もしも宇宙人と遭遇したら
空気が冷え、澄んだ冬の夜空は、夏よりも星が綺麗に見える、と言われています。
寒いし息も白いけど、ふと見上げると、キラキラと輝く星座が見えたりして。
そんな中、輝く星の中に動く星が! まっすぐこっちに向かってくる!?
隕石じゃない、七色に輝くあれは、UFOだ!
なんて、笑い話かもしれませんが、100パーセント無いとも言えない話。
可能性がゼロじゃないなら、思考実験として予防策を考えておきましょう。
UFOがあなたの目の前に着陸し、中から宇宙人が降りてきたとします。
(タコ形とかリトルグレイとか、地球人そっくりとか、形はご想像にお任せします)
実は、国連では「宇宙条約」という規則があります。
正確には「月その他の天体を含む宇宙空間の探査および利用における国家活動を律する原則に関する条約」というもので、国連加盟国である日本も、この規則に準ずる必要があります。
その「宇宙条約」の第5条では、こう記されています。
「条約の当事国は、宇宙飛行士の生命又は健康に危険となるおそれのある現象を月その他の天体を含む宇宙空間に発見したときは、直ちに、これを条約の他の当事国又は国際連合事務総長に通報するものとする」
地球外生命の発見もこれに含まれますので、宇宙人と出会ったあなたは、他の当事国又は国連事務総長に通報する決まりです。
目の前の宇宙人が、何らかのアクションを取り、言葉で話しかけてきたとしましょう。
何を話しているのか、あなたはさっぱり分かりません。
すぐに話しかけたり、相手の呼びかけに返答してはいけません。
国際研究機関である「国際宇宙航行アカデミー地球外知的生命探査常任委員会」は、「地球外知的生命発見後の行動に関する原則の宣言」を定めています。
これによると、地球外知的生命からシグナルが発信され、それが本物であることが確認された場合、国際的に情報を共有し、返答がまとまり、合意を得るまでは、それに返信してはいけないことになっています。
向こうが、あなたを「地球人の代表」として認識し、あなたの思いつきで適当に答えたことが、地球の命運を左右するかもしれないのですから!
すぐ近くの宇宙人が、何かの呼びかけをしていても、あなたは国連事務総長とかに通報してから、国際宇宙航行アカデミーの返答を待つのです。
返答が来るまで、数日間かかるかもしれません。
「数日間も待っていられるかぁー!」(宇宙人の母星語)
待ち疲れた宇宙人が叫びながら、襲いかかってきたとしましょう。
自分の身を守るためだ、正当防衛もやむをえない!
あなたは、映画「インデペンデンス・デイ」のウィル・スミスみたいに、宇宙人の顔面をぶん殴ります!
でも、これもNG。
国際宇宙航行連盟の法律によれば、「人類は異星人を傷つけてはならない」とあります。
ロマンのない話ですが……知らないところでさまざまなルールがあって、がんじがらめに縛られるなら、宇宙人と出会いたくないですねえ。




