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第68話 帰ってきた

戦闘は短かった。


峡谷地帯。


共和国REV部隊三個小隊。


通常なら正面突破。


だが今回は違う。


ゼルガードが高所を制圧。


退路を塞ぐ。


補給線を断つ。


アストラムは中央を抉る。


撃破。


だが包囲。


逃がさない。


追いすぎない。


敵は降伏か撤退。


味方損耗、ゼロ。


帰投。


格納区画。


ゼルガードが整然と並ぶ。


ミーファは数字を確認する。


「全機帰還」


小さく息を吐く。


ルクが降りる。


リンクスーツの接続を外す。


表情は変わらない。


何も言わない。


ミーファが言う。


「全員帰ってきました」


ルクは見る。


「それが?」


「喜んでください」


一瞬、空気が止まる。


「兵器が壊れようが壊れまいが、どちらでもいい」


「帰ってこなくても、弾薬と同じだ」


ルクは冷たい。


「違います、人間です」


ミーファはDC2ndを見る。


灰色の個体たち。


無表情。


揺れない。


「彼らは代替可能ではありません」


ルクが言う。


「代替可能だ」


「同一データがある」


ミーファは首を振る。


「人はデータじゃない」


ルクの視線が鋭くなる。


「人ならな」


ミーファは一歩近づく。


「DCは兵器じゃない」


沈黙。


ルクは怒らない。


だが苛立つ。


「証明しろ」


ミーファは即答する。


「帰ってきた」


「それが証明です」


一瞬、言葉が詰まる。


ルクは否定しない。


だが認めない。


「……不要だ」


背を向ける。


その背中にミーファが言う。


「私は、赤鬼部隊を壊させません」


ルクは止まらない。


だが。


その言葉は残る。


夜。


自室。


静か。


ルクは座っている。


揺れない。


残響は干渉しない。


ただ。


苛立ちだけが残る。


“帰ってきた”


その言葉が、うるさい。


レイは帰ってこなかった。


だから。


兵器である方が楽だ。


目を閉じる。


揺れない。


だが。


完全な静寂ではない。

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