私は1人
自然が綺麗な公園が好きだ。
公園と称されるところは本当の自然ではないのかもしれないが、
人間が綺麗とする自然は私も綺麗だと感じるし、
心地よさがある
週に一度しかないお休みを1人で過ごすことに意味がある。
おそらく、1人に価値を感じてしまうのは普段1人ではないから。
家にいると家族がいて、気を遣っていないようで、気を伺い影響しあって生活を送っていることだろう。
一人暮らしともなると人と過ごすことに愛おしさを感じるのかも知れない。
今日はパンを2つ買って公園へ行く。
湖畔の光が反射し、揺らぐ水の波を感じる
紅葉は少し遅れてしまったが、
地獄に落ちるとこの赤に包まれるのかと思うほど、
燃え尽きそうな緋色がまだここには残っている。
湖畔がよく見える少し錆びた鉄の椅子に腰掛ける。
隣では最近よく見る服装をしたカップルが、
湖畔を背景に自分たちの記録をカメラに残す。
2人の掛け合いのような声を聞きながら
私は1人でパンをかじる。
美味しい。柚子胡椒が入っていたのは驚きだが、
この驚きも、美味しいと感じた私の気持ちも、
干渉されない私だけのもの。
私は、また一口、パンをかじる。