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23 冒険者ギルド

 さて、魔力操作の訓練も終ったので俺はクローゼットに()かっている革のベストとローブを手にした。


 いよいよ鑑定である。


 へんな商品は掴まされてはいないと思うのだが少しドキドキしている。


 まずは革のベストから。――鑑定!


 ”革ベスト:ブラウンバッファロー:普及品(ふきゅうひん)D+” 


 ふんふん、まぁこんなものだろう。


 次は革のローブだな。――鑑定!


 ”革ローブ:ビックトード撥水性(はっすいせい)良:普及品(ふきゅうひん)D”


 う~ん普通だったな。普通。


 商品の相場(そうば)は分からないがそうそう損はしていないと思う。


 ただ、卸値(おろしね)で手に入るとかなら話しは別なのだが……。


 自分でもしっかり見て買ったつもりだからな。まぁ、指針(ししん)にはなったかな。


 これからも鑑定はどんどん使っていくべきだと思う。


 少しほっとしたので、今日は寝る。






 ぺしぺし! ぺしぺし!


 うっ、ううん、もう朝か……。


 『いっしょ、おにく、さんぽ、だいすき、おきる、はやく』


 頭というか脳に直接くるよなぁ。さて、起きますかぁ。


 木窓を開けるとまだ薄暗いが雨は降ってはいないようだ。


 よし、散歩に行くか! ……って、出られるのかな?


 もう、誰か起きていればいいが、迷惑をかけてもいけないし。


 「シロ、1階に行って誰も居なかったら中止な。その時はご飯食べてから外に出ような」


 1階に下りると調理場(ちょうりば)の方から音がしていた。


 そっと覗いてみるとお手伝いのおばちゃんであった。


 ちょっと驚いた顔をしていたが俺とシロのことは覚えていたようだ。


 「その辺を散歩してきます」


 一言(ことわ)りを入れて表に出た。


 ………………


 朝食を終え部屋に戻って来た俺は外出の準備をはじめた。


 ショートソードはイベントリーへ収納し、バスターソードを腰に()く。


 昨日市場で買った雑品は布のトートバッグに詰めてクローゼットに入れておくことにした。


 「シロ、おまたせ! さあ、行こうか」


 シロに声を掛けると一緒に部屋を出た。






 今日はいよいよ冒険者ギルドへ行くのである。


 まず、冒険者ギルドへの登録とシロのことだよな。何か手続きが必要かもしれないし。


 次に『剣の指導』の有無だよな。たぶん、やっていると思うのだが場合によっては新人研修会なんかがあるかもしれない……。


 依頼表(いらいひょう)の確認もしてみたいよな。どんな依頼があるのか楽しみだ。


 続いては教会に顔を出して女神さまに挨拶だよな。予想以上に世話になっていることだし、この機会に確りとお礼を言うことにしよう。


 それから、時間に余裕があれば『魔道具屋』にも行ってみたいな。マジックバッグが欲しいから、まず価格を調べておかないと。


 あとは……、お昼に美味しいものを食べる。だな。


 よし、出よう! 


 「行ってきまーす!」


 シロを連れ冒険者ギルドを目指して歩く。時間にして20分程か冒険者ギルドに迷うことなく着いた。


 さてさて、シロを連れたまま中へ入れるのだろうか?


 わからないのであれば誰かに聞いてみるしかない。


 しかし、誰もが皆(いそが)しそうだ。


 時間をずらした方が……? 


 「そんなところに居たら邪魔になるよ」


 俺がどうしようかと迷っていると後ろから声を掛けられた。


 「す、すいません」


 振り返ってみるとそこには背の丈2mの女戦士が居た。


 「何かギルドに用があるのかい?」


 俺はその女戦士に事情を話してみた。


 「それなら大丈夫だよ。従魔(じゅうま)なんだろう。冒険者には『テイマー』だっているからね。おとなしくさせとけば問題ないよ」


 「助かりました。ありがとうございます」


 俺がお礼を言うと、その女戦士は片手を上げてギルドの中に消えていった。


 その去っていく後ろ姿がなんともかっこよかった。






 そうして、俺もシロを連れてギルドに入った。


 一瞬多くの視線が集中するがすぐ消えていく。かなり独特な雰囲気だよな。


 冒険者ギルド内を注意深く観察する。――酒場はない。


 幾つかのブースに分かれており受付カウンターには女性の姿はない。


 殺伐としており、むさい、うるさい、帰りたい、そんな所だな。


 愚痴っていても仕方がないので受付に並ぶことにした。


 待ってる途中でシロを邪魔(じゃま)くさそうに見られたがここは我慢する。


 15分程で順番が回ってきた。後ろの停止線から3歩進んで受付カウンターに寄っていくと、


 「冒険者ギルドへようこそ。ご用件は?」


 おっさんが定型文(きまりもんく)を発してきた。


 「冒険者ギルドへの登録をお願いします。それと、従魔(じゅうま)の登録は必要でしょうか?」 


 「そうですね、登録されていた方がギルドに記録も残りますし盗難なんかの際もかなり有利になります。あと登録していないと入れない町やダンジョン等もありますよ」


 「じゃあ、従魔の登録も一緒にお願いします」


 「かしこまりました。こちらに必要事項の記入をお願いします。書けないようでしたらこちらで代筆いたしますが。それから冒険者登録手数料、並びに従魔の登録費用あわせて600バースになりますのでご準備をお願い致します」


 「これで良いですか?」 


 申し込み用紙と銀貨6枚を渡した。


 「はい、結構です。あと本人認証用(にんしょうよう)に血液が2~3滴必要になります。できましたらたら鑑札(かんさつ)の認証用に従魔の血液もお願いします」


 そう言って針を渡されたので血液を採取して所定の場所に()らしていく。


「はい! 結構です。こちらが冒険者カードと従魔の鑑札になります。無くされますと再発行の手数料がそれぞれ1000バースとなりますので、取り扱いには十分ご注意ください」


「それでは会員規約(かいいんきやく)の説明を致します」


 ………………


 それで何たらかんたらと30分程説明を聞かされ登録は無事終了した。――しんどい。


 まぁ、内容としては冒険者のランクはS~Fだとか依頼は1つ上のランクのものまで、護衛依頼(ごえいいらい)はDランクから指名依頼(しめいいらい)はBランクからになるとか諸々だな。


 依頼票もどのようなものが有るのか確認しようと思っていたのだが……。明日にした。






 俺とシロは冒険者ギルドから外に出た。はぁ――――、空気がおいしい!


 あそこは長く居る所ではない。精神もゴリゴリ削られてしまう。


 えっと次はなんだっけ? ――頭が働かない。


 ああ~、教会だったよな。気を取り直して行ってみますか。


 それから5分程で教会に到着した。


 んん~、何だろう教会らしくない。


 (かね)つき堂はあるが普通の家っぽい……。


 とりあえずドアを開けてみる。


 すると中にいたのは町娘のような普通の服を着たおねえさん。


 「何かご用でしょうか?」


 「こちらに女神のユカリーナ様は(まつ)っておられますか?」


 「はい、創世神(そうせいしん)様ですね。お祈りでしょうか? どうぞこちらへ」


 そう言って教会の中へ通された。



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script?guid=on挿絵(By みてみん)
プチ プチ(。・・)σ|ω・`)ノ おっ押して。押して~!
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シロかわいい! と感じたら押してください。シロが喜びます。U•ɷ•)ฅ
挿絵(By みてみん)
作:管澤捻 さま (リンク有)
挿絵(By みてみん)
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