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11 ステータス

 突然頭に響いてきた声に驚いた俺は、飲んでいた白湯(さゆ)を吹き出しそうになった。


 ――女神さまの声?


 いや、ちょっと違うよな。


 これからレベルアップの度に聞こえるのだろうか。


 戦闘中であれば、気を取られたりして危ないじゃないか。


 それはそうと、なぜ今レベルが上がった?


 「…………」


 ああーっ、もしかしてシロが魔獣(まじゅう)を倒したのか?


 おそらくそれだ。


 魔獣を倒すと経験値が入り。シロが獲得した経験値も俺に分散される?


 割合はわからないけど。


 さっき戦ってもいないのにレベルアップしたからな。


 じゃあ何、今まではレベルが0だったということなの。


 俺ってそれで生きてたの? 無茶苦茶じゃん。


 なるほどね、それで何も反応しなかったわけだ。


 俺の黒歴史をどうしてくれるんだよ。ちゃんと説明しておいてくれよな。


 ピーン!{レベルが2に上がりました}


 はい!?


 おいおいシロ、どんだけ狩るつもりだよ。


 まぁ、怪我(けが)はしないだろうが、とにかく頑張るんだぞー。


 それからは何事もなく夜半過ぎになりコリノさんが馬車から出てきた。


 シロは未だに帰ってこない。まだまだ頑張っているようだ。


 なので、俺のレベルアップは今も続いている。


 まあ、()きたらそのうち帰ってくるだろう。俺はコリノさんに、


 「あとはよろしく」


 ひとこと声を掛け、岩を背に毛布に包まって寝ることにした。――おやすみ~。






 ん、んん~、何かを感じ、目を開けるとシロが俺の顔をペロペロと舐めていた。


 すでに夜は明けており、カイアさんが(かまど)の前で鍋のスープをお玉でまわしていた。


 もう、みんな起きているのか。(のど)もとをポリポリかきながらボーっとしてる俺に、


 「あら~、ゲンちゃんやっと起きたのね。シロちゃんも起こしてくれて(えら)いわ~」


 朝でもカイアさんのテンションは変わらないようだ。


 「起こしてくれてありがとう」


 そうシロに言って立ち上がる。


 「顔でも洗ってきたら~。目が覚めるわよ~」


 カイアさんが川の方を指差している。


 「じゃあ、ちょっと行ってきます」


 俺はカイアさんに声をかけ、ダッフルバッグからタオル代わりの布を持ち出して歩きはじめた。


 途中コリノさんがいたので会釈(えしゃく)だけして通り過ぎようとしていた。


 すると、コリノさんは右手で林の方を指差して何か言いたげな表情だ。


 俺もそれにつられるように林の方を見てみると……。


 えっ、なんだあれ? そこには何かが積み上がって山ができている。


 「…………」


 それはなんと、シロが夜のうちに倒してきた魔獣えものだったのだ。


 シロ~、どーするんだよ! ホントに。


 シロは隣でお座りして尻尾をブンブン振っている。――上機嫌だ。


 「そうか、シロが倒してくれたのかぁ。偉いぞ~」


 とりあえず盛大に()めておいた。シロには何も罪はない。


 空気なんか読めるはずもない。――犬なのだから。






 とりあえず川まで行って顔を洗い、そして朝ごはんを頂いた。


 トカゲの肉はスープにしてもなかなかに良い出汁(だし)がとれて旨かった。


 それから、今日の行動を話し合っていく。


 シロが積み上げた獲物はウルフ系の魔獣であるらしい。


 グレーウルフ×8、ブラックウルフ×3、ハイウルフ×1という構成である。


 ここでもカイアさんが大興奮(だいこうふん)


 今から3人で解体するからぜひ買取させてくれと言い出したのだ。


 まぁ、俺たちも別に急いでいる訳ではないので快諾(かいだく)したよ。


 それに解体の勉強にもなるしね。こちらとしてはありがたいくらいだな。


 サクサクやれば昼前には出発できるということだ。


 そして俺はというと、今日は水係に徹していた。


 解体には多くの水が必要になるらしいからな。


 まぁ、たくさんの血が出るし、手もナイフも使っているとギトギトになるだろう。


 それで、お肉なのだがハイウルフ以外はあまり美味しくないらしく廃棄(はいき)するそうだ。


 作業をしている間は(ひま)なので昨日のようにお水を白湯に変えている。


 今日はマクベさんから鍋を借りたのですごく効率がいい。


 ついでだから、みんなの分も引き受けてやっているところだ。






 ここから川までは20m程の距離があるのだが今日はぜんぜん余裕なのだ。


 これがレベルアップによる恩恵なのだろう。


 そうでなければ、木製の(おけ)のバケツはめちゃくちゃ重いのだ。それに水が加わるので一往復するだけでもかなりの重労働といえる。


 それが今は両手に持ってもスーイスイ。笑えてしまうぐらいなのだ。


 シロは基本的には俺の周りをウロウロくっついて回ってる。


 しかし、解体中に内臓はらわた なんかが出るとそちらにへばりついては、おこぼれをもらっているようだ。


 おかげで、みんなとも仲良くなっているようだ。


 特にコリノさんからは可愛がられているようで尻尾をブンブン振ってへばりついている。


 コリノさんもシロに対しては無防備に素敵な笑顔を見せている。


 んん~、それはそれで何だか嫉妬(しっと)してしまうぞ。俺もコリノさんに笑顔を向けて欲しいな……。


 一方俺は竈の前に陣取ってお湯を沸かしている。


 今、竈の周りには俺一人。そこで、昨夜獲得(かくとく)したスキルを試してみることにした。


 まずは、これからだよな。


 「ステータスオープン!」


 ……………………かぁ~~~。 (カラスです)


 何も出ませーん。がっくし。


 そして、誰も居ないのにキョロキョロとまわりを見てしまった。――恥ずかしい。


 うん、結構くるよなぁ、これは。


 転生ものなどで失敗しているみんなの気持ちがわかって良かったwww


 …………気をとりなおして、


 今度は自分の手を見つめながら、『鑑定!』


 すると出たよ、出やがりましたよ!



 ゲン    Lv.8


 年齢    17

【従魔】   シロ (フェンリル)

 HP    79/79

 MP   120/120

 筋力    39

 防御    40

 魔防    44

 敏捷    30

 器用    34

 知力    73


【特殊スキル】 時空間魔法(U) 身体頑強  状態異常耐性

【スキル】   鑑定 (3) 魔法適性(全) 魔力操作(3)

【魔法】    風魔法(3)

【加護】    ユカリーナ・サーメクス



 おぉ、俺は17歳だったのか。ちゃんとシロも従魔(じゅうま)になってるな。


 身体のパラメーターなどは比較対象(ひかくたいしょう)がないのでわからん。


 特殊スキルとはユニークスキルということだろうか?


 この時空間魔法というのがインベントリー関連になるのだろう。


 これがユニークスキルだとするならば、インベントリーが使える者は極めて僅かということになる。


 あとの『身体頑強(しんたいがんきょう)』と『状態異常耐性じょうたいいじょうたいせい』はこの身体に標準装備されたものだろう。


 しかし、スキルが若干(じゃっかん)多くないかぁ。


 う~ん、あの時にお願いしたのは『インベントリー』、『鑑定』、『風魔法』の3つだったよな。確か。


 ………………


 あ~、魔法を使うためには『魔法適性』や『魔力操作』といったスキルも必要になるということかな?


 なるほど、これでは魔法使いが少ないはずだ。最低でも3つのスキルが必要になるのだから。


 100人に1人か……。


 おそらくだが、この『魔法適性』というスキルは生まれ持ってのものではないだろうか。


 う~ん、世知辛(せちがら)い。


 魔法の使える者を、そうバンバンとは出せないということなんだろうな。



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script?guid=on挿絵(By みてみん)
プチ プチ(。・・)σ|ω・`)ノ おっ押して。押して~!
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作:管澤捻 さま (リンク有)
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