刑事をデカと読むのはなぜ?
どんな業界にも「業界用語」というのがあります。
警察関係者が、容疑者や犯人のことを「ホシ」と呼んだり、事件のことを「ヤマ」、拳銃のことを「ハジキ」、被害者のことを「ガイシャ」……というのが、刑事ドラマなどでのお約束。
家宅捜索を「ガサ入れ」と言うのは、「さがす」から「す」を抜いて、「さが」を逆さにした「ガサ」が由来だとか。
使われている漢字から、「窃盗事件」を「うかんむり」、「詐欺事件」を「ごんべん」と呼ぶのは、実際に使われているとか。
「刑事」と書いて「デカ」と読むのも有名ですが、「でか」と入力しても漢字の変換候補には現れません。
1970年代~80年代のドラマ「太陽にほえろ!」で、登場人物の刑事たちが「俺たちデカは……」と使い始めたのが、広く認知されるきっかけだったとか。
その後も、「あぶない刑事」(1986年~)や、「刑事貴族」(1990年~)など、タイトルに「刑事」が入るドラマが製作されました。
この「刑事と書いてデカと読む」語源には諸説あるのですが、元は犯人側が使っていた隠語だと言われています。
明治時代の刑事は和服を着ており、袖の下部分が角張った和装のコート「角袖外套」を着ていました。
そこから「角袖」という通称で呼ばれていました。
警察関係者からコソコソ隠れるような悪人たちは、「アイツ、刑事だ」「角袖が来たぞ」などと直球で呼ばず、「角袖」を並べ替えて「くそでか」という隠語で呼び始めたのだそうです。
「くそでか」の「でか」の部分が残り、現在のように「刑事」と呼ぶようになった、という説が有力です。
犯罪者側が主に使用していた隠語が、ドラマ内の用語として採用され、一般に広く認知されるようになった、という流れのようですね。
あくまで、この読み方は「俗称」「通称」ですので、漢字テストで「刑事の読みを書きなさい」という問題で堂々と「でか」と書いたら、先生から不正解のバツをつけられます。
個人的には、「あぶない刑事」の後に放送されていた「あきれた刑事」(1987年~)が好きだったりして。
警察組織というよりは、潜入専門の刑事が単独で動き、元・暴力団員や探偵を金で雇って仲間として活動、という変わり種な設定がお気に入りでした。




