『指名依頼??』
戦争参加依頼
指名依頼
募集依頼
これら3つの依頼をまとめて三大めんどくさい依頼と冒険者たちの間では言われている。
王宮でのやり取りのあった3日後、俺たちはギルドに来ていた。一応、王宮からギルドに話が通されていて、一応依頼達成報酬を受け取ることができるようなので受け取りに来たのであった。ちなみに3日間の間にローズとのデートもしてある。
受付に向かうと、周りからちらほら注目を集めていた。
「おい、最近見なかったあいつが戻ってきているぜ」
「そういえば昨日ドラゴンが王都に現れたな。あいつの従魔だったな」
「アルテミスの姉御か、ならなんか納得いくな」
「おい、なんだあいつそんなにすごい奴なのか?」
「ああ、あいつはゼロって名前の魔物使いでな、連れている従魔たちが半端じゃない強さを持っていてな、あいつ自身も強い」
「はぁ!?魔物使いなのにか!?」
「ああ、1年前に王都に怪物が現れ、それを倒したのもあいつだった。とんでもない魔法でな」
「魔法使いになっていないのが不思議なんだが・・・」
「だよな。だから何とかして魔法使いに転職させて自分たちのところに引き込みたい思っているやつもいるらしい」
周りからいろいろ聞こえてきたが気にしないことにした。
受付に向かうと、今日の受付は普通の人間の女性だった。
「依頼達成報酬を受け取りに来たのですが」
「えっと、ゼロさんですね。・・・ああ、ありました。こちらが今回の依頼の報酬となります」
今回の依頼で受け取った報酬は2800万ゼンと、珍しい希少鉱石だった。
「確かに報酬をいただきました」
「あと、ゼロさんに『指名依頼』がきていますがどうしますか?」
「『指名依頼』ですか・・・」
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「指名依頼」
冒険者に普通よりも高い報酬が渡される依頼。依頼の内容に関しては様々で、貴族の護衛だったり特定のモンスターの盗伐だったりする。指名依頼は冒険者を指名して依頼ができるため、高ランク冒険者ほど指名依頼が多い。一応拒否権はあるが、陰湿な貴族が相手だった場合には報復が来る可能性が高い。
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「どんなものなんですか?」
「えっとですね、『モンスター討伐』みたいなんですが、そのモンスターがちょっと・・・・」
「え?」
依頼の内容を見せてもらうと、その内容にあったのはとあるモンスターだった。
「『グライトス王国沿岸部に出没するモンスター「クラーケン」の盗伐』?」
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「クラーケン」
有名な巨大なイカのモンスター。しかし、普段は深海に生息しており、めったに人前には出てこない。出てきた時には必ず人を襲う凶悪な海のモンスター。ランクはA。
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「『クラーケン』なら国が冒険者たちに募集依頼を出すレベルのモンスターですよね?それなのになぜかゼロさんピンポイントで指名依頼が来たんです。それに、そこにクラーケンが出たとかいう話は聞きませんですし、なんか変な依頼なんですよ」
確かに、Aランクモンスターともなれば国が依頼を出すレベルだ。だが、この依頼主は国からではなかった。
「依頼主は『ゴウテツ伯爵』か。聞いたことがないな?」
「その沿岸部は確かゴウテツ伯爵の領地のはずなんですよね。しかし、念のため問い合わせてみたところそのようなモンスターが出たという知らせはないようなんですよね。しかも、そんな依頼は出していないと
いう事でして、誰かがその名前を偽って出した可能性があるんですよ」
あまりにも怪しすぎる依頼である。どう考えてもやばい感じしかしない。
「拒否は確かできますよね」
「はい、可能です」
「じゃあ拒否いたします」
「では、依頼主にはそのようにお伝えしま『大変だーーー!!』え?」
依頼を拒否するという書類を書こうとした途端、ギルドにだれかが叫んで飛び込んできた。見ると、少しやせ気味の若い男性だった。
「おい、どうしたんだ!!」
「く、クラーケンが出たんだ!!」
「「「はあっ!?クラーケンだとっ!!」」」
「ああ、間違いない。情報にあったその巨大なイカの脚は間違いなくクラーケンだ!!」
「ここから沿岸部までは馬車でも3日かかるだろ!!それにそんな情報が来るなら、まずその領地を収めている貴族が先にその情報を受け取るだろうが!!」」
「私はその貴族なんだよ!!」
「あ、あなたはゴウテツ伯爵!!」
「「「え!?」」」
どうやらその駆け込んできた男は先ほどの依頼の話にあったゴウテツ伯爵本人のようだった。受付嬢はその姿を見ていたために、覚えていたようであった。
「ああ、私はゴウテツ伯爵だ。とりあえずまずここのギルドマスターに会わせてくれ!!」
「わかりました。では、少々お待ちください!!」
出たモンスターがクラーケンだというのもあって、あわただしい雰囲気になった。
俺たちはなんとなくめんどくさい予感がしたので、急いで別にあった依頼を受けることにして即座にギルドを出たのであった。
さて、その依頼はいったい誰が出したものでしょうかね?まるでこれから起きることをわかっていたかのような依頼を・・・。




