悔しい涙と、喜びの涙は、成分が変わる
女優さんなど、「泣きの芝居」のスイッチが入ると、5分もかからずに目からポロポロと涙が出る人がいます。
悲しいことを思い出して、“感情を作って”泣いている、あるいは「泣こうと思うと、泣ける」というプロ意識の人もいるそうですが。
涙は、もともと、目の乾燥を防いだり、ゴミの侵入から眼球を守ったり、まばたきによって涙が含む酸素や栄養を眼球全体に広げて送る、などの役目があります。
そのように、健康を維持するための「基本的分泌」、あるいはタマネギを切った時などに流れる「反射性分泌」のほか、感情が高ぶった時に出る「情動性分泌」というのがあります。
「情動性分泌」には大きく分けて2種類。怒りや悔しさの涙と、嬉しい時や悲しい時の涙です。
怒りや悔しさなどで興奮状態にあり、交感神経が優位に働いている時は、腎臓からのナトリウム排出が抑制され、その分、体液の中にナトリウムを多く分泌することでバランスを取ろうとするため、涙の中にはナトリウム=塩分が分泌されることになります。結果として「しょっぱい涙」になります。
一方、嬉しい時や、悲しい時は、副交感神経が優位に働いているため、腎臓のナトリウム排出は抑制されず、体液の中にもナトリウムはそれほど分泌されません。体液に含まれるナトリウム濃度も上がらないため、「水っぽい涙」になります。
ウソ泣きする女性に対して、こぼれた涙の雫をぺろりと舐めれば「む、しょっぱい! この味は怒りの涙の味!」と、どんなに芝居しても「味」でウソがバレることになります。
よく考えてみれば、目の前で堂々と涙を舐めて味わう男なんか、かなり変態っぽいのでさっさと縁を切った方が正解なのかもしれませんが……。
最近では「涙活」という言葉もあり、感動の涙を定期的に流して、ストレスをなくそうという活動もあります。
「感動の涙」は、より副交感神経が優位に働くため、嬉しい時や悲しい時よりも、さらに「水っぽい涙」になるのです。
切ない映画やドラマなどを見て泣くことは、ストレスホルモンであるコルチゾールの排出に繋がるので、気分的にスッキリするはずです。




