表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
少女の蛹  作者: カラクリカラクリ
23/30

「この結末は、つまらないよなぁ。なぁ、ネズミ」


ふわりと耳元を掠めた風が、嘲笑をつれてすぐそばの木の枝に腰を下ろす。

もう何度目になるか解らないが、驚いて顔をあげると、酷く固い表情の男が宙を睨んでいた。


「それはお前が決めることじゃない」

「そうかな? 少なくともお前でもないよな」


きゃらきゃらと木の上で笑い声が弾けて、私は訳が解らないまま、答えを求めるように後ろを振り返って呆然する。

あの大きな机も、目を見張るほどのティーカップの群れもそこにはなかった。

さやさやと風の通りすぎるただの森が、当たり前の顔をしてそこにあるだけ。

道化師も兎耳も、そんなものは何処にもいなかったように、一迅の風が走り抜ける。


「っ」


恐ろしかった。

それが、長閑で何でもない場所だからこそ、私は見たものが信じられずに慌てて男の服の裾を握りなおす。

怖い顔をしていた男は、目をしばたいて私を振り向いて、それから気づいたように、奥歯を噛んだ。


「お前」

「不機嫌だな、相も変わらず。もうちょい面白みがないと、つまらないぜ。コネズミ」

「なんなの、あの人」

「女王の言葉を借りるなら、空間を切り取る鋏使い、だよ」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ