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公園

作者: 安部 博

私の身近な景色をイメージしながら書いてみました。みなさんの中にも、このような淡い思い出のある方もいらっしゃるのでは?(この話はフィクションですよ)

 今日も疲れた。もう21時30分か。飯はコンビニで買ったし、レンジで一応温めて食べることにするか。俺はコンビニで買った弁当を電子レンジに放りこんで、いつもの様にテレビの電源を入れた。

「…続いて、天気予報です。お天気コーナーの西川さん、お願いします。」

「はい、西川です。今日は暑くありませんでしたか?東京では3日連続の真夏日です。全国的に雲はなく…」

暑くても、寒くても、調子の変わらない天気コーナーはどこか他の世界を見ているようだった。確かにこの部屋は暑い。わざわざ東京は真夏日だって教えてくれなくても暑いことは分かる。明日の天気だけ教えてくれればそれでいいのに。


パン!


電子レンジの方から聞き慣れない音がした。俺はいそいで電子レンジの方に向かった。弁当を見ると、透明なプラスティックの一部が破れ、ソースが飛び散っていた。

「なんだよ。」

思わず悪態をついた。一応温めた方が食べやすいかと思ったが、余計な仕事を増やしただけだった。温めは終わったし、さっさと食べて片付けようと思った。弁当と箸を机に運び、冷蔵庫から麦茶を取ってきた。

「いただきます。」

と俺は小さな声で言い、食べ始めた。食べる前には一応「いただきます」と言っている。言わないで食べることは悪いことと心の底で思っているからだ。誰もいないのに、そんなこと言って意味があるのだろうか。

「おっと。」

ポッケの携帯が鳴っている。美樹からだ。メールが来ることはあるが、今回は電話か。何だろうかと思いながら電話に出た。

「アキ何してる?」

と美樹が聞いてきた。

「今、飯食っていたところだよ。メールじゃないんだね。」

「メールの方が良かった?」

「いや、べつに。」

少し、間をおいてから、美樹が小さめの声で

「私、夜の公園行ってみたいの。一人だと不安だからついてきてくれない?」

と聞いてきた。普段なら、「じゃあ、よろしくぅ。」で押し付けてくるのに、今日は押しが弱い。

「いいよ。いつ行くの?」

「今から。20分位後に駅前のコンビニ前にいるから。」

と、一方的に告げ、電話は切れた。


俺は急いで弁当を平らげ、電子レンジの中をティッシュで適当に拭って急いで家を出た。ママチャリのペダルを漕ぎながら、なんとなく美樹の事を考えていた。美化委員を一緒にやっているので、まあ話す機会はある。どちらかといえば、美樹から喋りかけてくることが多いかな。人使いが荒いというか、俺に仕事をバンバン投げてくる。しかし、褒めるのはうまい。頼まれごとを片付けるといつも上手いこと褒めてくる。悲しいかな、美樹に褒められていると、俺はご褒美にありついた犬の気持ちが理解できてしまう。


コンビニの前にはすでに美樹がいた。俺の姿を見ると

「結構早いじゃない。」

と言った。俺は

「こう見えても暇じゃないんだぜ。」

と挨拶みたいな事を言った。俺と美樹は自転車に乗って、公園へと向かった。


公園の入口で、俺たちは自転車を降りた。俺が

「公園といっても、広いぜ。どこに行きたいんだよ?」

と聞いた。すると美樹は

「噴水広場。」

と答えた。噴水広場は公園の奥の方にあって、外灯もないから夜はほとんど人がいない。俺でも一人でいくのはちょっと気が退ける場所だ。

「ひょっとして、暗いから怖がってる?」

と美樹がからかってきた。俺は

「夜の公園が恐いのは、小学3年生くらいで卒業した。」

とわざとぶきっぽうに答えた。

俺と美樹は自転車を押しながら噴水広場に向かった。昼間の景色は良く知っている。並木と原っぱが作ってあり、原っぱではいつも子供が走り回っている。子供が走り回っている脇で、奥様方は木陰でなにやら世間話をしている。大きい公園はここしかないからいつでも人がたくさんいる。しかし、今の時間帯はランニングしている人とたまにすれ違うだけ。普段は心地よい木陰を作っている木々も、今の時間帯は真っ暗闇を作っている。


「着いたぜ。」

俺はそう言って、ベンチに座った。美樹もベンチに座った。

「ベンチがあるとなぜか座りたくならない?」

と美樹が聞いてきた。俺は

「ベンチを求めるって、おばあちゃんぽい。」

と答えた。すると美樹は

「いいじゃない。ずっと立っていると疲れるでしょ。それより、ここ静かね。」

俺は周囲を見渡した。噴水広場は木陰が多いところで俺のお気に入りスポットの一つなのだが、夜の様子は昼間とは全く違う。並木が周囲の音を遮断しているようで、噴水の音が聞こえるだけだ。

「昼間とは、だいぶ違うね。」

と言った。美樹が

「今日の晩ご飯は何?」

と聞いてきた。俺は

「コンビニ弁当。温めてたらソースが爆発した。」

と答えた。美樹は

「レンジで温めるときに醤油、ソースを外すことくらい常識常識。」

と答えた。

「美樹は、独り言良く言う?」

と聞いた。美樹は噴水を眺めながら

「私、独り言は多くないと思うよ。何で?」

と言った。俺は

「一人で飯食う時も、一応‘いただきます’って言うんだけど、誰もいないし何だかムズムズするんだよね。」

と答えた。美樹は

「アキ、夕食はいつも一人?」

と聞いてきた。俺は

「ああ、一人が多いな。」

と答えた。美樹は俺に少し寄りかかりながら

「だったら、私と一緒に食べる?」

と言った。


こうして、俺と美樹は付き合い始めた。

お読みいただいた方へ

お読みいただきありがとうございます。文章力、構成力をこれから鍛えていきたいと思います。アドバイス等ありましたらお願いいたします。

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[一言] こんにちは。先日は拙作に評価頂きありがとうございました。 初めての投稿でテストも兼ねてということでしたので、ちょっとだけ……。 まずは文章の頭は一マスあけましょう。それから「」の文に「。」は…
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