第四話 異世界へ、そして契約
リアルが少々忙しく中々更新に手が伸びておりませんでしたすみません。
これからはなんとか週1ペースで書いていきたいです。
それでは、、、どうぞ。
「本当か?」
少し驚いたように返してきた。
「それ以外に、道は無いと思うから」
「言われればそうか、、分かった、少し待ってくれ」
イガルムはそう言うと、後ろを向いて何かを言いながら片手を前に突き出した。
――――キーーーーン.....!
強い耳鳴りような音が聞こえてきて、思わず目を瞑り、少し後退りした。
「よし、できたぞ」
「一体何をしたの?」
「魔法だ」
魔法...あくまで空想でしかないと思っていた。
でもそれが、今自分の前で行使された。
目の前には、白いようなモヤモヤした煙のようなものが立ち込めている。
既に、本来はあり得ないことが起き始めていた。
いや、ドラゴンがいる時点であり得ないのだけど。。。
そんな事を考えている内に、気づくとイガルムは目の前まで寄ってきていた。
「何をしている。早く行くぞ」
「え、あ、うん。ごめんなさい」
「謝る必要はない。驚いても仕方あるまいな、、行くか。
背中に乗ってくれ、この煙の中を飛べば着く」
そういって背を向けて、体を下げてきた。
恐る恐る、まず鱗を触ってみた。
暖かくて、ツルツルしている。少し感動して、ほっとした。
尻尾に足を掛けて、翼の横辺りまで登った。
「乗ったようだな。しっかり捕まるんだ、落ちるんじゃないぞ」
そう言われて、少し鱗を強めに握った。抵抗はないみたいで、大丈夫そうだ。
「行くぞ」
一気に加速して、煙の中に入った。中は少し冷たくて、そしてなにも見えない。
地面を走っていると思ったら、気づいた時には飛んでいた。
風が強くて、思わず飛ばされそうになった。
「体制を低くしろ、飛ばされるぞ」
言われた通り低くすると、風が弱まった感じがした。
暫く飛んでいて、慣れてきた位の頃だった。
――――ッシュン!
瞬間的に風が物凄く強くなって、反射的に目を瞑って背中に張り付いた。
そして目を開くと、そこには・・・
下には渓谷、遠くには、果てしない位広い草原が見えた。大自然だ。
自分は思わずその光景に見とれてしまった。
絵を描くときは大抵自然の物を描いているが、今まで見てきた中でもこんな綺麗な景色は見たことがない。
「別世界だな・・・」
誰に言うわけでもなく、独り事を呟いた。
「そろそろ降りるぞ」
ゆっくりと下へ降下して、さっきまでは遠くに見えていた草原に着地した。
背中から降りて、遠くを眺めていると、
「何はともあれ、無事でよかった」
景色に見とれて半分思考停止気味になっていたが、この声で呼び戻された。
「改めて、助けてくれてありがとう」
感謝の言葉を、もう一度返す。
そして、疑問を投げかけた。
「どうして、自分を助けてくれたの?」
助けてくれた理由が分からなかった。
考えれば、弱い人間を、強いドラゴンが助ける理由がない。
返事が返ってこなくて、顔を見た。
重々しい顔になっていた。
さっき言った台詞とは明らかに合っていない。
少し怖くなった。
「助けた理由か…それはな」
息を呑む。
「我の相棒になって欲しかったのだ…」
「え?」
自分が少し戸惑っていると、繋げてきた。
「この世界では、相棒のいない者は激しく差別される。
街に入る事すら大抵許されず。いる者といない者では格差が大きいのだ。我も、何度も差別を経験していてな…ずっと孤独なのだ…」
「なるほど…」
「どうする?」
自分には拒む理由は無かった。
そもそも自分も相棒がいない事になっているのだから、ここでならなかったら間違いなく差別され続ける。
そして何よりも、死に際だった自分を助けてくれた恩があった。
イガルムは、これらのこともあって話を持ちかけてきてるのだろうと思った。
答えは一つだった。
「いいよ」
「本当に、本当にか?」
少し驚いているのが面白かった。
でもそれは、相棒を持てる事に対する嬉しさがあるからなんだろう。
「自分だって相棒を持っていないのだし、何より、助けて もらったからね」
これから長くを共にするわけになるのだから、そう思って包み隠さず言った。
「確かにそうだな、、、よし、ならば契約だ
と言っても、大して重いものでもない、安心してくれ」
「契約をしたら、どちらかが死ぬと片方に何も無くても死ぬ。変わることはこれぐらいか、この条件を飲めるか?」
死、、ついさっき死に際を感じてしまった自分にとっては重い単語だった。
でも、思い留まってはいられない、肯定を返す。
「構わない、どっちにしろ、本当はさっきの炎で死んでいたはずなんだ。覚悟は出来てる」
強がってみる。正直覚悟なんか出来てもいないし怖い。
でも、弱いところを見られたくなかった。
「そうか、、その程度の覚悟があれば十分だな。では最終段階だ」
イガルムはそう言って、右手を広げ前に出し、少し力を込めているような動きをしていた。
手の上に何やら球体が浮かび上がる。なんだかモヤモヤしている。
「これを飲んでくれ、大して噛んでも構わん」
「これは?」
「魔力の塊だな。これを飲めば魔法が使えるようになる。魔法が使えないものには、扱える者がこれを渡し飲ませれば魔力が宿り、同時に相棒としての契約も成立する。」
少し魔法が使えるようになるということに心が揺らいだが、得体の知れない物を飲むのが怖かった。
手から取って、まず匂いを嗅いでみる。なんだか鉄っぽい臭いだ。
触り心地は押すと少し凹んで、ツルツルしている。
先伸ばしにするだけ飲み込めない気がしてきて、覚悟を決めて飲んだ。
匂いと一緒で、鉄っぽい味がする。何だか長時間口に入れる物ではないなと思いあまり噛まずにすぐ飲み込んだ。
特に何の異常もない、魔力が宿った感じもなかった。
…のは始めだけだった。
「契約成立だ、魔力が宿ったはずだから魔法を使ってみ....」
イガルムの声が途切れた。いや、喋るのをやめた訳ではないだろう。
自分が聞こえなくなっているみたいだ。何も聞こえない。
直後、体全身に物凄い痛みが生じた。
まるで体表面全部に針をさされたような痛みだ。
自分は倒れ込み、意味にならない言葉を言いながら地面に転げ回った。
体を見ると、黒い棘のようなものが体全体に出ていた。
触ると物凄く痛い。
「落ち着け、出ている棘を押し込むんだ!」
耳が治り、イガルムの声が聞こえてくる。
触るだけでも痛いのに押し込む...
痛みを伴っている自分にはとても考えられなかった。
でもやらなかったら痛みは続き、何も変わらない。
覚悟を決めたんだ、ここで死ねない。
自分は痛みに躊躇せず、まず腕から押し込んでみた。
物凄い痛みでやめたくなる。でも止まってはいられない。
何とか押し込み、他の部位へ、終わればまたに他の部位へ、、と少しずつだが押さえ込んでいった。
どれだけの時間を伴ったかなんて分からない。
そして、何とか最後の針を押さえ込んだ。
「頑張ったな、、大丈夫か」
「うん、、何とかね」
返事をして、痛みが無くなり、立とうとした。
その時だった。
全身から力が急に抜け、その場に倒れ込んだ。
「大丈夫か!」
声が聞こえてくる。もう口を開くことすらできない。
自分が思っている以上に疲労がたまっていたんだろう。
思考は働くものの、体は動いてくれない。
自分はそのまま、気を失った。
どうでしたか?
書いている間に一回寝ちゃってました(おい
更新ペース守って信頼手に入れていかないとですね...頑張ります。