけにかなり宿があるな」

「王国最大の港町らしいですからねぇ」

「なんにせよ従魔も泊まれるところがいいのぉ」

「「ヤドー」」


 いくつか見て回り、予算的にも宿の条件的にもよさげなところがないか探していると一軒の宿が目に留まった。


「『竜の宿』か」


 なかなかきれいそうだし、結構でかい宿だった。


 中に入ってみると、それなりにゆったりとした感じだった。とりあえず、宿の受付に向かった。受付は若い少女だった。


「すいません、この宿って従魔を連れていても宿泊が可能ですか?」

「ええ、可能ですよ。この宿は昔、あるドラゴンが人化してこの宿に宿泊していたらしく、それが由来で宿の名前が『竜の宿』となったらしいんですよ。そのため、またそのドラゴンさんがこの宿に来ても泊まれるように従魔でも一緒に泊まれる宿にしたんですよ」

「ふむ、人化した同族がのぉ・・・。もしかしてあいつか?」

「アルテミス、何か知っているの?」

「うむ、2,30年ほど前に人間の宿に泊まった同族がおったらしくてのぉ、そのあとしばらくの間その宿に泊まりに行くやつが増えたと聞いておる」

「あの、そちらの方はいったい何を話しておられるのですか?」

「我か?単に同族の話をしただけなんじゃが」

「えっ、てことはあなたはドラゴンなんですか!?」

「そうじゃよ。我はエンシェントドラゴンで、今は主殿の従魔となっておる」


アルテミスが自分のことを言ったとたん、その少女の目が輝いた。


「えっ!!本当なんですか!?この宿にドラゴンの方が泊まられるなんてすごく感激です!!」

「そんなに珍しいことかの?同族たちはこういう反応が見たいがために結構簡単に正体をばらすもんじゃが・・」


 簡単にばらすのかよ。大丈夫かよドラゴンたち。まあ、その力を考えればあんまり危険はないんだろうけども。


 そのあと、感激のあまりアルテミスにサインを求めた少女は鼻から大量の鼻血を吹き出しつつも部屋に案内してくれた。


「こちらの部屋になります。ドラゴンのお客様ということで、宿の中でも最高級の部屋にいたしました」

「あの、料金は1泊いくらなんですか?」

「そうですね・・・本来ならこの部屋はお一人様1泊当たり2万3千ゼンですが、今回はドラゴンのかたも泊まるということで特別に1万ゼンにいたします!!」

「え?赤字とかにならないですよね?」

「大丈夫です。生活を切り詰めれば何とかなります」

「本当に大丈夫かよ!?」


 何やかんやと言い、結局その値段で泊まることにしたので、ポセイドンクラーケンが陸上に上がってくることも考えて1週間分を一気に渡して1週間この宿に泊まることにしたのであった。


 そういえば、ハクロたちの分も数えるべきか聞いてみたところ、従魔なので別にいいといわれた。


 とりあえず部屋に入り、これからしばらくどうするか決めることにした。


「アルテミス、レヴィアタンがポセイドンクラーケンの説得をしているようだということでいいかい?」

「間違いない。はっきり説得しておるように聞こえた。ポセイドンクラーケンでもおそらくはこの海最強のレヴィアタンには逆らいたくないはずじゃからな。ただ、なんでレヴィアタンがそんな説得をしたのか気になるところじゃがのぅ」

「モンスターの立場から言ってみれば、別に他人に対しての説得などはほとんどしないはずなんですが・・・」


 うん、モンスターだけど他人というところは気にしないでおこう。だが、それだと意味が余計分からなくなる。


「レヴィアタン以外にもシーサーペントがいたんだろう?そっちは確か凶暴なはずだったよね。むしろポセイドンクラーケンと一緒に暴れそうな気がするんだけど」

「うーむ、何か事情があるかもしれんが、これ以上は聞き取れんかった」


 とりあえず、難しいことを考えるのが嫌になり、その話はやめた。


「でだ、とりあえず普通ならあいつはあと4日ほどで陸に上がってくるんだよな。その時に網で捕獲し、そこからぼっこぼこにすればいいと思うが、それまで何をしようか」

「休暇みたいなものでいいじゃろ。この前の依頼からそんなに日がたっておらぬしな。たまに休むのがいいじゃろ」

「賛成です!たまにはゆっくりしたいですもんね」

「キュウカ?」

「お休みするってことだよ」

「ヤスム・・・・ヤスムー!」

「キューカ!キューカ!」

「じゃあ、全員一致でしばらく休暇ということでいいかな?一応気が抜けないが、そうしようか」

「「「「「やったーーーーーーーーー!!」」」」


 とりあえず、何かあるまでつかの間の休暇を楽しむことにするのであった。しかし、もっと別の場所でとりたかったな。ま、またの機会でいいか。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 近い、もうかなり近い。探している人は間違いなくこの近くにいる!


 それは港町で皆が寝静まった深夜、夜の街に侵入していた。自身が求めている人、その人が近くにいるとそれの勘は告げていた。


 だが、これまでのことから考えて自分を目当てにやってくる人たちが自身を見つけたときに何か騒ぎを起こしそうなのがわかった。そのため、今夜のところはいったん町から出て、朝になるまで血悪の森に隠れて寝るのであった・・・。

休みがもらえるときに限ってあまりいい状況じゃないことって多いよね。

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