ノーベルは自分の訃報を見た
ニトログリセリンを使用した爆発物「ダイナマイト」。
語源はギリシャ語で「力」を意味する「Dynamis」。
「力強い」を意味する「ダイナミック」なども、同じ語源の派生語です。
さて、そのダイナマイトの発明者、スウェーデンのアルフレッド・ノーベル。
自身の名を冠した「ノーベル賞」設立者でもあります。
彼が、「ノーベル賞」を設立したのには、理由がありました。
彼は8人兄弟でした。
フランスのある新聞社が、ノーベルの4番目の兄が病死した、という情報を取り違えて、「ダイナマイトの発明者、ノーベルの死」として、新聞で訃報記事を掲載してしまったのです。
その時の見出しが「死の商人、死す」。
安全に土木工事を行えるように発明したダイナマイトで巨万の富を得たノーベルでしたが、同時にそれは戦争に転用できる兵器の発明でもありました。
この新聞記事にショックを受けたノーベルは、自分の死後、どのように自分が評価されるのか気に掛けるようになり、遺言状にこう記します。
“私の遺産で、人類の利益に寄与した人々に賞を与えたい。”
こうして、平和思想の普及と、科学進歩のための「ノーベル賞」が誕生したのです。
ノーベルはダイナマイトの特許を取る際に弁護士に依頼し、ゴタゴタと揉めた経験から、弁護士をあまり信用しておらず、この「ノーベル賞」に関する遺書は、弁護士を使わずにすべて自分で書き、自分で遺産の指示をしました。
それゆえに、法的な面では不備もあり、後見人たちは大変な苦労をした、という話です。




