この字なんの字ゲシュタルト崩壊
小学校の頃、漢字の書き取りのドリルなどで、同じ漢字を連続して書いて練習していると、
「あれ、この字ってこんな字だったっけ……? これで合ってるのかな?」
と、妙な違和感を抱くことがありました。
たとえば、「多」という字が、「夕」「夕」という個々のパーツにしか見えず「これってひとつの字だっけ?」と疑問に思えてしまうような。
この現象には名称があり、認知心理学で「ゲシュタルト崩壊」と言います。
最近では、「ゲシュる」「ゲシュ崩」など、ネットで略称が使われたりもしているそうですが、ここまでゲシュゲシュいっぱい書いてきて
「あれ、ゲシュってカタカナはこんな字だっけ? これで合ってる?」
と私の中でリアルタイムでゲシュタルト崩壊が発生中です。
「ゲシュタルト」とは、ドイツ語で「形態」「姿」を意味する言葉。
精神分析学、行動主義心理学と合わせて、「ゲシュタルト心理学」というのがあり、心理学の三派閥と呼ばれています。
ドイツの心理学者・ヴェルトハイマーによって提唱された「ゲシュタルト心理学」は、「個の部分によって創られた総和」、人間の精神を俯瞰で全体的に捉えた概念です。
全体を枠として捉え、いくつもの個がまとまった形として、その中身がある。
枠が認識できなくなると、個がばらばらになってしまう、というわけです。
同じ文字の連続に違和感を抱く、文字の「ゲシュタルト崩壊」の話を紹介してきましたが、同じ文字の連続という話題で、なんだか「文字列傾斜錯視」を連想しました。
「文字列傾斜錯視」について、ネットでは「猫マナー」「杏マナー」「十一月同窓会」などが有名なので、例として書いてみましょうか。
猫マナー猫マナー猫マナー猫マナー猫マナー猫マナー猫マナー猫マナー猫マナー猫マナー猫マナー
杏マナー杏マナー杏マナー杏マナー杏マナー杏マナー杏マナー杏マナー杏マナー杏マナー杏マナー
十一月同窓会十一月同窓会十一月同窓会十一月同窓会十一月同窓会十一月同窓会十一月同窓会
どうでしょう?
なんだか、文字列が傾いて見える気がしませんか?
左から右に、少しずつ下がっているような。
特定の文字の「横一直線」の部分の高さが、絶妙なバランスで並ぶことで、見た目に傾斜の錯覚を起こさせるのです。
そして、逆の並びで「ーナマ猫」「ーナマ杏」「会窓同月一十」と書いてみます。
ーナマ猫ーナマ猫ーナマ猫ーナマ猫ーナマ猫ーナマ猫ーナマ猫ーナマ猫ーナマ猫ーナマ猫ーナマ猫
ーナマ杏ーナマ杏ーナマ杏ーナマ杏ーナマ杏ーナマ杏ーナマ杏ーナマ杏ーナマ杏ーナマ杏ーナマ杏
会窓同月一十会窓同月一十会窓同月一十会窓同月一十会窓同月一十会窓同月一十会窓同月一十
今度は、左から右に、少しずつ上がっているような。
ここのサイトには「文字列を傾けて投稿する」なんて特殊機能はないので、錯覚で「傾いて見えている」だけなのです。
最後に、交互に並べてみましょう。
こうすると、もっと分かりやすくなるかも。
猫マナー猫マナー猫マナー猫マナー猫マナー猫マナー猫マナー猫マナー猫マナー猫マナー猫マナー
ーナマ猫ーナマ猫ーナマ猫ーナマ猫ーナマ猫ーナマ猫ーナマ猫ーナマ猫ーナマ猫ーナマ猫ーナマ猫
杏マナー杏マナー杏マナー杏マナー杏マナー杏マナー杏マナー杏マナー杏マナー杏マナー杏マナー
ーナマ杏ーナマ杏ーナマ杏ーナマ杏ーナマ杏ーナマ杏ーナマ杏ーナマ杏ーナマ杏ーナマ杏ーナマ杏
十一月同窓会十一月同窓会十一月同窓会十一月同窓会十一月同窓会十一月同窓会十一月同窓会
会窓同月一十会窓同月一十会窓同月一十会窓同月一十会窓同月一十会窓同月一十会窓同月一十
右に行ったり、左に行ったりする傾斜……。
なんだかどこかで見たことあると思ったら「ドンキーコング」のステージ1の鉄骨だ!




