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マギステル  作者: ふう
学園都市編
6/14

測定に関するエトセトラ

 あのあと委員長は今後の活動予定とその他もろもろについて連絡してたけど、俺の生来の頭の悪さと磨きがかかった混乱とによって何言ってるかあんまり分からなかった。・・・あとでユリッタに教えてもらおう。取りあえず俺は帰る。帰って寝る。絶対だ。


「あ、さっき呼んだメンバーは残ってね~」


ええー・・・


◇◇◇



「ふふふん、みんな揃ったようね♪」

 楽しそうですね、委員長。俺は楽しくないです。


「改めてよろしくね!みんなで魔術武道大会サピエンティア優勝しよー!」


いやいや委員長、言うこと欠いてそれはないでしょ!大体何も説明してないのにいきなり・・・「はい!よろしくお願いします!」「よろしくお願いします」「ああ、絶対優勝したい!」「・・・よろしく」


ええー・・・


「なお、諸事情により直接な連絡が遅れたパトリア君には謝罪いたしますわ」


知らなかったの俺だけかい。


「さて、それで今日の予定なんだけどね、今日は魔力量測定とお互いの得意魔術について話し合いをしようと思うの!みんなは入学式があった週に魔力量測定エトセトラはこなしてると思うけど、それは本人以外に公開されないしね。みんなの手の内は全部公開されることになるけど、これも魔術武道大会サピエンティア優勝のため!信頼関係が大事だからね!ちなみに反対意見は聞きません。」


 委員長は俺を見た。


「リン委員長、しかし測定は学校が所有する魔石水晶ががないとできないのでは・・・個人で所有するにはあまりにも高額ですし・・・」


 ユリが控えめに声を挙げた。・・・だから甘いというのだ、ユリよ。


「ノープログレムよ!今日が学校に特別に許可してもらいました!」


ほらな。委員長がやると言ったなら必ずやるのだ。どんな手段を使ってもな。


「ちなみに顧問のハーシェル先生にお願いしましたの。ちゃんと正規の手続きですわ」


 委員長は俺を見た。


「それではまず私からいくね~」

 委員長はそう言って魔石水晶に手をかざし、魔力を流し始めた。


「っと、改めて自己紹介しますわ!リン・リーウェン、出身はタイワン、学園には初等部から在籍してるわ。魔力量は現在80、適正属性は風ね。得意魔法は付与魔術よ!よろしくお願いしますわぁ」


 魔力量80というのは、学園でもトップレベルである、らしい。ちなみに学園には魔力量30から入学が許され・・・というか強制的に入れられ、世間一般には魔力量10が普通らしい。ちなみに普段の生活では魔力量10でなんら支障はない。一般人に魔力が少ないのではなく、俺たちが異常なのだ。


「さすがです先輩!私の名前はユリッタ・カッシネッリです。出身はイタリア、学園には初等部からです。魔力量は68、適正属性は土、得意魔法は回復系。よろしくお願いします!」


 うむ。土の魔力を持つ者は回復魔術が得意なものが多いという・・・らしい。ちなみにこれ、初等部レベルの知識です。


「ホン・ヨンスン、出身はカンコク、中等部から在籍です。魔力量は55、適正属性は水、得意魔法は・・・守護、です。よろしくお願いします。」


 ヨンスンの魔力量は学園の平均・・・というかだいたいみんなこれくらい、らしい。委員長が規格外で、ユリッタが頭一つ飛び出ているのだ。


「次は俺が行こうか。」


そう言って次に水晶に手を伸ばしたのはフェリクス・ハイメ。こいつが生徒会ではなくM部入ったなんておかしいと思ったんだ。こいつは中等部のとき、3年間生徒会で活動し、3年生では生徒会長を務めた。品行方正の権化のやつである。ついでに文武両道、質実剛健、眉目秀麗という言葉も似あう男、らしい(意味は分からない。周りの奴らがそう言ってた。)


「名前はフェリクス・ハイメ、出身はカスティーリヤ王国、魔力量は90、適正属性は水、風、得意魔法は攻撃系だ。よろしく頼む」


「きゅ・・・90・・・?」

「属性が2つも・・・流石ね」

「・・・」


 ユリッタは口に手をあて驚いている。委員長は・・・関心しているが想定の範囲内、といったところか。何故知ってる。


「じゃあ次はパトリアくんね」


 委員長はにっこりとほほ笑んだ。


「・・・えーと、俺はイグニス・パトリア、魔力量は80、適正属性は火、得意魔法は支援攻撃です。よろしくお願いします」


「パトリア君」


 にこり、と委員長は微笑んだ。


「ちゃんと魔石水晶使ってくれるかしら?それじゃあもし、仮に、そんなこと絶対ないと思うんだけど、君が私たちに嘘をついてる可能性があるからね」


「・・・はい」


 俺は魔石水晶に触れ魔力を流した。光は次第に赤く染まり、俺の適正が火であることを示す。俺、測定嫌いなんだよなぁ・・・この魔力吸い取られる感じ、慣れない。うーん、採血されるとき、抜かれる血を見ちゃったかんじの気持ち悪さ?


「適正は火で合っているようね、というかそれだけ真っ赤な髪なんだから火以外あり得ないわよね」

「髪や瞳はその人の持っている魔力の色に染まりやすいっていいますからね」

「イグニスの属性が火だというのは間違いないと思います。・・・魔法が失敗したとき爆発を起こしてましたから・・・」

「ふむふむ・・・さて魔力量はぁーと・・・!?」


 あれ・・・?


「魔石水晶がこんなに輝くなんて・・・」

「ま、前が見えないわぁ・・・」


  ど、どうしよう・・・なんか、あれ?この前測った時より光が・・・

・・・あ、爆発しそう。


途端、魔石水晶に流れこみきれなかった魔力が逆流し、俺の魔力と拮抗し、俺の魔力が競り勝ち・・・爆発した。


「きゃああ」

「こ、これは・・・」

「な、なんだ・・・」


 赤い光が収まったあと、部屋のなかは散々なものだった。爆風であちらこちらに物が飛んでいる。ユリたちは・・・ヨンスンが張った守護結界で守られていた。・・・うん、あいつには昔から助けられてる。


「・・・こ、これは・・・魔力量、測定不能・・・?」

「そ、そんなことがあるはず・・・!?」


 どういうことか説明しろっ!とフェリクスが詰め寄ってきた。・・・め、目が血走っている・・・ちょ、ま、怖い怖い。やめて近づかないで怖い。


取りあえず、部屋をざっと片づけてみんなで円になって座った。フェリクスの視線が痛い。


「えーと・・・うん、まず危険な目に合わせちゃってごめん。俺もまさか爆発するとは思わなくて・・・」

「それはいい、結果的に皆無事だった」

「そうねぇ、ホン君ありがとね~」

「そうね、ヨンスンありがとう」

「・・・いや」


「ええと、それで、なんていうか、俺、どうやら魔力量の増え方がちょっと尋常じゃないみたいで・・・中等部入学前くらいから増え始めて、最初は10くらいだったんだけど、どんどん増えて行ってて・・・先週測ったときは本当に80くらいだったんですけど・・・」


 フェリクスとユリッタはぽかん、と口を開いた。・・・委員長は・・・「なるほどねぇ・・・パトリア君のカルテだけ要観察、だったことに賭けた価値あったわぁ・・・」とにやにやしている・・・委員長?何か聞こえた。なんか聞こえたよ?


「魔石水晶の許容限界数値は大きさに比例するという・・・世界共通のこの水晶の許容量は100程度だ。・・・パトリアは最低でも100以上ということか・・・そしてまだ増え続ける、ということだな・・・?」


 俺は慌てた。


「いやいや!中等部3年のころ測ったら78くらいだったんだ!というか伸び盛りは1年生のころで、2年生になったら5くらいしか伸びなかったし、今回も1年間で2だろ?もう上限まで言ったって言われてたんだよ・・・ほんと、なんでこんなにいきなり・・・」


 なんだかとってもいたたまれない・・・。


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