第23話 レイ
帝国前線。
赤いブレイバーが駆ける。
ルクの視界に青が入る。
レイ、合流。
「遅ぇよ」
軽口。
レイは返す。
「整備だった」
「ならしょうがねぇ」
戦闘開始。
共和国REV部隊、六機。
月明かりの下、交錯する。
ルクが一機を斬る。
残響。
“押せ”
“まだやれる”
“離脱するな”
熱い。
濃い。
悪くない。
次。
側面から一機。
ルクはあえて撃たない。
レイの射線に入る。
青いブレイバーが照準を合わせる。
残響が流れ込む。
“やめろ”
“帰りたい”
“届かない”
一瞬。
止まる。
引き金。
発射。
命中。
撃破。
だが。
遅い。
コンマ数秒。
ルクの中で確信に変わる。
三機目。
レイが踏み込む。
斬撃。
軌道修正。
また、微細な迷い。
残響が濃くなる。
“助けて”
“母さん”
“まだ生きてる”
ルクはレイの波形を見る。
安定。
揺れなし。
数値上は。
だが。
動きが揺れている。
四機目。
ルクは敵機をレイ側へ追い込む。
「レイ」
通信。
レイが応じる。
踏み込み。
照準。
――止まる。
ほんの一瞬。
ルクが割り込む。
斬撃。
撃破。
残響が爆ぜる。
“守れなかった”
“ごめん”
ルクは舌打ちしない。
怒らない。
ただ見る。
戦闘終了。
共和国機、撤退。
夜が戻る。
⸻
帰投途中。
赤と青が並ぶ。
ルクは軽く言う。
「30%ならそこそこな残響だな」
レイは返す。
「ただの音だ」
「...」
ルクはそれ以上言わない。
だが。
確信した。
遅い。
揺れている。
数値ではなく、
動きが。
ルクは空を見上げる。
「レイ」
呼ぶ。
「何だ」
「お前は俺と同じだ」
一拍。
「ずっとな」
レイは答えない。
ルクは続けない。
信じている。
だから言わない。
だが。
戦場は正直だ。
次に迷えば、
壊れる。
ルクは静かに決める。
もしお前が揺れるなら。
歪むなら。
俺が正す。
赤い機体が加速する。
その横で。
青い波形が、
ほんの僅かに、乱れた。
ルクはそれを見た。
そして、
見なかったことにした。




