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少女の蛹  作者: カラクリカラクリ
7/30

踊り

それは奇妙な時計だった。

似ているものは時計だけれど、時計に似ているかと云われれば、首を傾げざるを得ない。

数字はひとつもない。

コトリコトリと動く針は二本あるが、12時と6時の位置を指して、まるで繋がっているように、同じタイミングで右回りに動いていく。

けれど私がじっと見ていると、不意に下向きだった針がぐにゃりと歪んで、振り子のようにふらふらと踊り出した。


「やだっ、なにこれ」

「針が振れたら、キミの選択肢が近いってこと」

「選択肢って、いるか帰るか?」

「そう。その針が示す間は、キミはお客さん。僕以外の誰かの手を取れば、住人になれる。帰りたいなら、最後まで僕の手を離さないこと」

「ねぇ。首を狩られたら、どうなるの」

「どうなるって、首を刈られるよね」


走りながらポカポカと男を叩くと、振り向いた男がぱちりと指を鳴らした。


「あのね、お嬢さん。僕は聞かれたことしか答えられない。キミが的確な問いを投げてくれないと」

「いやぁね。それくらい悟りなさいよ。これだから男って嫌だわ」


乾いた音に足を止めると、先端に毛皮をあしらった扇子を閉じた女が口角をあげる。


「その可愛い子、あたしに頂戴な。あんたには勿体ないじゃない」

「だ、誰? もしかして、首狩り?」


思わず男の腕にしがみつくと、女は目を丸くしてからけらけらと笑い出した。


「いやぁね。違うわよ。あたしの家にくるのなら、美味しい料理を出してあげる。云っとくけど、豪邸よ。ちょっと赤ん坊の面倒さえみてくれたら、衣食住付き。ね、最高でしょう?」


男の顔を見上げると、肩を竦めて、嘘ではないよ。あっさりと云う。


「そうじゃなくて、あの、証拠みたいな」

「聡い子は嫌いじゃないわ。良かったら見にいらっしゃいよ」

「あの、行っても、良い?」


腕を掴んだまま尋ねると、男は面倒臭そうに片目を眇めた。


「好きにしたらいいよ。選ぶのはキミだ」



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