表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/38

第1話 お前だけだよ

白い訓練室。


壁面モニターに番号が並ぶ。


84

85

86

87

88

89


86、接続。


出力上昇。


波形が暴れる。


悲鳴。


目が裏返る。


接続は切られない。


波形が断絶。


「86、停止。搬出」


灰色。


85、接続。


安定しない。


叫ぶ。


言葉が崩れる。


解除後も笑い続ける。


「85、適合不可。調整送り」


灰色。


空気は変わらない。


次。


88。


出力が上がる。


波形は跳ね上がり、理論値を越える。


「……理想値到達」


小さなざわめき。


88は無言で外れる。


次。


89。


出力上昇。


安定。


理論値上限。


誤差ゼロ。


「基準内最高値。問題なし」


89は解除される。


膝はつかない。


呼吸は乱れているが、立っている。


88が近づく。


軽い声。


「余裕だろ?」


89はモニターを見る。


灰色が増えている。


「俺は、基準内だ」


「十分」


「88は越えている」


間。


88は肩をすくめる。


「たまたまだな」


89は首を振る。


「違う」


モニターにはもう、88と89しか残っていない。


89が言う。


「俺が消えたら」


88は重ねるように言う。


「消えない」


「根拠は」


88は笑う。


「お前だけだよ」


「俺の隣に立てるのは」


89の視線が揺れる。


隣。


上ではない。


下でもない。


隣。


だが、その言葉は残酷だ。


隣に立てるのは89だけ。


それ以外は、消える。


実際に消えている。


“だけ”。


その響きが胸に沈む。


89は再度接続する。


出力を上げる。


痛みを飲み込む。


88の隣に立つために。


壊れないために。


消えないために。


お前しか、ここにはいない。


だから壊れない。


だから消えない。


そう信じていた。


――この日までは。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ