ギャグって口をふさぐこと
お笑い芸人の「一発ギャグ」とか「鉄板ギャグ」とか、「ギャグ」という言葉は「人を笑わせるネタ」という意味として使われています。
ですが、本来の英語の「gag」は「口をふさぐ」という意味でした。
もっと言うと「さるぐつわ」とか「言論の弾圧」といった意味も。
イギリス英語では「議論や討論を終了する」といった場合でも使われるようです。
つまりは「相手を黙らせる」行為ですね。
言葉の語源としては、昔のイギリスで、芝居をしていた舞台俳優が、私語がうるさい観客に対して突発的なアドリブで注目させ、私語を「黙らせた」ということが発端らしいです。
それが面白く、観客にウケたことから、演劇や映画における「場当たり的な、滑稽な台詞や仕草」といった意味に転じていきます。
そして、「ギャグ」という言葉は、コメディにおける「観客を笑わせる要素やアイデア」全般を包括するようになりました。
今でも、「口をふさぐ」意味として「ギャグ」という言葉が残っている業界があります。
それはアダルト産業なのですが……SMの道具で「ボールギャグ」というのがあるのです。
ゴルフボールに穴を開けたような物に、革のベルトがついていて、まさに「さるぐつわ」のように口を固定します。
口をふさがれて、言葉を発することができず、しかも穴が空いているものを噛まされているので、唾液はこぼれ放題。「ギャグボール」から糸を引いてだらだらと垂れ続けます。
よだれを隠すことができず、人間らしい言葉も禁じられ、恥辱を強いられる……といった目的のアイテムだそうです。
「口をふさぐ」意味の「ギャグ」がこんな界隈に残っていようとは……SM道具の名称をなんで私が知っているかって?
なぜでしょうねえ……。
その点については口をふさいでおきます。




