シンデレラが履いたのは「ガラスの靴」ではない?
日本に伝わってきた時は「灰かぶり姫」。
フランス語版では「サンドリヨン」。
旧ソ連では「ゾールシカ」。
イタリアでは「チェネレントラ」。
ドイツのグリム兄弟が書いた「アシェンプテル」……。
これらはすべて、「シンデレラ」の別名です。
「シンデレラ」の話には、フランスのシャルル・ペロー版と、グリム兄弟版の2種類あるそうです。
グリム兄弟版「シンデレラ」は、「本当は怖いグリム童話」などでも触れられていますが、ストーリーが残酷すぎて、私たちの知る「シンデレラ」とは、ほぼ別物のストーリーとなっていますし、登場するのは「ガラスの靴」ではなく「黄金の靴」となっています。
私たちの知る「シンデレラ」のイメージに近いのは、シャルル・ペロー版の方。
フランス語で書かれた「シンデレラ」を英語に翻訳した時、フランス語の「皮」を意味する「vair」と、ガラスを意味する英語「verre」を間違えて、本来なら「皮の靴」となるところを、「ガラスの靴」と訳してしまったそうです。
つまり、シンデレラが履いたのは、ガラスの靴ではなく、皮の靴。
しかも、リスの皮で作られた靴だそうです。
なんか、印象が変わってきますよね。
間違った翻訳のまま、「シンデレラ」は有名になって広まり、映画やミュージカルで、キレイでロマンチックな「ガラスの靴」のイメージが完全に固定化され、定着したのでした。
リスの皮、でひとつ思い出したんですけど。
「トカゲのシッポ切り」という言葉がありますが、リスも危険を感じると自分の意志でシッポを切り離して、逃げることがあるそうです。
トカゲと違うのは、トカゲのシッポはまた生えてくるけど、リスは切り離したら二度とシッポは生えない、という点ですかね。
もしかして、切り離したリスのシッポの皮が、シンデレラの靴に使われたのかもしれませんね……毛がフワッフワの靴を持って、相手を探す王子様を想像すると、「ロマンチックな再会」というイメージとは遠そうですが。




