第一話 プロローグ
小説初投稿です。
随分前に書き上げてはいたんですが投稿に踏み切るまで時間がかかりました(笑)
読みにくいところがあるかもしれませんが・・・どうぞ。
「・・・早くするんだ!」
「急がないとこのままでは・・・」
「どういう事だよ...説明してよ...」
「一体…何が起きてるんだ…どうすれば…っぐああ!!」
―――はっ!?
・・・またこの夢か・・・。
布団から飛び起きて我に帰った自分は、誰に言うわけでも無く呟いた。
最近おかしい、変な夢を見る。そして、殆ど毎日同じ内容だ。
自分は物凄い絶望の中に居て、それを助けようとしている誰かがいる。
自分は激しく動揺していて、そして何かに襲われた瞬間にいつも起きるのだ。
手で目を擦って、時計を見ると「7/10 午前04:30」と表示されていた。これも数日、同じ時間に起きている。
夢を見始めるまでは、いつも6時に起きていたのに...。
―――何かの偶然だ。そうに決まってる…。
自分はそう思い直して、布団に体を入れ直し。眠った。
―――ピピッピピッピピッピピピピッピピピピピピピピピピピピ・・・。
目覚まし時計の音で目が覚めた。音を止めて、布団から体を起こす。
今日もいつもと変わらない平和な一日だと良いな···そう思いながら自分は学校の制服に着替えて、階段を降りた。
俺の名前は天地雄太。周りからは大抵雄太と言われている。部活は美術部で、好きなことは絵を描くこと。
空想の世界を思い描いたりするのも結構好きだ。
「おはよう、雄太」
母親の声が耳に聞こえてきた。
反射的に、自分も挨拶を返す。
「おはよう。母さん」
言い終わると同時に、階段から妹が降りてきた。
「おはようお兄ちゃん」
自分の唯一の兄弟である妹が、挨拶をしてきた。
「おはよう、千恵」
いつものように挨拶を交わし、母さんが作ってくれたご飯を食べた。
母さんは料理が上手でかつがんばり屋で、朝でも手を抜かない。
調理師免許を持っているほどの腕利きの料理人だ。
朝から、一品の料理がテーブルの上に広がる。
日常的な会話をしながら、ご飯を食べていた。
ふと妹が、自分に聞いてきた。
「お兄ちゃん、寝てる時うなされてなかった?」
少し驚いた。自分ではうなされていた自覚が無かったのと、
妹と部屋が一緒の階であるとはいえ聞こえるような声でうなされていたなんて思いもしてなかったのだ。
母親が、自分を心配そうに見ている。
「ううん、なんでもないよ。大丈夫。変な夢見ちゃってただけだと思うし。」
心配はかけたくないから適当に返事をした。連日同じ夢を見て同じ時間に起きてしまうなんて言える訳ない。
「本当に大丈夫なの?」
母親と妹揃って聞いてきた。
「大丈夫だよ。気にしないでいいから。」
その後何とか話題を変えて、朝ご飯が終わると、いつもより30分ほど早めに家を出た。
部活で描かなきゃいけない絵があるのだ。
今年は15歳で受験生、高校受験の為に、部活の引退を間際に控えていた。
絵を思うがままに描けるのも、もうすぐ終わりなんだろう。そう思うと少し寂しさがあった。
学校への道とは逆に数分歩くと森があり、その森の中で、自分はいつも絵を描いていた。
家を出て10分掛かったかどうかぐらいでついた。
絵を描く道具を広げて、足の上にスケッチブックを置き木によしかかり、絵を描きはじめる。
立ち並ぶ木をしっかり繊細に描いていく――――
少しすると、携帯端末のアラームが鳴った。そろそろ学校に向かわなければいけない時間だ。
絵を描いているとあっという間に時間が経つな···。そう思いながら道具を片付けて、学校に向かった。
学校に着くと友達が声を掛けてきた。
「雄太おはよー」
「おはよ秀一」
秀一は名前にもあるように、とにかく頭がいい。
覚えてないくらい幼い頃からずっと一緒で、今はクラスこそ違うけど、仲は変わりはしなかった。
運動もそこそこ出来て、責任感もある。頼れる言わば親友のような存在だった。
「今日さ、また変な夢見たんだよね」
前も秀一には話してはいたがもう一度話そうと思った。
すると秀一は「ああ、また見たの」と言ってきた。たわいもない返事だが、軽く返してくれた方が気楽だ。
「最近ずっとみたいだが大丈夫なのか?」
「だといいんだけど…変だよなぁ」
「確かにな…ずっと同じ夢を見続けるなんかおかしいよ」
「だよな、うーん…」
「ま、気楽にいこう、考えこまずに気にせずにいれば見なくなるさ」
「確かにそうだな、ありがと秀一」
「また何かあったら言ってくれな。じゃ、また放課後ー」
秀一の言葉が言い終わるかどうかぐらいで、チャイムが鳴った。予鈴だから急ぐ必要もないが、早歩きで教室に向かった。
そして午前の授業が終わりご飯を食べて、午後の授業も終わり放課後になった。
秀一が自分のクラスに来た。
「雄太~一緒に帰ろ」
「うん!」
心の中で凄い幼い会話だなと思いつつ。少し笑った。
学校を出てから、秀一が俺に話しかけてきた。
「今日何か予定あるか?」
「うーん、部活の絵を描かないといけなくてなー」
「そっかー、まぁ明日でも良いし明日にするか」
「何する予定だったの?」
「内緒ー」
秀一は笑いながら、口に人差し指を付けて笑って言ってきた。
「なんだよー気になるだろー」
自分も笑いながら言った。
「内緒なものは内緒なんだよ」
「まいっか」
そこからは学校の話とか世間話だとかしていた。
「おっと、ここで今日はお別れだなっと。またなー。夢の事気にしすぎんなよー」
「うん。ありがとう!またな!」
じゃれ合ったりもするが、ちゃっかり心配してくれる辺り親友だなと改めて思った。
あっちもそう思ってくれてるのかな、なんてね。
家を通りすぎて、再びあの森に向かった。着くと、再び道具を広げて絵を描き始めた。
「暗くなるまでは描いていようかな」
そう言って、絵を描き始めた。
――――暫く絵を描いていて、夕焼けで木が黄色に照らされていた。
絵を描いていると、落ち着くというか、なんだか気が楽になる。
夢の事で最近悩んでいたが、さっぱりそんな気持ちが消えたような感覚だった。
気がつくと辺りはかなり暗くなっていた。既に月はだいぶ高い所に来ている。
いい加減帰らないとな、そう思い。道具を片付けようと立った、その瞬間だった。
――――――ゴゴゴゴゴ…ッッッドン!!!
――――地震だ!
物凄い揺れで、自分は思わず尻餅をついた。
以前ある程度大きい地震を経験したことがあるが、こんなに大きい地震は初めてだ。
自分はバッグで頭を隠し、その場にうずくまった。
・・・・地震が止まった。
「もう大丈夫…かな?」
以前地震を経験していたのもあってか、自分でも驚くほど冷静だった。
とりあえずさっさと道具を片付けて家に帰ろう。母さんと妹と合流しよう。そんな考えが頭に浮かんだ。
だが、そんなことを考えている暇はなかった。・・・辺りの木、草が変な色をしている…黄土色?
今は季節は夏が始まったばかりで、そんな色の木も草もあるわけがない。
明らかに、おかしい現象が起きていた。
妙に焦げ臭い。後ろの方の木を見た。燃えている。
「早く逃げないと!」
自分はいざというときのためにバッグから携帯端末だけを取り出してポケットに入れた。
何が起きているかは把握できていない。ただ、今助かるには逃げるしか道はなかった。
森へ入ってきた方に向かって、自分は走り出した。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
なんだか一気に急展開ですね笑
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