家庭教師と甘える眷属
文字数が中々安定しませんね。
僕は今、机と椅子があるだけの学習用の部屋で家庭教師の先生たちと会っている。それは面接の為である。
何故子供が面接官を?と思うだろう。が、これは僕が提案したのだ。その理由は先生が女性しかいないと聞いたからだ。
僕が男の魔法使いなので下心のあるひとが先生になったら(主に眷属の殺気をどうにかすることが)大変なので、わざわざこうして面接の場を設けることにしたのだ。
社会、魔法、魔法実技でそれぞれ三人ずついる。正直もっと多いと思っていたのだが恐らくレオンがある程度絞っていたのだろう。あくまで予想だがここにいる九人の内六人は及第点ギリギリのレベルで三人は相当優秀なのだろうというのが鑑定の魔眼でざっと視た感想だ。
まあステータスだけでは人は測れないからな。それに今回は別に優秀な教師が欲しいのは社会だけだからステータスなんて余計に関係ない。ただ知識があればいいのだから。
「では、まず始めに、皆さんの名前ではなく事前に伝えられた番号を言ってください」
この面接は全員が番号を言った後、軽く志望理由や目標、長所と短所などといった質問をして最後に個別で話して終わる予定だ。
結果から言えば家庭教師は1人だけになった。
それもダントツでステータスは低い。が、美少女で年齢も18だと言っていた。まあ決めた理由はそこではない。
理由は彼女が僕が元いた世界で勇者パーティの聖女と魔力の感じや得意魔法や雰囲気などが似ているからだ。
そこまで気になる理由でもないが、正直一番才能があったし性格も良いときたらもう彼女しかいないだろう。
それに他の先生は正直いらないと思ってしまった。性格が良い訳ではなく才能がある訳でもないはっきり言うと雑魚過ぎたので却下させて頂いた。
今日は面接だけで終わりなので彼女には帰ってもらった。のだが僕は何故かレオン・ロローシュの書斎に呼び出されていた。
「どうしました?」
「どうしたもこうしたも無いだろう。何故1人しか選ばなかったのだ?」
どうして、と言われてもなぁ。
「彼女1人で十分だからですが」
「3教科を教えるのは彼女の負担が大きすぎる。他の者でも容姿端麗で優秀な者はいただろうに」
まあ、3科目もやると確かに負担が大きすぎるだろう。が、正直社会だけで構わないのだ。
「僕は彼女に社会以外の科目は期待してないですよ。お義父様が魔法、魔法実技を担当して頂けませんか?」
「構わないが軽い試験を受けて貰う」
「どんな試験ですか?」
「この俺と勝負でもしようじゃないか」
なるほどね、正直模擬戦は相手を殺しちゃいけないから使える魔法は減るけどいつも、むやみやたらと殺しはしなかったから特に何の問題もないだろう。
「わかりました。その様子だと今すぐやりますか?」
「勿論だ」
辺境伯だけあって訓練用の広い場所があるらしいのでそこに移動していた。
「準備が出来たらかかって来なさい」
余裕そうだな。まあ相手視点は僕は少し強い子供だからしょうがないけど、その油断が命取りになる。殺さないけど。
「では、行きます」
ステータスを見てまだレベルが2級だった為僕はこの模擬戦は風魔法だけを使う予定だ。
僕はレオンに無詠唱で風の刃を三つ放つ。その刃を操作することでレオンに当たるまで追いかけることが可能だ。
「ほう、まあまあやるか、なら少し本気を出すか」
何度回避しても追ってくる刃を同じ魔法で相殺すると炎を纏い風で加速するレオン。
「魔法使いだからといって接近戦をしないとでも思ったか」
「まさか!そちらこそ風魔法を使えるからといって自由に飛べるとでも?」
僕は半径五百㍍の空気を支配してレオンの魔法を乱すことによりレオンは頭から地面に突っ込んだ。
「これで終わりですか?」
正直、本当にこれで炎の1級持っているのか疑問になるほど弱かった。
「トウヤに先生はいらないことはわかった。ここからはあくまで私のわがままだが本気でやろうじゃないか」
「嫌ですけど」
「え?」
「では、帰りますね」
戸惑うレオンをおいて自室に戻るのだった。
何故そんな自らリスクを背負う戦いをしなくてはいけないのだ?
「ソフィア、今日は何かあった?」
「今日も平和だった」
「そっか。今日は他の眷属を呼び出して見ようと思うんだけど誰がいいかな?」
「一番最後のNo.12からだと思う。無理なら少しずつ下げればいい話」
「それもそうだな」
ある程度レベルがあるのでソフィア以外も呼び出して見ようと試してみた。
「どうなされたのですか?トウヤ様」
出てきたのは見腰まである蒼い髪、蒼い瞳をもつ星の姫名前はルナ・シュエルローフ、僕の12番目の眷属だ。
「ああ、少し実験をね。それより血を飲むんでしょ?」
「はい、お願い致します」
ルナは僕に抱きつく形で首筋に八重歯を僕の首筋に刺して飲む。その間鈍い痛みを感じるが、声や表情に出るほどではない、というか出したら眷属は遠慮して飲まなくなる。それは健康的ではないので身につけるしかなかった能力だった。
「はぁ~やはりトウヤ様の血はとても美味ですね」
眷属には僕の血はどんな飲み物よりも美味しいらしい。そのなかでも首筋から飲むのが一番美味しいなのだとか、美味しいに越したことはないので基本的に皆首筋から飲んでいる。
美味しいからと言って沢山ある訳ではないので基本的には年の始めに一回だけというルールがある。これは吸血衝動という吸血中毒みたいな症状が一年間血を飲まなかった場合に出る為需要供給を眷属と相談した結果こうなったのだ。が、影から出てくる時は吸血衝動が早まる(どのくらいかは毎回違う)為例外として必ず飲むことになっている。
因みにシュルナの服装は水色メインのドレスをいつも着ている。
僕はステータスの存在を軽く説明して見せて貰う
───
名前 ルナ・シュエルローフ
性別 女 レベル 464
種族 星の姫
攻撃 464
防御 2320
魔力 8816
魔防 464000
素早さ 6960
SP 580
スキル
未来視
瞬間移動
解析
分析
分解
構築
再生
状態異常無効化
魔法無効化
物理耐性 レベル4
魔法
水魔法 1級
風魔法 2級
光魔法 1級
闇魔法 1級
雷魔法 1級
重力魔法 1級
結界魔法 2級
吸血鬼上位皇族の眷属No.12
主人のステータスの2割をプラス
主人の魔法、スキルの中でどれかひとつランダムで授かる
主人と居場所がお互いに分かる
主人に逆らうことが出来ない
───
いや、魔防高くね?そんなに高いと並の魔法攻撃なんて効かないよね。というか魔法無効化があるからそもそも効かなかった。
流石星の姫って感じなのかな?
そういえば以前「私、遂に魔法を超越したかもしれません」とか言ってた気がする。本当に超越してたよ。
攻撃は………うん。姫様は武力なんて必要ないから。僕的には好ましく写るよ。
すると急に視界が悪くなる。
「おっとどうやらレオンとの戦闘で思っていたより魔力を使い過ぎた様だ」
「大丈夫ですか?トウヤ様、どうぞ私の膝をお使いください」
僕をベッドに運び生脚で膝枕をしてくれる。
「トウヤ様。気持ちいいですか?」
ルナは優しく僕の頭を撫でながら問いかけてくる。が、僕は今それどころではない。
なにこれ!?めっちゃ肌すべすべで気持ちいいし髪の毛から良い香りがする!
「あ、ああ。気持ちいいよ。ありがとな」
「照れていらっしゃるのですか?ふふっ可愛いですね。そんなトウヤ様も好きですよ?」
ルナたち眷属は僕に甘い気がする。なんだかんだ言っていつも僕の意見を尊重して結局全て肯定してくれる。異性が絡むとそんなことないが。
膝枕を30分くらいして貰った後で3人で一緒に寝る。
しょうがないじゃん。僕が影の中からベッドを取り出してそっちで寝ようとしたらソフィアが一緒に寝るといって聞かないし、そうしたらルナまで一緒に寝るという始末。今の僕はステータス的にも勝てないのでされるがままになってしまうのだ。
因みにルナは重力魔法で僕の体重を減らしているのでそんなに膝枕は大変ではなかったりする。正座してるので疲れるけど自分の体重も軽くしてたら30分くらいで痺れることはない。
ベッドに入ってから暫くして僕は何か違和感を覚え目を覚ます。
辺りを確認するまでもなく違和感の正体がわかった。ルナが僕の体を抱きしめているからだ。細い脚は僕の脚に絡み付き腕は僕の背中に回して強く僕を抱きしめている。
当のルナ氏は寝た振りをして我、無自覚ですよ感を出しているが、気が付いているぞ?
「ルナ、起きてるのは分かっている。怒らないから説明してくれ」
「……すぅ……すぅ……すぅ……」
僕が呼びかけても規則正しい呼吸しか聞こえてこない。これはどうしてもバレたくないやつの様だな。しかし、地雷という訳でもあるまい。どうせ恥ずかしいからといったところか?
「今年の吸血は無し「ごめんなさい。トウヤ様つい、欲望に負けてしまいました」
「別に怒ってないよ。けど、いつもはそんなことしないよね?なにかあった?」
僕がソフィアを起こさない様にルナの耳もとで囁くとルナも僕の耳もとで囁いてすぐに白状した。
「私は以前からトウヤ様にこういうことをしたかったのですが、いつもは他の皆様が既にいたりして中々手を出すことが出来ずにいたので」
眷属は他の眷属が僕にアプローチするのは寛大だが、他の女性には冷たい。なのでルナは特に気にすることはないが、中々難しいのだろう。恐らく眷属の中でそういった者も他にいると思われる。
「ふむ。眷属と個人的な時間をもっと確保するべきなのかもしれないな。それぞれのNo.の月に交代して空白の9月僕が選ぶか無しって感じでどうかな?」
どうやらこの世界にもこちらの常識がある程度当てはまるみたいなのでそんな提案をしてみる。実行するには他の眷属の同意が必要なのでまだ確定ではないが恐らく採用されるだろう。
「良いと思います」
それから僕らは再び眠りに着いたのだが心なしかルナがさっきよりも密着している様に感じたのだった。