生ビールの「生」とは
前回のクイズの正解
Q1 埃及 …… エジプト
Q2 希臘 …… ギリシャ
Q3 土耳古 …… トルコ
Q4 丁抹 …… デンマーク
Q5 厄瓜多 …… エクアドル
Q6 秘露 …… ペルー
Q7 夏麦論 …… カメルーン
Q8 葡萄牙 …… ポルトガル
Q9 濠太剌利 …… オーストラリア
カメルーンの「夏麦論」という文字の並びを見ていると、夏! 麦! ということで麦茶か麦酒を思い浮かべてしまいます。なんだか飲みたくなってきたぞ。
さてそんなわけで今回の雑学エッセイのテーマは、暑い夏にキンキンに冷やしてゴクゴクと飲むとサイコーに美味しい「ビール」!
ビールについてさかのぼると、メソポタミアや古代エジプトの時代には既に、大麦を麦芽の酵素でアルコール発酵させた飲み物、つまり「ビールの原型」があったとされます。麦を使うためか、シュメール王朝では「液体のパン」とも呼ばれたとか。
古代ローマでは、ワインと比べてアルコール度数が低いビールは「子供に合った飲み物」とされていた時期もあるようです。ビールを子供が飲む、なんて全然想像できませんけれど。
「目には目を、歯には歯を」で知られるバビロニアのハムラビ法典にも、ビール販売に関する取り締まりの罰則があり、
「ビールを水で薄めて販売した者には、水の中へ投げ込んで溺死させる」
という一文があるそうです。ものすごく重い罪。
誰か、水で薄めて売ったヤツがいるんでしょうな。
ちなみにハムラビ法典の「目には目を」っていろんなところで引用されますけど。
内容としては結構グロテスクで、
「目を潰されたら目を潰し返せ、歯を折られたら歯を折り返せ」
という「同害報復」の法を説いたもので、失明させられたからといって相手を殺してはいけない、というような「報復の上限」を設定し、過剰な復讐を防止する狙いがあるそうです。けっこう怖い。
閑話休題。さて、話をビールに戻します。
日本でのビールの歴史も意外と古く、オランダの使節団が徳川吉宗に献上した、という記録が残っているそうです。
暴れん坊将軍がビールジョッキを持って……いや、当時はガラスのジョッキなんて、無かったでしょうけど。
記録では「麦の酒」「何の味わいもない」と否定的な文章だったそうで。
現在のように香り付けのホップなど何もなく、なんとも簡素な味だったと予想されます。
その後、明治時代になって再度、長崎の出島へ持ち込まれ、上流階級の日本人向けに販売されました。
当時は「酒」ではなく「炭酸の気付け薬」という位置づけ。
今で言うところの、「薬局に置いてある栄養ドリンク」に近いイメージだったのかもしれません。
ちなみに、「生ビール」の「生」とは?
醸造後、熱処理をしていないビール全般を「生ビール」と呼ぶそうです。
日本では、「ドラフトビール」も、加熱処理されていない点で「生ビール」と同義だとか。
「瓶ビール」や「缶ビール」は、長期保存を前提として基本的に熱処理の過程を経ています。
今度、居酒屋に入って「とりあえず、生で」と注文する時は、「とりあえず、非熱処理ビールで」と言ってみましょう。
言葉の正確性がアップし、周囲からの注目も集められます。
「こいつ何言ってんの」という視線ですけど。




