病気は「かかる」、風邪は「ひく」?
「風邪をひく」ことを、英語で「Catch a cold」と言います。
それを知った時「冷たさを捕まえる」というのは「風邪」のイメージから、なんとなく“しっくりくる”気がしました。
風邪気味の時、確かに、妙に寒気を感じたりしますから。
日本語では不思議なことに、風邪以外の病気では「ひく」という表現を使いません。
病気に罹患することは、「〇〇にかかる」と表現します。
ちなみに、「かかる」という字は「罹患」の「罹」で「罹る」と書きます。
「罹る」のは、本人が避けて通れない災いを意味するので、「災いが降りかかる」の「かかる」でもあります。
「インフルエンザにかかる」「新型コロナにかかる」が、「インフルエンザをひく」「新型コロナをひく」だと、違和感があります。
なぜ、風邪だけが「ひく」なのでしょうか?
中国で「風邪」は、悪いものを運んでくる風のこと。
これが日本に渡ってきて、病気の「風邪」になったと考えられます。
「風邪をひく」の「ひく」は、他の病気とは発生原因が異なり、「悪い風を体内に引き込む」「悪い邪気を引っ張ってくる」から「引く」なのです。
背中にあるツボから、その「悪い風」が体内に入り込み、咳や熱の原因になると言われました。
その「体内に入る瞬間」が、背筋にゾクリと寒気が走るタイミングなのだとか。
「馬鹿は風邪を引かない」という言葉もありますが、こちらは「鈍感な人は、自分が風邪を引いていることに気づかない」ことを笑う内容のようです。
「阿呆風邪引かぬ」という言い回しもあるとか。
神経質な人はストレスで免疫力が低下するので、鈍感な人の方が免疫力の低下が見られず、科学的根拠としても「風邪を引きにくい」のかもしれません。