表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
少女の蛹  作者: カラクリカラクリ
6/30

御隣さん

「首狩りってなによ!」


耳元で叫んでやると、男は面倒臭そうに目を細めた。


「だから、キミが手をとるかもしれないもののひとつだよ」

「手をとる? 首を狩られろって云うの!?」

「そうだね。キミが望むなら」

「望むわけないでしょ」

「それならさっさと逃げるよ」


あっさりと腕を捕まれて、でも首を狩られるなんて嫌だから反抗もできずに引かれるままに走り出す。


「ちょっ」

「頑張ってね、お姉さん」

「御隣さんには伝えておくね」

「え? 御隣さん?」


通りすぎる時に少年達に告げられた言葉は、疑問に回答のないまま耳元を通りすぎて結局扉が二人を閉じ込めた。


「あの、御隣さんて」

「この世界の管理人だよ。時間を廻してる、暗い顔した」

「悪かったっスね、暗い顔で」


唐突に目の前に立ちはだかったのは、長い前髪で視界を隠した子ども。

長すぎる袖で大きな円盤を掴んでいる。

そのまま放り投げられたそれを掴んで、足を止めた男は軽く肩を竦めた。


「うっとおしい前髪切れば、もう少し褒めるよ?」

「結構っス。さっさと逃げるっスよ」


くるりと踵を返して去っていく子どもを、見送るともなく見送っていると、思い切り腕を引かれる。


「ちょ」

「首刈られたいなら、立ち止まっても良いけどね」

「立ち止まったのは貴方の、」

「キミにあずけておくよ。キミの逃げ続ける時間だ」


先程子どもが投げた円盤を無造作に手渡して、男は僅かに足を早めた。

空いた手で円盤を掴めば、それは大きな時計のようだった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ