表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/36

第28話 怖かった

共和国軍

REV開発区画。


白い機体が静かに立っている。


REV-IVエレジア


前後二座式。


前席が操縦主接続席。

後席が副接続席。


ハッチが開く。


フィーナが先に乗り込む。


白のコネクションスーツが光を受ける。


その後ろに、ユユ。


同じ白。


前後に並ぶ二つの影。


二輪の白百合のようだった。


ハッチが閉じる。


接続開始。


表示:


主接続:25%

副接続:5%

合算:30%


エレジアがゆっくり立ち上がる。


滑走。


応答、良好。


分散ユニット作動。


波形、安定。


その直後。


緊急命令。


亡命貴族、帝国領へ接近。


通常機では追いつけない。


「エレジアなら間に合う」


フィーナは迷わない。


「出ます」


後席。


ユユは深く息を吸う。


「うん」



荒野。


亡命部隊が最大出力で滑走している。


距離は遠い。


エレジア、加速。


地面を削りながら白い機体が伸びる。


主25%。


副5%。


ユユは操縦しない。


ただ、接続を受ける。


残響が流れ込む。


逃げる焦燥。

裏切りの決意。

恐怖。


「……っ」


たった5%。


それでも胸が締めつけられる。


前席。


フィーナが一機を斬る。


残響が弾ける。


濃い。


重い。


スーツが汗で肌に張り付く。


呼吸が荒くなる。


歯を食いしばる。


涙をこらえる。


接続は切らない。


ユユは後席から感じる。


フィーナの振動。


筋肉の強張り。


呼吸の乱れ。


25%で受け止める重さ。


もう一機。


斬撃。


残響。


強い。


フィーナの声がわずかに震える。


「……まだだ...!」


それでも操縦桿は離さない。


ユユの喉が熱くなる。


こんなに。


こんなに辛いものを。


ずっと一人で。


後席の表示を見る。


副接続:5%。


守られた数字。


それが急に軽く感じる。


「上げる」


小さく呟く。


副接続:10%。


振幅が跳ねる。


視界が揺れる。


吐き気。


背中に冷たい汗。


スーツが張り付く。


「ユユ!下げて!」


フィーナの声が前席から飛ぶ。


「無理しなくていい!」


ユユは震えながら首を振る。


「いいから!」


声はかすれている。


残響が流れ込む。


恐怖。

絶望。

断ち切られた未来。


涙が止まらない。


それでも接続は維持する。


主25%。


副10%。


波形が揺れながら、崩れない。


亡命機が帝国境界へ迫る。


フィーナが踏み込む。


最後の斬撃。


停止。


静寂。


遠方に帝国GRASP部隊の影。


だが間に合っている。


エレジアは減速する。


主25%。


副10%。


ユユの呼吸は荒い。


背中が震えている。


それでも。


「……いける」


フィーナは前席から後方モニターを確認する。


副波形、維持。


震えながらも、落ちていない。


帰投。


白い機体が滑走する。


後席でユユは肩で息をしている。


「怖かった」


正直な声。


前席。


フィーナが静かに答える。


「怖いよ、私も」


ユユは涙を拭う。


「でも」


スーツが汗で張り付いている。


身体は限界。


それでも。


「止まらなかった」


エレジアが整備床に戻る。


前後に並ぶ二つの白。


帝国は50%。


共和国は35%。


だがここには、


二人で耐える構造がある。


エレジアは壊れない。


そして。


二人も、まだ壊れていない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ