仏の顔は「二回」まで
「温厚な人でも、無礼なことを何度もされたら我慢の限界が来る」例えで、「仏の顔も三度まで」ということわざがあります。
これはもともと「仏の顔も三度撫ずれば腹立つ」という表現から来ており、心の優しい仏様でも、ふざけて三回も顔を撫でられたら、腹を立てるという話……なので、三回目でもう「アウト」なんですね。
怒らないのは二回目まで。
三度「まで」ということわざなので「三回目までOK、四回目からNG」だと勘違いしている人が多いのですけど。
そこで、今回は「数のボーダーライン」について。
私が小学校くらいの時、算数の授業で、テストのプリントは表が問題、裏には数字に関するエッセイがイラスト入りで書かれていた気がします。
おそらく、子供に「数字に興味を持ってもらうため」、それと、早くテストが終わった子が時間をもてあまして悪さをしないように、暇をつぶさせるためでもあったのでしょうけど。
そのエッセイの中で、妙に覚えているのは「150㎝以下は、150㎝を含む?」という内容。
遊園地の乗り物の中には、安全の面から身長制限が設定されているものもあり、そこで
「150㎝以下のお子様は乗れません」
と表記があった場合、
「150㎝ちょうどの場合は、ギリギリ乗れる? それとも乗れない? 考えてみよう!」
という問いかけで「どっちだろう……?」と頭をひねったので、記憶に残っているのです。
正解は「乗れない」。
「以上」や「以下」、あるいは「以内」といった表現は、「その数自体」も含みます。
「千円“以上”お買い上げの方に粗品をプレゼント!」というキャンペーンがあった場合、ちょうど千円ぴったりの買い物であっても、粗品はもらえます。
「お買い上げから一週間“以内”であれば返品可能です!」と謳っている場合は、一週間ちょうどでも返品はできる、ということになります。
注意するのは、「未満」という表現だと「その数自体を含まない」ことです。
たとえば……まあ、あくまで一例ですけど、書店とか、レンタルショップで
「18歳未満は立ち入り禁止!」
なんてマークがついたのれんがあって、その奥には何やらアダルトな商品が陳列されている、そんなお店があったとしますよね。
この場合は「18歳以下」ではなく「18歳未満」なので、ちょうど18歳であれば、禁止項目に該当せず、堂々とのれんの奥に入ることができます。おめでとう。ようこそ大人の世界へ。
ただし、注意書きによっては「18歳未満および高校生の立ち入りを禁止します」と書かれていることも。
18歳以上だけど「高校生」に該当していると、NGになってしまいます。
出席日数が足りずに学年をダブッて、「ハタチだけどまだ高校生」だとか、高校中退した過去のある人が、年を取ってから勉強をやり直すために再入学したケースは、どんなに年齢を重ねていても「高校生」の時点で、そういう「のれんの向こう側」には入れなくなるってことですね。世知辛い世の中だねえ。




