プロローグ
<プロローグ>
“傍観者”。
これは、何にも興味を持たず、自分以外の全てのモノを平等に扱う男の異名。
“狂った子供”。
これは、全てが狂ったモノだと思い、それを排除しようとする女の子の異名。
“規律”と“無秩序”。
これは、世界の創始者を守ることを使命とされた二人の男たちの異名。
彼らは全て、正義であった。
誰が何と言おうと、彼らは全て正義。
その事実を誰も否定することはできない。否定することは世界を否定することになって、そうしたら、現実を否定することになる。
それはいわゆる「現実逃避」になる。だから、否定できなかったし、誰も否定しなかった。
そして、誰も否定しない日々が続いて、世界は保たれていた。世界の人々が平等に殺され、平等に生きていた。
だけど、そんなある日。その均衡は壊された。
「それってさ、おかしいですよ。 本当の正義は一つだけです。 破滅と希望、どちらかが正義になりますから」
という、一人の男の言葉によって。
その言葉が四人の耳に入って、四人は暴れ始めた。今までのように平和のために生きるのではなく、各々で勝手に世界を作ったり、壊したりし始めた。
こうなってしまえば、平和な世界は荒らされる。荒れて、荒れて、荒れまくって。
やがて、四人の関係はぷつりと切れた。今までの四人は協力しあっていた。だが、あの男の否定の言葉の所為で、四人の関係は途切れてしまった。
――さぁ、歯車が狂い始める。
もう、元通りの生活は、取り戻せない。
後戻りできない、振り向くこともできない。
前を向いて走れ。泣いても、嘆いても、怒鳴っても、後悔しても、なにも変わらないんだから。そんな無駄な感情を持つだけ無駄だ。ただ、無感情に無表情に、走れ。
この狂い始めた世界を直すことは不可能と言われていた。
それでも、どうしてもこの世界を元に戻したいというのなら、直す方法は一つだけ。……のはずだった。
「狂った歯車を壊せば、元どおりになる」
「狂った歯車を回し続ければ、やがて世界は元に戻る」
「創始者をもう一度創り出せば、彼が元どおりに戻してくれる」
これらは、四人の考えだった。対立してしまった、四人の考え。
ただし、“規律”と“無秩序”だけは対立することはない。だって、彼らは、二人で一つなのだから。だから、考えも同じ。
さて、この三つの考え。どれが正しいのか。それは、試さなければわからない。
しかし、もう最初から決まっている。「正解は一つなのだ」と。だから、答えももう決まっている。
それを覆すのは不可能。……いや、本当にそうだろうか?
数々の矛盾を生み出した四人。
もしかしたら、彼らならば……。
まぁ、今この状況で、そんな希望を抱くのは無駄だ。だから、私たちはどれが正しいのか検証しなければならない。一つずつ、一つずつ、検証しなければならないのだ。
全ての検証を終えたその先に、――私たちが、歯車が狂った世界の果てに見つけたモノは、いったい何なのだろう。
希望か、破滅か、ハッピーエンドか、バッドエンドか。
そして、私たちが心の底から望むモノは何なのだろうか。