『ギルドにいったん報告』
ちょい短め
「へっくし!!」
「あれ?ゼロ様くしゃみしましたね。風邪でも引いたのですか?」
「いや、なんかいまうわさされたような・・・」
ポセイドンクラーケンの現在の位置を確認したところ、そこに別のモンスターがいることを確認した俺たちはいったん港町のギルドに戻って報告することにした。
「すいません、今受けてる依頼について少し報告がしたいんですけど」
「えっと、ゼロさんですね。・・・ああ、ギルドマスターとの話になりますので執務室にお入りください」
ギルドに入り、受付で報告がしたいといったところどうもギルドマスターを通してじゃなきゃダメなようで、この港町のギルドマスターがいる執務室にはいることになった。
「失礼いたします。Bランク冒険者魔物使いのゼロと、その従魔たちですがご報告したいことがあります」
「・・・はいれ」
念のためドアアをノックし、中に入るとそこには一人の人物がいた。が、その姿に俺たちは少し驚いた。体が半分透けていた清楚な格好をした女性だったからである。
一応、ポアさんは珍しく人前に出てきた上位精霊で、いつの間にかギルドマスターになっていたという話は聞いてはいたが、その姿が透けている以外は人間と変わらないのでびっくりしたのであった。
「・・・えっと、このギルドのギルドマスターのポアさんですよね」
「そうだが何か言いたいことでもあるのか?」
「あの、ご報告したいことがありまして」
そしてその姿がやや幼い子供の姿であることには突っ込まないで、俺は今回の依頼について確認したことを話した。
「なるほど、ポセイドンクラーケンだけではなくレヴィアタンやシーサーペントまでもがいたと」
「はい、そうなんです」
一応姿が子供のように見えるのに、おとなびかせた感じがなんか妙に笑いたかったが、こらえた。仮にもギルドマスターであり、精霊でもあるポアさんを怒らせたらまずいと思ったからだ。他のみんなもそれぞれ腕をつねるなどしてこらえていた。スラ太郎だけは全くそんなこと思っていないようだったけどね。ただまねしているだけだよねそれ。つまんでる指と腕が一体化しているんだけど。
「そうか・・・ならば、そのモンスターたちが暴れだしたら何とかしてもらいたいですね。うまいこと行けば3体とも共倒れになりますしね」
「つまりいまはようすみでいいと」
「ええ、だから今は暴れるか消えるかはっきりするまではここの港町に滞在してちょうだい。ギルドで見張っておくから、このことはほかの冒険者たちにも内緒でね。さすがにSランククラスが3体もいるとなると大混乱は免れないですからね」
俺の従魔はそのクラスにあたるらしいが、従魔だから別にそんなことにはならないとか。
とりあえず報告を終え、俺たちは部屋から出て、これからあのモンスターたちに動きがあるまではこの港町に待機することになった・・・。
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ゼロたちが部屋から出た後、ポアは一気にソファにもたれかかって脱落した。
「な、なんであの冒険者に『精霊王の加護』があるのよ・・・。精霊王様が加護を授けた人間って初めて見たわ・・・。それにあの魔力、魔物使いじゃなくて魔法使いならまだ分かったけどそれにしては無駄すぎるほど多かったわね・・・」
ポアは上位精霊だ。人の姿になり、人間と会話ができるがその根本は精霊のままだ。そのため、ゼロについていたスキルと、その魔力の多さに対してプレッシャーがかかっていたのだ。平然と話したつもりだが、今はもう体中が汗を拭きだすほどのものであった。
「とりあえず、ギルドのものに確認を取らせて、今はそのままにしておきましょう」
深く詮索しても自分のためにはならないと直感で感じ取ったため、とりあえず今はその報告通りか確認させようとしていたところであった。すると、その時机の上に置いてあった1枚の板に何枚かの紙が転送されてきた。魔道具で、ギルド間での書類のやり取りに使われるものである。
「んん?王都のメタドンからね。なになに・・・」
その報告を呼んだポアは、このあと起きるであろう出来事に頭を悩ませたのだった。そして、今回のゼロの報告内容を転送仕返し、いったん考えるのをやめたのであった。
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潮風がしてきて、体に心地よい風が吹いてきた。どうやら海とやらが近いらしい。そして、この海の近くに自分が求めている人がいるようだ・・・・。
それは、やっと目的の人の近くに来たということに心から歓喜したのであった。
次回どうなるかは予想できるかな?




