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27 奴隷商

 北門から家までは町中を歩いて40分ぐらいかかる。


 シロは隣りで尻尾をフリフリ軽快に歩いている。楽しかったみたいだ。


 そして、中央広場にさしかかったので串焼きを補充(ほじゅう)しておく。インベントリーに入れておけばいつでも焼きたてが味わえるのだ。


 散策(さんさく)がてら串焼き屋を回っていると道を挟んだ向かいに酒屋を発見した。


 酒樽が多く並ぶ店内を覗いていると、


 「うちは良い酒をたくさん置いてるから、ゆっくり見ていってくんな」


 と酒屋のおやじはなかなか愛想がいい。


 大樽(おおだる)小樽いろいろ置いてあるが、いったいどんな物があるのだろう。


 「そうだなぁ~、まずはこのワインだな。こいつは産地が近いから安いし品質も良い。次を言えば~、このエールだな。これは直接買付けしているやつで、そこらの酒場(さかば)にも()している極上品だ」


 などと丁寧(ていねい)に教えてくれた。


 また、”ドワーフが好む物” をと尋ねてみるとさっきのエールを指差してきた。


 とりあえず、おすすめワインとエールを小樽(こだる)で1樽づつ買うことにした。小樽だとl10リッター程入るのかな。


 樽を両脇に抱えて路地に入りインベントリーへ収納する。


 あぁ、マジックバッグならこそこそしなくてもいいのに……。明日は魔道具店にいってみるかな。


 それからは家に戻って薬草採取用に使う麻袋を10枚、このまえ野営地でいただいた紅茶も仕入れ値(・・・・)(ゆず)ってもらえた。


 夕食まで時間があったので俺は裏庭に出て剣を振ることにした。


 以前と比べても剣を振った感覚がだいぶ違ってきている。


 振り抜いた剣は(するど)く、風切る音もいい感じだ。


 夕食後はリビングにてミリーちゃんに童話を語り聞かせた。――今日は白雪姫だ。


 何故(なぜ)だかマクベさんも熱心に聞きいっていた。






 自室に戻った俺は今日摘んできた薬草の仕分け作業を始じめた。


 薬草はインベントリー内でそれぞれの種類別に保管され数量も表示されている。


 なので、それを10本ずつテーブルに出していき、他の草でしばってひとまとめにしてから麻袋に詰めていく。


 終わったら袋ごとインベントリーに保管しておく。


 そして、寝る前には魔力操作の訓練だ。


 ベッドの上に座禅(ざぜん)を組み心を落ちつけ瞑想(めいそう)する。


 おっ、おおっ! すごい魔力の圧が昨日と比べて段違いだ。


 その魔力の感じ方も……何というか色が付いたよう感じ? 


 う~ん、とにかく凄いのだ!


 今ならエアハンマーも難なく出来そうである。


 その魔力をぐるぐる回していき身体の隅々まで行き渡らせていく。


 ――おおおおおおおっ! 


 これは凄いな。何というか、力が(みなぎ)っている感じ!?


 ピーン! {魔法スキル身体強化を取得しました}


 なるほど、身体強化は魔力操作と大きく結び付いているようだな。


 んん~、さらに気を練っていく感じで……。


 それでいて、よりスムーズに身体の中を循環(じゅんかん)させていく。


 回す回す。よしよし慣れてきたぞ。


 ――おおおおおおおっ!


 ピーン! {身体強化レベルが2に上がりました}


 よっしゃ! 俺もこれで戦闘民族(・・・・)の仲間入りだな。


 まさか、髪の毛パッキンにはなっていないよね……。


 怖いねぇ。怖いから、俺寝る。 (by次元 大介)






 次の朝。剣の素振(すぶ)りのあとに身体強化の訓練もしている。


 例のスパーサ○ヤ人よろしく気を入れないと強化できないようではダメなのだ。


 その隙に一撃喰らってしまうし、主導権(しゅどうけん)すら渡してしまうことになる。


 だから、スムーズにだ。そう、よりスムーズに……。


 と、その時である。隣にいるシロの存在感が増したのだ。


 ん! なに事? 


 横目でチラッとシロを見やる。


 はぁ――――、なにやってんの!


 そして、何よ? そのオーラは!?



挿絵(By みてみん)



 やめてよ~、見てたら出来ましたみたいな~。


 んっ、なにげにドヤッているよなシロのやつ……。


 澄ましているが分かっているんだからな! 尻尾が隠しきれてないぞ。尻尾が。


 くっそー、俺も頑張るかんな!


 ………………


 朝ごはん食べた後は出かける準備をして冒険者ギルドに顔を出す。


 薬草の入った麻袋を買取りカウンターへ持っていく。


 「なかなか上手く採取しているな。鮮度もいいし、よし! 『良』を付けてやろう。次回もこの調子で頼むぞ」


 そのように買取り受付のおっさんに言われ引き換え伝票がわりの木札(きふだ)を受け取った。


 その足で今度は受付カウンターへ行き指導料と先ほどの木札を提出する。


 それでようやく薬草採取の報酬(ほうしゅう)である315バースを受け取ることになる。


 (ちな)みにだが、買取り査定で『良』をつけてもらえると報酬が5%アップするのだ。






 その後、例によってボロボロにされた俺は冒険者ギルドを出て、そのまま衛兵詰め所(えいへいつめしょ)へ行ってみることにした。


 すると、あの()せぎす男は審議の結果、犯罪者(はんざいしゃ)として奴隷に落されることに決まったようだ。


 それで、今日にも奴隷商がここを訪れ男を引取っていく予定だそうだ。


 「報酬の方は明日以降ならいつでも取りに来ていい」


 「なるほど、明日ですね。それでは」


 そう言い残し立ち去ろうとしている俺に、


 「あっ、ちょっと待ってくれ!」


 衛兵の一人から声がかかった。


 何事かと振り返り聞いてみると、ちょうど今その奴隷商が来ているそうなのだ。


 応接室へ通された俺はここで少し待つように言われた。


 ソファーに腰を下ろしシロをもふりながらしばらく待つ。


 インベントリーから水筒を取り出し水を飲んでいると扉が開き、


 「いや、待たせたな」


 そう言って男が2人応接室へ入ってきた。


 俺は水筒を置きソファーから立ち上がると目礼(もくれい)をする。


 「まあ、座ってくれ」


 先方の衛兵にそう(うなが)されたが、あちらさんが座るのを見てから俺も座った。


 シロも立ち上がり『どうしたの~』と俺を見ながら尻尾を振っている。――可愛い。


 俺がソファーに腰掛けるのを見て再びお座りしていた。


 「こちらは奴隷商のリッツさんだ。犯人を捕まえた人が来ているのなら、ぜひ会ってみたいと言われてな。それで同席してもらったわけだ」


 あとは、もっぱら事務手続きをするように進んでいき大銀貨2枚を報酬として受け取った。






 「では、私はこれで!」


 そう言って衛兵の方はサッサと出て行ってしまった。


 奴隷商のリッツさんはニッコリ笑顔を浮かべている。


 ああっ、もしかして『ぜひ会ってみたい』って言うのは営業するためですかぁ~。


 いやいや、営業おおいに結構! 聞くよ、聞いちゃうよ男の子だからね……。


 「奴隷に興味はおありですか?」


 「それはまぁ、多少ですが興味はあります」


 「では、ダンジョンなどに興味は?」


 「ゆくゆくは行ってみたいですね」


 「それならば、ぜひ奴隷の購入を検討(けんとう)するべきです。まず裏切ることがありませんし戦闘向きの奴隷も多数おります。もちろん女奴隷もおります。契約次第でいろいろと調整することもできます。……いろいろと。人生のお供に、旅の護衛に、ダンジョンなどの戦闘に、そして夜にと……、よきパートナーになるかと思うのです!」


 すっ、すごい! もと居た世界のテレショップもかくやといった営業トーク。


 そこで俺はベタだがこう聞いてみた。


 「でも、お高いんでしょう?」


 「いえいえ。今なら特別に衣類と靴がセットでついて、な な なんと! …………あとは商館(しょうかん)にお越しください」



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script?guid=on挿絵(By みてみん)
プチ プチ(。・・)σ|ω・`)ノ おっ押して。押して~!
小説家になろう 勝手にランキング
シロかわいい! と感じたら押してください。シロが喜びます。U•ɷ•)ฅ
挿絵(By みてみん)
作:管澤捻 さま (リンク有)
挿絵(By みてみん)
― 新着の感想 ―
[一言] イラストのシロかわいい(・∀・)
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