金太郎と、きんぴらごぼう
「桃太郎」や「浦島太郎」などの物語はすぐに思い出せるけれど、「金太郎」って、何か明確なストーリー、あったっけ?
山に行って、クマと相撲したり、鉞かついでるイメージしか浮かばなかったり。
桃太郎のモチーフが岡山県の「吉備津彦命」だったように、金太郎のモチーフとなった実在の人物もいます。
それが「坂田金時」。
山中に住む職人の娘・八重桐が京都に行った際、宮中に仕えていた坂田蔵人と結ばれ、宿した子であるとされています。故郷に帰り、八重桐は子供を生みましたが、坂田蔵人が亡くなったため、故郷の山で育てることになりました。
その子供というのが「金太郎」です。
山で修行をし、元気で逞しく、親孝行な優しい子に育った金太郎は、足柄山で熊と相撲を取ったり、力自慢でも有名でした。
そこで源頼光と出会い、実力を認められて家来となり、名前も「坂田金時」に改めます。
この時に、他にも頼光には三人の家来がおり、坂田金時を足して「頼光四天王」と呼ばれました。
この四天王のひとりに、渡辺綱もいました。
このエッセイの182回目「節分で豆をまく必要がない人」でも紹介したとおり、渡辺綱は鬼を退治して有名になり、鬼に恐れられたので、現代でも「ワタナベさんは節分で豆をまかなくても良い」由来となった人です。
頼光四天王で力を合わせ、鬼の頭目・酒呑童子を倒したという伝承が残っています。
坂田金時には坂田金平という息子がいました。
江戸時代には「鬼を倒した父親世代の四天王と、さらに活躍した息子世代の子四天王」物語を演じた人形浄瑠璃が評判でした。
特に坂田金平の人気が高く、その人形浄瑠璃は「金平浄瑠璃」(きんぴらじょうるり)と呼ばれ、その人気にあやかって、この頃に生まれた料理にも名前が残りました。
ゴボウ、レンコン、ニンジンなどを甘辛く炒めた「きんぴらごぼう」がそうです。




