牛乳の膜は「ラムスデン現象」で出来ている
眠れない夜、電子レンジでカップの牛乳を温めて、ホットミルクでも飲もうかな……なんて、牛乳を温めると、必ず表面に薄い「膜」が出来ます。
牛乳を40℃以上に温めると、タンパク質と脂肪が水分の蒸発により、変化して固まって、表面に浮かび上がってくるのです。
これを「ラムスデン現象」といいます。
「ラムスデン現象」という呼び名は、この現象を記録した科学者であるウォルター・ラムスデンの名前からきています。
ラムスデンは、イギリスでタンパク質やエマルジョン(乳濁液)の研究をしていた人物。
この「ラムスデン現象」、諸外国では、「ピッカリングエマルジョン」という名前で呼ばれています。
なんだか名前の響きがいいですね。
ぴっかりんぐ・えまるじょん!
幼稚園児が歌いそう(なんだその偏見は)。
ラムスデンと同じくイギリスの研究者である、パーシバル・スペンサー・ウムフレヴィル・ピッカリングという人物が、ラムスデンの見つけた現象についての研究をさらに掘り下げてまとめて、論文として発表しました。こっちも人名由来だったんですね。
ラムスデンよりもピッカリングの方が研究者として有名だったため、「ラムスデン現象」ではなく、「ピッカリング乳化」の名称が世界的には広まった、という次第。
豆乳を鍋で熱して、表面に浮かぶ膜をすくって食べる料理「湯葉」も、同じく「ラムスデン現象」によるものです。
温かい牛乳を飲もうとして、あの「膜」が苦手な方もいるかもしれませんが、固まっているだけで栄養価は結構高いので、「口触りが気持ち悪いから」って捨てないでくださいね。勿体ない。
膜が苦手な人に、オススメなやり方。
レンジに入れる前に、少量の砂糖を溶かして甘いミルクにしておくと、砂糖の成分により膜ができにくくなります。
あるいは、鍋で温める時に、かき混ぜながら温めると、対流が内部で生まれて、表面上の水分の蒸発が抑えられ、膜は作られません。
最後にもう一回だけ言っておこうかな。
ぴっかりんぐ・えまるじょん!(なんか気に入った)




