ウラシマ効果について
漁師の浦島太郎が砂浜を歩いていると、子供たちが亀をいじめていたので、亀を助けてあげました。
亀はお礼にと、海底にある「竜宮城」に浦島太郎を連れていき、乙姫から歓迎を受けます。
そして「玉手箱」を貰い、地上に帰ると、数百年の月日が経過していました。
絶望した浦島太郎が「玉手箱」を開けると、煙が出てきて、おじいさんになってしまったのでした……。
以上が、皆さんも御存知、一般に知られているおとぎ話「浦島太郎」の主なあらすじ。
古くは『万葉集』や『日本書紀』といった古い文献にも言及がありますが、昔は少し違ったようです。
乙姫といった名前が登場せず、元々「いじめられていた亀」が海の女神の化身で、助けられて真の姿を現し、「蓬莱山」といった山の城に連れて行ったとか。そこで夫婦となって、二人は暮らしたとか。
玉手箱を開けた浦島は、老人にならず、一匹の鶴に姿を変えて空へ飛んで行った。この話が長寿を意味する「鶴は千年、亀は万年」の元となった、とか。
弱き者を助けた主人公が、誰かにお礼される、つまり「いいことをすれば報われる」といった教訓の面。
さらには、「絶対に開けないでくださいね」と乙姫が言ったにも関わらず、「玉手箱」を開けてしまって老人になるという、「他人との約束を破ると自分が痛い目に遭う」という部分も教訓と言えるのかもしれませんが、悪事を行ったわけでもない浦島太郎が、知り合いが誰もいない世界で老いて死んでいくバッドエンドな幕引きで生涯を終えるのは、どうにもスッキリしません。
浦島太郎が竜宮城で数日過ごし、地上に戻っているとかなりの時間が過ぎていた……という現象は、「もしも、宇宙人にさらわれていたのだとしたら?」という解釈で、強引に整合性を持たせることもできるかも。
地上に降りた宇宙人の仲間がケガをして、それを助けた浦島太郎が、お礼にUFOに招かれ、乗せてもらった。
地球を離れ、宇宙空間は地球と時間の流れが異なるため、浦島太郎は肉体的に若いまま。帰ってきたら、地球上では数百年経過していた、と考えれば……一応は辻褄は合います。
SF的には、浦島太郎の名前から「ウラシマ効果」と呼ばれたりします。
古くから、円盤状の飛行物体の目撃例は、日本でも文献に残っていて「虚船」と呼ばれていたそうです。
そんなUFOに乗せられて地球を去っていった浦島太郎を、別の人間が目撃していたとしたら。
「あれはでっかい亀の甲羅みたいだった」というUFOの目撃情報が、人から人へ伝わるうちに「亀に乗って去って行った」に変わったとしたら?
……なんて、妄想に過ぎないですけど。
ところで、乙姫はなぜ「開けてはいけない玉手箱」を浦島太郎に渡したのでしょうね?
本当に「開けてほしくない」のなら、そもそも渡さなければいいのに。
あるテレビ番組でやっていましたが「これに納得いく理由をつけるとしたら?」と面白い思考実験をしていました。
説得力のある正解、思いついた方いますか?
「実は渡されたのではなく、盗んで逃げようとしたので、浦島太郎に天罰が下った」とか、「乙姫も別の誰かから預かったから、厄介払いをしたくて他人に渡さざるを得なかった」という説が、物語の背景を想像できて、個人的には好きですね。
さて、今回で雑学エッセイは一段落して、ちょっとお休みに入ります。
再開時期は未定です。
ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。




