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趣味談義

熊 八 「よっ、ご隠居。こんち、ご機嫌いかがすか?」


ご隠居 「なんだい、熊さんかい。いったい何の用だね」


熊 八 「へぇ、あっし、この度、所帯を持とうと思いまして……」


ご隠居 「ほお、そりゃ目出度いね」


熊 八 「それで、ご隠居に折り入ってお願いがあるんで」


ご隠居 「いったい、なんだい。ばあさんが亡くなってるんで仲人は無理だが、ご祝儀ははずむよ」


熊 八 「いや、そうじゃなくって……そのぉ、嫁さんを世話してもらいたいんで」


ご隠居 「…………(口を開けて目をぱちくり)」


熊 八 「ご、ご隠居、大丈夫ですかい。や、日頃から棺桶に片足突っ込んでると思っていたけど、とうとうお迎えが……」


ご隠居 「人を勝手に殺すんじゃないよ、この熊公!」


熊 八 「ひえっ、お許しを」


ご隠居 「お前、何かい。相手もいないのに所帯を持つつもりだったのかい」


熊 八 「へぇ、面目ありやせん」


ご隠居 「しょうがない奴だね、お前は。よし、そういうことなら、このあたしが一肌脱ごう」


熊 八 「いや、老人の裸はご勘弁で」


ご隠居 「馬鹿なこと言ってんじゃないよ、言葉のあや、さ。で、どうだろう、この際、お見合いをしちゃあ」


熊 八 「お、お見合い。む、無理ッス。あっし、女性と話したこと無いんで何話したらいいか、見当もつきやせん」


ご隠居 「そういう時は、趣味の話でもするといい。熊さん、あんた何が趣味だい?」


熊 八 「えっ、別にないスよ。暇があったら寝てます」


ご隠居 「いい若いもんが情けないね。何か好きなものはないのかい」


熊 八 「そうスね。強いて言えば……」


ご隠居 「強いて言えば?」


熊 八 「車ですかね」


ご隠居 「いいじゃないか。ドライブなんて女の子に人気あるよ」


熊 八 「いえ、後部座席で寝るのが好きなんで」


ご隠居 「まだ寝るのかい。そうじゃなくて、車なんだから運転おしよ」


熊 八 「それは無理ッス。」


ご隠居 「どうしてだい、車が無いならレンタルすりゃいい」


熊 八 「駄目ッス。あっし……免許持ってないんで」


ご隠居 「い、いい加減におしよ。さすがのあたしも怒るよ」


熊 八 「ご隠居、短気はいけねぇ。ものが車だけにカー(CAR)っときちゃいけません」


お後とがよろしいようで……。


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