ウミガメのスープの怖さ
前回、「死後の世界で出されるスープ」について書いたので、“スープつながり”で、もうひとつ。
「ウミガメのスープ」という話を御存知でしょうか。
(今回は、この話のネタバレがありますので、知りたくない人は読むのを御遠慮下さい)
私がこの話を知ったのは、ドラマ「世にも奇妙な物語」のエピソードのひとつ「海亀のスープ」でした。(調べてみたら、放送は1991年!)
レストランで「海亀のスープ」を一口食べた男が、
「この味は、違う……海亀のスープであるはずがない! うわああ!」
と顔色を変えて、その後自殺してしまうというブラックな話で、最後にその意味が分かってゾッとする展開でした。
見終えて、すごく怖かった記憶があります。
その後、2009年に発売されたニンテンドーDSの「スローンとマクヘールの謎の物語」というゲームソフトに「ウミガメのスープ」が収録されていて、それを偶然プレイしていて、思いがけず再会することになりました。
「スローンとマクヘールの謎の物語」は、水平思考クイズの書籍の著者であるポール・スローンとデス・マクヘールの本のシリーズから抜粋された、問題文・結末が用意されていてその理由を解き明かすゲームでした。
「ウミガメのスープ」というのは、こんな話。
◆ ◆ ◆
ある男が、とある海の見えるレストランで「ウミガメのスープ」を注文した。
スープを一口飲んだ男は、それが本物の「ウミガメのスープ」であることを確認し、勘定を済ませて帰宅した後、自殺した。
一体、なぜ?
◆ ◆ ◆
ゲームでは、出題者に「はい」「いいえ」「関係ありません」のいずれかで答えてもらう質問をぶつけて、真相を推理するわけです。
質問:男がウミガメのスープをレストランで注文するのは、初めてでしたか?
回答:はい。初めてです。
質問:男が自殺したのと、ウミガメのスープの味は、関係がありますか?
回答:はい。関係あります。
質問:男が自殺したのは、どこですか?
回答:その質問は、真相と関係ありません。
質問:男は、過去にウミガメのスープを飲んだことがありますか?
回答:いいえ。飲んだことがありません。
こうやって質問を繰り返し、導き出される真相は……。
◆ ◆ ◆
男はかつて数人の仲間と海で遭難し、とある島に漂着した。
食料はなく、飢えに苦しんだ仲間たちは生き延びるために、やむをえず死んだ者の肉を食べ始めた。
だが、男は倫理観から、かたくなに拒否していた。
見かねた仲間の一人が、「これはウミガメのスープだから」と嘘をつき、男に人肉のスープを飲ませ、救助が来るまで生き延びさせた。
男はレストランで飲んだ「本物のウミガメのスープ」とかつて自分が飲んだスープの味が違うことから真相を悟り、仲間の肉を食べてしまった絶望のあまり、自ら命を絶った。
◆ ◆ ◆
数行の問題から、こんなシチュエーションやストーリーまで分かるわけないじゃん!というツッコミも、ごもっとも。
ですが、質問の回答から推理し、想像を広げていく過程もゲームの醍醐味です。
真相だけを最初に知ってしまうと、なんともグロテスクなエピソードでしかありませんけれど。
あ、実際の海亀のスープは、結構美味しい料理らしいですよ。
現在では、海亀の個体数が激減して入手困難となり、海亀の肉の代わりに子牛の柔らかい肉を使った「擬似的な海亀のスープ」が作られるようになったそうです。
「偽物の海亀のスープ!」だなんて、こんな話を聞いた後で美味しく感じるかどうかは、個人の感性と味覚にもよりますが……。




