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『予想通り?依頼ですよ』

 ちなみに、前話で受けた依頼は町の清掃だった。これしか残っていなかったんだもん。

 依頼がその日のうちに終わってしまい、俺たちがギルドに戻ってきた瞬間にいきなりその場にいた冒険者たちが俺たちに向かって一斉に土下座してきた。


「「「ゼロさんどうかこの依頼を受けてください!!」」」

「え?え?なんだいきなり?」


 困惑していると、受付の方から誰かが歩いてきた。


「ランクB冒険者魔物使いのゼロだな?」

「はい、そうですが」


 俺に尋ねてきたその人物は、ものすごく濃いひげを蓄え、その割には頭頂部が寂しい少し背の低いおっさんだった。肌が少し土色をしているところを見るとおそらくドワーフであろう男性だった。


「わたしはこのギルドのギルドマスターのメタドンだ」

「ぎ、ギルドマスター!?」


 さすがにそれは驚いた。各地にあるギルドにはそれぞれギルドマスターというギルド内でも偉い人がなる職業がある。ギルドマスターになるためにはギルドに入社して、その力を認めてもらわなければなれないというギルドに勤める人の最終目標でもある職業だ。また、冒険者たちにとってもギルドマスターたちは自分たちのことを1番大切にしてくれる存在でもある。そんな存在の人がなぜか俺に話しかけてきた。


「ここで話すには少し騒がしいから、二階にある部屋で話そう」

「は、はい」


 そして俺たちはそのままギルドマスターの部屋である執務室に連れてこられた。


「さて、冒険者ゼロよ。君をここに連れてきたのは訳がある。とある依頼を引き受けてもらいたいからだ」

「あの冒険者たちが一斉に土下座してきたのと関係があるのですか?」

「ああ、彼らはその依頼を受けさせられることを恐れているからね。まだ君はBランクだが、君とその従魔たちの実力はみな知っているからね、何とかして受けてもらいたいんだろう」


 あ、これ何の依頼か読めたわ。昼間のあれだな。


「受けてもらいたいという依頼はな、『ポセイドンクラーケン』の討伐だ」

「ポセイドンクラーケン?」


あれ?クラーケンじゃなかったの?ポセイドンクラーケンてなんだ?ポセイドンっ

て確かギリシャ神話の海の神の名前だったよな?


「ポセイドンクラーケンについてはこれを見ろ」


 メタドンさんから渡された紙にはその情報が載っていた。


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「ポセイドンクラーケン」

クラーケンの希少種。共食いを繰り返したクラーケンが進化した進化種とも考えられている。クラーケンと異なり、体の色が全体的に青く変色し、槍のように刺すことに特化された2本の触腕を持っていて、船を一突きにて貫通させる。かなり凶暴な危険種だが、どうやら1体しかいないらしく、その姿は100年に一度見られるか見られないかと言われるぐらいめったに出ない。現在のところ300年前に出没したのを最後に目撃されていない。ランクは希少種、あるいは進化種でもあり、ひとたび現れると陸上にも上ってきて甚大な被害を持たらすためSランクとされている。いまだに討伐されていない。


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「・・・滅茶苦茶やばい奴じゃないですかこれ!?」

「く、クラーケンの希少種ですか・・・」

「我もまだ見たことがなかったな。なるほど、そんな感じなのか」

「イカー?」


 完全に「触るな危険」レベルのモンスターじゃん!!なんでこんなもんがいるんだよ!!


「どうやら現れたのが普通ではないようでな、古い文献を調べたところこいつではないかと出てきたんだよ。相手がSランクモンスターなら、本来なら関わり合いを持たないようにしたいところなんだが、相手さんから攻めてくるタイプのやつのようでな、過去に姿を現した際にはそこにあった国が滅亡したともいわれているんだ」

「なんでこんな依頼を出してくるんですか!?」

「国に何とかしてもらいたいところだが、兵士なんかじゃ無理だ。こいつを倒したいのだが、討伐できていないところから考えるとおそらくSランク冒険者たちが束になってもかなわんだろう。というか、集めるまでの時間がない」

「そんなのできるわけないじゃん!!って、時間がないとはどういう事なんですか?」

「こいつはな、どうやら1度姿を見せたら1週間は海中に潜っていて、そのあとに陸上に上がってくるらしい。おそらくだが、イカとおなじくエラ呼吸なためにその酸素の確保のために海水を体に蓄えるのだろう。そして、限界が来たら海に戻っていくらしい」

「そういうことですか・・・って、こんなやつどうやって倒せと!?」

「まあまあ落ち着け。お前の従魔にはエンシェントドラゴンがいるだろう。そいつなら倒せないか?」


 そうだった。ランクSならアルテミスだって同じだった。ハクロたちもそれにあたるし。


「アルテミス、こいつを倒せるか?」

「無理じゃな」


 即答である。


「な、エンシェントドラゴンでも無理な奴なのか!?」

「そうではないが・・・あれじゃ、こう、生臭いのは苦手なんじゃ・・・」

「「「そこかよ!?」」」


 まさかの事実。


「だってじゃ、2000年ほど前にクラーケンを食べてみようかと思って、海中に潜って陸上に引きずりあげたらすごく生臭くての・・・。あれは軽くトラウマになっておる・・・」


 なんか遠い目をしながらアルテミスは言ったのであった。


 そっか、アルテミスでも苦手なものがあったんだな・・・。というか、そんなに生臭いのかよ。


「ああ、それなら大丈夫なはずだ。記録によると生臭くはなかったようだ。クラーケンとは少し違うようなモンスターだからな」

「よし、それならさっさと倒そうではないか!!」


 生臭くないと聞いた途端一気にやる気になったよ。そんなに生臭いのは苦手だったんだな。


「では、依頼を受けてくれるということでいいな?」

「俺はアルテミスがやる気になったからいいけど、ハクロ、スラ太郎、この依頼受けてみるか?」

「受けますとも!!海にも行ってみたいですからね!!(あと、アルテミスの苦手なもの聞いたしね)」

「「イカタオスー!!」」


 やる気十分だった。というか、ハクロ今なんか変なこと考えてなかった?


「よし、それでは早速だが向かってくれ。できるだけ早く行ってくれないとやつがもう陸上に上がってしまうからな」

「え?もう?」

「1週間ほどで陸に上がるといっただろう。ここからこいつが出た港まで馬車で3日かかる。こいつが出たのは連絡によると今日の朝方らしいからな。後1週間しか猶予はないんだ」

「なるほど、ではなるべく早く出発します」

「ああ、頼む」


 こうして依頼を受けることにしたのであった・・・。それにしても海か・・・。あれ?なんか忘れているような?



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 エルフたちがいた森から、王都まで道の途中にそれは走っていた。いや、それが走っていたというには少し違う。。座っていた・・・それでいいのだろう。とにかく座りながら走っていたと考えている方がまだいい。


 それは、あの時大きな力を感じた。そして、その源であろう人間を見た。そして、何か直感的に来るものがあったのだろう。


(会いたい。そして・・・・・)


 その思いだけでそれは、その求める者のところへと感じるままに進んでいったのであった・・・。

クラーケンのモデルはわかりやすくイカを参考にしています。イカのモンスターだもんな。

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