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異世界よりやってきた魔王 前編

あらすじで書いている通り、本当に物の試しで書きました。


拙い文章だと思いますが、それではどうぞ!

 皆さんこんにちは。


 俺は神代和哉と申します。歳は今年で十五になる高校一年生です。特技は武道で、誰よりも強くなる事を目標に掲げて日々精進しています。


 今日は休日であり、本来なら武術の修行をする為に師匠の家の道場に行く予定だったのだが、


「おいカズヤよ! あれは一体何の店なのだ!? 何やら美味そうな匂いがするぞ!」


「………あれはケーキ屋と言って、ケーキを売ってる店だ」


「何と! この世界にもケーキが存在しているのか!」


 俺の隣にいる赤眼で銀髪の外国人らしき子供と一緒に街を散策してる事によって出来なかった。


「ってか、一々声を荒げて驚くな。周りが見てるだろうが」


「ここは余の知らない世界なのだから無理だ!」


「威張って言うな」


 エッヘンと踏ん反り返って両手を腰に置く子供に突っ込む俺。


 そんな俺達に周囲にいる人達は、子供の言動を不思議そうに思いながらコッチを見ていた。


「っ………ほら、行くぞ」


「お、おいカズヤ! 急に腕を引っ張るでない! 痛いではないか!」


 周囲の視線に気付いた俺は、子供の腕を掴んで近くにある公園へと避難する事にした。




『………見つけたぞ。奴がこの世界に来ていたとは正直予想外だったが、まさかアイツと一緒にいるとは………まぁ良い。奴を始末する事に変わりない』




「ふうっ。ここなら大丈夫だな」


「いきなり何をするカズヤよ! 余が痛いと言うておるのに……!」


「喧しい。お前が騒ぐから、此処に避難せざるを得なかったんだ」


 公園に着いた俺が安堵してると、子供は不機嫌な顔をしながら怒鳴る。


「全く! もし余の城にいる兵や大臣達が見ておったら、お前は速攻で処刑されているのだぞ」


「ああ、そうかい。それは悪かった」


「お主……まだ余の事を信じておらんだろう?」


 ジト目で見てくる子供に俺は大して気にしないように返事をする。


「一応信じてるさ。カインが異世界から来たって自称魔王って事は、な」


「自称ではない! 余は本当に魔王だ!」


「はいはい、そうだったな」


 っと、紹介が遅れたので今此処でやっておこう。


 この子供の名前はカインだが、本名はカイストラルバーン・マディアルラス・ルシファードと言う。長ったらしい本名だったので、俺が勝手にカインと略称している。本人もその呼び方が気に入ったようで、『これからはカインと呼ぶがいい』と命令口調で言う。


 何でもコイツは“エルファウスト”と言う異世界からやって来た魔王らしい。城での生活が窮屈になって家出 (と言うより城出(しろで))をする為に転送魔方陣を使って、『新しい世界に行きたい』と願って俺達が住む世界に来たそうだ。


 単なる空想好きの中二病な子供ではないかと思われるだろうが、実際カインは本当に異世界から来た。何故なら一週間前の夜に俺が部屋でゲームしてる最中、突然赤色の魔方陣らしき物が出た直後に見慣れない服を着たコイツが現れたからな。


 カインが現れた時には目が点になって何が何だか分からない状態だったが、いきなり命令口調で『この世界について詳しく教えよ』と初対面の俺にそんな事を言ってきた。当然俺はそんな奴の命令に従わず、殺気を出しながら睨んで動きを止める『睨み殺し』を使って家から追い出した。幸い両親が海外に出張中で家にいなかったので、大騒ぎにならず穏便に済む……筈だった。


 何とコイツは俺の『睨み殺し』を一瞬で解き、『ほほ~う。この世界でも魔法があったとは驚いた。決めたぞ。お主、余の家臣になるがよい。家臣になるのだから、当然此処は余の別荘じゃ』と言って無断で人の家に泊まろうとした。


 自分勝手極まりないカインの行動に最初は力付くで追い出して何度も元の世界に帰れと言ったのだが、いきなり寂しそうな顔をして『……いやだ、帰りたくない』と弱々しく訴えるので、不本意ながら仕方なく泊まらせる事にして今にいたる。


 んで、今はコイツに俺が住んでいる世界について……と言うより日本についての簡単な常識を教えながら街を散策していると言う訳だ。


「全く。こんな事なら、余の妃であるアヤを連れてくれば良かったな」


「お前な……いつから綾ちゃんはお前の妃になったんだ……?」


「決まっておる。一目見た時からだ!」


「………はぁっ。綾ちゃんはとんでもない奴に目を付けられてしまったな」


 因みに綾ちゃんとは、俺の師匠の孫娘である宮本綾ちゃんで、コ〇ン風に言えば見た目は女子高生な美少女、中身は小学6年生の純真無垢な女の子だ。


 何故コイツが綾ちゃんは自分の妃であるのかと言うと、綾ちゃんが俺の家に遊びに来た時、カインは綾ちゃんを見てすぐに一目惚れして『何と美しい女子(おなご)だ……。お主は余の妃となるに相応しい』と、綾ちゃんの手を握ってプロポーズをしたのだ。突然の急展開に綾ちゃんは目が点になって戸惑い、俺は呆れながらカインの頭に拳骨を喰らわせた。当然その後はカインが怒り、俺と口喧嘩に発展したのは言うまでもない。


「けどさぁカイン。綾ちゃんを妃にするとしても、先ずは師匠を倒さないといけないんだが、そこんところはどうなんだ? 昨日また師匠に挑んだみたいだが」


「ぐっ……! あの死に損ないの老いぼれなんぞ知った事か……!」


「………その顔を見る限り、また負けたみたいだな」


「う、五月蝿い! 何なのだ、あの老いぼれは……! 魔王である余の魔法を簡単にあしらうだけでなく、余を倒すなぞあり得ん……!」


「まぁ確かにお前は俺達とは違う異質な力を持っているようだが、それでも師匠の相手にはならなかったようだな」


 カインが魔法を使えるのは実際見て知っている。しかしカインが言うには、この世界だとマナと言う物が薄い為に本来の力である十分の一程度しか出せないと言っていた。だがそれでも人を簡単に殺せる力はあると言っていたが……師匠から見れば火遊び程度の物にしか見えなかったんだろう。確かに魔法と言う物は凄かったが、結局のところ当たらなければ意味が無いので、俺も師匠と同じく避ける事が出来る。その事にカインは物凄く悔しがっていたが。


「ま、師匠が倒せないなら綾ちゃんを妃にするのは諦めるんだな」


「誰が諦めるか! アヤが余の妃になる事は決定なのだ! 故に、あの老いぼれをエルファウストに連れて行き、余の真の力を見せてひれ伏してやる! そしてアヤに余の本当の姿と力を見れば更に惚れるに違いない!」


「………勝手に二人を異世界に連れて行こうとすんな。お前の行動は傍迷惑極まりなく自分勝手にも程があるぞ」


「ハッハッハ! 余は魔王だから自分勝手なのは当然だ。そう褒めるでないカズヤよ」


「褒めとらんわ!」


 自分勝手なのを自覚してるとは性質が悪いにも程があるな。ゲームとかの魔王も大抵こんな性格してるのか? いや、それはないな。


 確かにカインは自分勝手だが、それでも他人に迷惑をかけるような事や、力を振りかざして暴れるような奴じゃない。と言うかコイツが本当に魔王なのかどうか疑問だ。


 カインを見ながら本当に何者なのかと呆れていると、


「だがカズヤよ。別にあの二人をエルファウストに連れて行っても問題無いぞ。何しろアヤと老いぼれはエルファウストに住むエルフの血が混じっているからな」


「………は?」


 突然聞き捨てならない台詞を言った事に俺は言葉を失った。


「お、おいカイン。綾ちゃんと師匠がエルフの血が混じってるって、一体の何の冗談を……」


「冗談ではない。あの二人には紛れもなく――」


“お喋りが過ぎるぞ、カイストラルバーン。無関係な人間に余計な情報を与えて惑わせるな”


「「!!!」」


 カインが言ってる最中に突然上からノイズ混じりの声が聞こえた。俺とカインが上を見ると、そこには空間が歪んでいると同時に、全身に黒い甲冑を身に纏って背中に黒いマントを付けている人物が浮いていた。


 さっきの声はアイツのようだが、声から察して恐らく男だろう。しかし何故か、あの男の声にどこか聞き覚えがあった。


 俺がそう疑問を抱いていると、カインが守るかのように俺の前に立って、上空にいる男を睨んでいる。


「何者だ貴様! 魔王である余に向かって無礼な態度ではないか!? 先ずは降りて名を名乗れ!」


 カインがそう叫ぶが、上空にいる奴は全く気にしてないかのように話しをしようとする。


“生憎だが、貴様の言葉に従う気は無い。私が仕える魔王様はヴォルガード様のみだ”


 は? 私が仕える魔王様って……やっぱりカインは魔王じゃないのか? ってか、ヴォルガードって誰?


「ヴォルガードだと……? 貴様、奴の騎士か!?」


“そう言う事だ。カイストラルバーン、我が主の為……貴様にはここで死んでもらう”


 甲冑の男はそう言いながら地上に降りて、どこからか長い刀を出して構えた。


 どうでもよくて不謹慎に思ったんだが、騎士なのに刀を使うって凄い違和感あるな。


「余を殺すだと? 随分舐めた口を叩くではないか。たかがヴォルガードの騎士風情が……!」


「お、おいカイン。念の為に訊くが……これは現実で、向こうは本気でお前を殺そうとしてるんだよな?」


「訊くまでもないだろう。と言うか下がれ、カズヤ。あの無礼者に灸を据えるとは言え、巻き添えを食ってしまうからな」


「巻き添えを食うって……こんな所でやりあう気か? 此処は俺達以外にも他の人がいて――」


「大丈夫だ。奴が周囲に結界を張ってるから、今この場にいるのは余とカズヤ、そして奴だけだ」


「なに……?」


 俺が周囲を見回すと、確かにカインの言うとおり俺達以外誰もいなかった。


「ほ、ホントだ……」


「分かったなら下がれ。言っておくが手を貸すだなんてバカな真似はするなよ? いくらお前が普通の人間より強くても、この世界の人間では奴には絶対勝てないからな」


“ソイツの言うとおりだ、人間。死にたくなければ引っ込んでいることだ。いくら私でも無益な殺生は好まんからな”


「くっ……」


 かなり上から目線な物言いだが、あの甲冑の男は見ただけでかなりの実力を持っている。俺なんかじゃ、とても太刀打ち出来る相手じゃない。


 何も出来ない自分に腹立たしいが、今は取り敢えずカインに従うしかない。くそっ。


「………カイン、お前を信じて良いんだな?」


「無論だ。余は魔王だ。家臣のお主は余の勇姿をしかと見ておると良い」


「………分かった。死ぬなよ、カイン」



 フッ!



 そう言って俺はカインから離れる為に高速移動歩法である『疾足』を使って距離を取った。


『ほう? カズヤの奴、あんな事まで出来るとは……これは是が非でもカズヤには真なる余の家臣にさせねば』


『そんな先の事を考える必要はないぞ、カイストラルバーン。貴様は此処で死ぬんだからな』


『貴様……魔王である余に向かって、いつまでそんな舐めた口を叩いている? いくら温厚な余でも堪忍袋の緒が切れるぞ』


『温厚? はっ、笑わせるな。貴様のような幼稚な考えしか持たぬ魔王など、ヴォルガード様に比べたら天と地の差があり過ぎる』


『………よくぞ言った。ならば貴様の今までの無礼……死で償ってもらおう!!』


 そしてカインの台詞が試合開始の宣言のように、カインと甲冑の男の戦いが今此処で始まった。

今回書いたファンタジーは、魔王が現代の世界に来ると言うありきたりな物でした。


一応また再度短編として更新する予定ではあります。

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― 新着の感想 ―
[一言] 更新お疲れ様です。 来牙「神代が異世界からやってきた魔王の世話をする話か、最近アニメ化された『はた○く魔王さま』を見た後からかもしれないが、異世界の人間が現実世界にやってきてドタバタのコメ…
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