蚊柱の正体は、蚊じゃないって
夏の夕暮れ時などに、無数の細かい虫がわしゃわしゃと集まってできる「蚊柱」。
学生時代、自転車で通学していて、夕方の帰り道、「蚊柱」に顔面から突っ込んで、「ちょっと口に入っちゃった、ぺっぺっ」というイヤな感じを思い出します。
さて、この「蚊柱」。
その名の通り、「蚊」が集まっているのかと思ったら……実は、「ハエ」の仲間。
集まっている虫の正体は、「ユスリカ」という種類で、名前に「カ」と付くくせに、実は「蚊」じゃなくて「ハエ」に分類されるんですって。
見た目も、蚊にすごく似ているんだとか。まぎらわしい。
ユスリカはハエなので、蚊と違って、人間の皮膚から血を吸ったりしません。
なので、蚊柱の中に腕を突っ込んでも、何匹も肌にとまって、ちゅーちゅー吸血行為をされるということがないわけです。
だからと言って、腕を突っ込みたくはないですけど。
なぜ、あの蚊柱が発生するかというと、あの構成は一匹、あるいは数匹のメスに、数百匹のオスが群がっているからなのです。
繁殖期のユスリカのオスは、交尾のために相手のメスを見つけようと必死なんですね。
メスを見つけると、複数のオスたちが集まり、自分の羽音を鳴らして飛び回り、必死で「選んで下さい!」とアピールしているのです。
それが集まりすぎて柱状になっている、というボリューム。
人間で言うなら……出会いを求める婚活パーティーでしょうか。
少人数しかいない、ステータスの高い美人に、わらわらと無数の男たちが集まってきているイメージ。
そして「相手」してもらえるのは、ほんの一握り……。
せ、せつない……。
蚊柱に、人間社会の縮図を見るかのようだ……。
くっ、蚊柱ごときに俺の精神ゲージが削られていく!(個人の感想によります)
しかも、ユスリカの成虫というのは、口や消化器系が退化しているので、栄養を取ることができません。
寿命は、1日~数日で尽きてしまいます。交尾できなかったら、そのまま死んでしまうんですね。
だから余計に「子孫を残そう」として、メスへ必死にアピールしているわけか……。
なんだか、「蚊柱」に対して憐憫の情を抱いてしまいそう……。
がんばれオス! 他のオスに負けるな!




