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野口英世は、小説を読んで改名した

 千円札の肖像にも登場し、黄熱病や梅毒の研究に人生を捧げた細菌学者・野口英世。


 本名は、野口精作といいました。


 しかし、野口が21歳の頃、どうしても「改名したい!」と思える事件と遭遇します。


 当時の流行小説、ベストセラーで皆が読んでいた坪内逍遥の『当世書生気質』を、知人から薦められて読んでみたのです。


 野口は驚きました。

 小説の主人公の名前は、自分とよく似た「野々口精作」という人物。

 この人物が、友人を口先でだまして借金するわ、その金で遊郭に行って女を買うわ、やりたい放題の自堕落なヒドイ男。

 最後には自殺までしてしまうその人物に、野口は自らを重ねます。


「もしも、この小説の主人公のモデルが、自分だと思われたらどうしよう……!」


 自分にも、友人から借金したり、遊郭に行ったりと、小説の人物と同じ行動をとった過去があります。まるで自分の人生を、そのまま小説に反映されたかのようで、薄気味悪かったそうです。


 野口は改名しようと役所に届け出ましたが、改名の手続きはそう簡単にはできません。


「小説の登場人物で、すごくイヤな奴がいて、そいつと名前が似てるんです! 我慢できないんです! 名前変えさせて!」

「そんな理由じゃダメです」


 そりゃそうですよね。


 野口は、恩師の小林栄に「どうしたら改名できますか?」と相談します。


 そして、「同じ村に同姓同名が二人いた場合、紛らわしいので改名が必要」というもっともらしい理由をでっちあげ、野口は、佐藤精作という人物を探し出して自分の村に連れてきて、野口という家の養子にして、強引に「野口精作」という人物を誕生させました。この行動力よ!


「ほら、同姓同名が同じ村に二人! すごくややこしいんです! 名前変えさせて!」

「んーじゃあ仕方ないか」


 という流れで22歳の時に「野口英世」に改名したそうです。


 野口から改名手続きの相談を受けた、恩師の小林栄は、小説を書いた坪内逍遥に「野々口精作というのは、モデルとなる人物がいるんでしょうか?」と問い合わせの手紙を送っていますが、坪内逍遥本人からハッキリと否定されています。

 偶然、名前が似ていただけなんですね。


 最後に、野口英世の名言で締め括ろうと思います。


「過去を変えることはできないし、変えようとも思わない。なぜなら人生で変えることができるのは、自分と未来だけだからだ。」  野口英世


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