沙悟浄はカッパではない
「桃太郎」のお供はサル、イヌ、キジ。
「西遊記」はサル、ブタ、カッパ……というのが定番で、「どうして動物をお供に旅をしたがるんだろう?」と不思議ではありますが。(奇跡的に「サル」かぶり)
「オズの魔法使い」も、お供に勇気の無いライオンがいますし。
実は、「西遊記」のカッパこと「沙悟浄」は、原典ではカッパではないらしいのです。
そもそも、「カッパ」というのは日本発祥の妖怪。
中国の古い小説である「西遊記」に登場するとしたら「そんな昔から、日本の妖怪の話が伝わっていたのか?」と疑問を抱くことになります。
原典では、「川の妖怪」とだけ描かれていて、忠実に解釈するなら、実際はイルカとかワニの怪物だったらしい、というのが近いらしいです。
「西遊記」という物語は、玄奘というお坊さんがお経を受け取りに長い旅をした、という史実から想像を膨らませて創作された、妖怪も仏様も登場するファンタジー小説。
その中でも、サルの妖怪である孫悟空、ブタの妖怪である猪八戒は、仲の良い相棒同士、という感じで台詞の掛け合いも多いそうですが、対照的に沙悟浄は登場回数も少なく、台詞もあまり無いため、「キャラ立ち」しておらず、どんな容貌なのか掴みづらいのが本当のところなんですって。(後年の研究者たちも、頭を悩ませているとか)
日本で最初に翻訳される時に「川の妖怪といえばカッパだろう」ということで「沙悟浄はカッパ」と訳されたそうで。
それが定着し、ドラマでさらに認識として強まったようです。
1978年の「西遊記」では、岸部四郎が飄々とした関西弁の沙悟浄を演じていました。
私も個人的には、再放送で何度も見た作品なので、「西遊記」といえば堺正章の孫悟空! 夏目雅子の三蔵法師! 西田敏行の猪八戒!(「Ⅱ」では左とん平にチェンジ) 主題歌はゴダイゴ!というイメージですね。
「西遊記」は日本で何度もドラマ化されており、1993年の「孫悟空が本木雅弘」版、1994年の「孫悟空が唐沢寿明」版、2006年の「孫悟空が香取慎吾」版などがありました。
翻案なども含めると、昔から世界中で映画・ドラマ・漫画・ゲームにアニメなどで使われまくっています。
1978年には、舞台を宇宙に置き換えたアニメ「SF西遊記スタージンガー」があったり、前年の1977年には人気絶頂だったザ・ドリフターズをモチーフとした人形劇「飛べ!孫悟空」が放送されていました。(意外にも「西遊記」のドラマより、こっちが早かったんですね)
志村けんが孫悟空、いかりや長介が三蔵法師、高木ブーが猪八戒、仲本工事が沙悟浄というマッチしているキャスティングの中、加藤茶だけは現実そのままの「カトー」というおじさんだったんですよね。
ピンクレディーが主題歌「スーパーモンキー孫悟空」を歌っていたり、毎回豪華ゲストも出たり、やたらとお金がかかっていたのかな。
そして当時の『テレビマガジン』でのコミカライズが、「名たんていカゲマン」でおなじみの山根あおおに先生! うわーい!
あれっ、ここのサイトの視聴者の平均年齢っていくつくらいなんでしょう……。




