〇〇の物語
ある4人の仲間は、とても仲良しだった。
しかし、ある時を堺に、彼らは離れ離れになってしまった。
彼の視点、それぞれに焦点を当て、見ていく。
第一幕「青の月は、4人を照らす」
【夢の間】
彼と再会を喜ぶ一方で、私は下を見つめる。まだ、真昼のような空は………とても眩しすぎる。
彼の目は曇りない。
数分間、海の街を歩いた。
海は綺麗、街も静か、街の人々を眺めて、遠くの彼を見てしまう。
人は近くに感じるのに、彼は遠くにいる気がする。『本当は近い』
けれど、私の隠した心は、彼には遠すぎる。
「明日も、今日のように海と街を歩こうよ」
「今日は、見れなかった青の月が見えるから」
私は黙った。沈黙の時間は続き、その時間が彼の心にどれだけ、与えたか………でも、答えることができない。
私は死人、決して彼とは交わらず、お互いを好きになることは、消えてしまう私の時間を無駄に、彼に使わせることになる。
なら、話すことも、会うことも、好きになることは……………できない……けど、思い出は作りたい。
この気持ちは、ただのわがままでしかない。
明日、伝えよう。
『私は青い月に、行きます。だから、忘れてください。私(死人)であることを気づかないでほしい。貴方とは、前世でも、この時も、会ってはいない』
『どうか、この瞬間が彼と私にとっての、夢でありますように』
[8月5日の夜、青の月は、いままでにないほど、美しかった]
僕は本当に、会えない事を後悔した。気づいていた………はずなのに、気づかないフリは、別れを辛くさせる。
理が、現世とあの世の交わりを断ち、その後悔と再会の喜びを記憶させながらも、8月5日の
『黄泉流しの青月』は終わる。
(僕には、夢を見ている時間は………なかった)
【思い出】
暦を見るたびに、あの夏を思い出す。
アイツらは、どうなったのだろうか、気になるが、俺は今は別の高校。
今から、会いに行くには、時期が離れすぎた。昔は、4人で夏祭りに参加していた。
4人での思い出は、懐かしい。俺はアイツらの繋ぎであり、お互いの話し相手でもあった。
それが、今じゃ、カップルを見つめて、苦笑いをして、明日の日々を考えるだけの時間になっていた。
少しでも、3人と会いたかった。2人を繋げたように、俺も彼女と繋がりたかった。
でも、そんなことは………言えなかった。
俺の考えは、振られる事を前提にした回答だったかもしれない。
だから、当時の俺は勇気を出して、告白した。
勇気を出したことが、絶対に報われるとは限らない事をあの日、俺は知った。
結果は、俺の勇気は報われなかった。
告白の返事は、彼女から帰ってくることはなかった。
あの時は4人だったのに、今は俺、1人だけなんだな。
学校の教室で、同級生が騒いでいる。
「今日はなに、する?」
「お前、いつも同じこと言ってんな」
「そうか?」
「どうせ、カラオケか、ゲーセン、それか俺の家で遊ぶだけやろ」
「確かにな」
毎日、同じような会話を聞いている気がする。
退屈は感じない。
なぜなら、日々の勉強と、関わり合いに楽しみを少し、感じている。
学校生活の楽しみはこれらで、だいたいは埋まっている。
しかし、あの時の4人の仲間には、誰1人として、埋められる存在はいない。
あと、1週間で、もうすぐ夏休みが始まる。
もう一度、あの場所に帰ろうと思う。
未練がましいだろうが、俺は最後に彼女の返事を聞いて、俺の居場所から離れたい。
(逃げたくないから………思い出の日々から)
【繋がり】
私は仲良し4人のメンバーで、いつもある2人のお世話をしていた。そして、もう1人の彼が、2人のことを結んだ時、私は彼を嫌いになった。
『4つばのクローバー』
「私は4つばのクローバーが好きだ」
「4つばのクローバーは、私たち、4人のことを表しているようで、1つの繋がりがあり、それぞれが一つの役割をしている」
「絶対に、1つの葉が、特定の葉とは、一生は、繋がらない」
「繋がらない、繋がらないはずだった」
私が、友人と彼が付き合ったことを知ったのは、この繋がりを壊してしまった人物からだ。
アイツは嬉しそうに話してくれた。
アイツは、自分のおかげで2人が付き合えたと自慢げに話してきた。
私には、アイツの話した事の意味が、わかっていた。
私の友人と彼が特別な繋がりを持つことは、この繋がりが、4つばのクローバーが、決して、他の葉とは繋がらない事を知っていた。
私は、彼女と彼が付き合い始めてから、この繋がりを解いた。
別に、人間関係が悪化したとか、アイツの事を恨んでいるとかではない。
ただ、この繋がりは、もう交わることはない。
この日、私は彼らと会うことを避けていた。
そして、私はどこか、違う場所に行くことになった。
『この繋がりには、私の中で、有耶無耶になってしまった』
(一つの繋がりを残したまま………だったのにね)
【過去に】
彼女に告白することは、僕の人生の中で最大のイベント、いや《挑戦》と言ってもいい。
この挑戦が成功するなら、僕は、アイツのことを男として、尊敬するだろう。
アイツが、人生の分岐ルートで、最高の選択肢を選ばせてくれたことに、感謝もしなければならない。
『アイツらとよく遊ぶようになって、彼女のことをいつの間にか、見てしまっていた』
夏の暑さは変わらないように、今日まで、僕が持っていた恋心も暑いままだった。
こんなダサい言葉、彼女が聞いたら、きっと笑われてしまう。
でも、彼女に、僕の気持ちだけは伝えたい。
「今日は、『告白』の日だ」
「なんか、告白って、やっぱり緊張するよ」
「なに言ってんだよ、当たり前のことだろ」
「誰もが経験する瞬間かもしれないし、その瞬間がないまま、諦める奴もいる」
「けど、お前は『告白』するって決めた」
「俺はすごいと思う」
「そうかな““」
彼の言葉を聞くと、なんだか勇気が出てくる。
僕は、あの日、彼女に告白した。
「あの、僕と、付き合ってください!!」
[8月4日の朝、今日は、青月が見える日である]
私と彼が付き合って、何日、何月、何年だっけ?
思えば、楽しい日々しかなかった。
昨日のことように、感じてしまう。
彼とは、時を忘れて過ごしていた。
今年も『黄泉流しの青月』が、明日、行われる。
「彼はまだ、あの日の記憶を………なくしている]
【青月は、4人の出来事に焦点を当てている】
『僕』や『彼女』、『友人』、『仲間』
彼らが再び、4つの葉に戻ることが………できますように。
普段、自分が書いている作品とは違うけれど、BGMを聴いてたら、つい書いていました。
暇つぶしに読んで、短いから。
注意として、ドラマになってない可能性がある。